【サッカー・クラブW杯】サンフレッチェ広島 VS オークランドシティ

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FIFAクラブワールドカップ2012が日本で開催されました。この大会は世界6大陸における選手権大会の優勝チームと、開催国における国内リーグの優勝チームが一堂に会して『クラブチームの世界王者』を決定します。欧州からはUEFAチャンピオンズリーグを制したチェルシーが、南米からはブラジルの名門コリンチャンスが参戦します。日本からはJリーグの覇者、サンフレッチェ広島がエントリーしました。今回はサンフレッチェ広島VSオークランドシティの対戦レポートをお届けします。

負けたら終わり!一発勝負のトーナメント方式

全チーム総当たりのリーグ戦方式と違い、クラブW杯は一発勝負のトーナメント方式です。シード権を与えられたチェルシーとコリンチャンスは準決勝からの参戦になりますが、サンフレッチェ広島はオセアニア代表のオークランドシティ、アフリカ代表のアル・アハリに勝利しなければ準決勝に進めません。10日間で最大4試合を消化する過密日程のなか、広島が世界の強豪クラブを相手にどこまで戦えるのか注目されています。

前半から広島がゲームを支配するが、決定的なシーンは作れず

今季のJリーグでは2位のベガルダ仙台に勝ち点で7差をつけ、圧倒的な強さで優勝を決めたサンフレッチェ広島。34試合で22ゴールを挙げ、得点王に輝いた佐藤寿人を攻撃の軸とし、攻守にバランスの取れたチームです。対するオセアニア代表のオークランドシティは強靭なフィジカルコンタクトと空中戦の強さを生かしたパワープレーを武器にするチームです。

この試合、広島は3-6-1というフォーメーションを採用しました。右サイドハーフのミキッチをサイド攻撃の起点とし、パスセンスに優れた高萩が1トップの佐藤寿人にパスを供給し、トップ下の森崎浩司が前線に飛び出してゴールを狙います。ゲーム序盤、技術に勝る広島は精度の高いパス回しでオークランドを圧倒します。ミキッチが再三に渡って右サイドをドリブル突破し、森崎浩司が得意の左足でミドルシュートを放ちますが、フィニッシュの精度を欠いて得点に結びつけることができません。

オークランドはディフェンスラインを引いてゴール前に守備のブロックを築き、体を張ったディフェンスで広島の攻撃を跳ね返すと、ロングボールを両サイドに放りこんでカウンター攻撃に徹します。オークランドの選手は1対1の競り合いに滅法強く、フィジカルとスピードを生かしたドリブルでサイド突破を仕掛けますが、中盤でゾーンプレスを敷く広島のディフェンス網に個人突破を寸断されます。

一進一退の攻防に風穴を開けたのは青山の無回転ミドル

広島はポゼッション率でオークランドを上回り、常に相手ゴール前に押し込んだ展開でゲームを支配しますが、決定的なチャンスを作り出せずに前半を終了します。後半に入ると、広島はMFが積極的にバイタルエリアに飛び出してシュートを狙います。後半6分、高萩がゴール前20mからグラウンダーのミドルシュートを放つもポスト直撃でゴールを奪えず、後半7分にも右サイドをミキッチが突破して中央にピンポイントクロスを送りますが、フリーの森崎浩司が決定的なヘディングシュートを外します。

ゲームが動いたのは後半21分、ペナルティエリア外でボールを受けた青山敏弘が右足一閃!無回転のドライブシュートは美しい放物線を描くとGKの手を越えてゴールネットに突き刺さります。勝利を決定付けたい広島は2点目を取りに攻め込みますが、ラストパスとフィニッシュの精度を欠いて追加点を奪えません。終了間際のオークランドの猛攻に耐えた広島は、1-0の勝利で辛くも2回戦にコマを進めました。

佐藤寿人が不発、2~3点は取れる試合内容だった

この試合、サンフレッチェ広島はオークランドシティに比べて技術的にも戦術的にも遥かに優れていたように感じます。ポゼッション率、シュート数、コーナーキック数、いずれも圧倒的に上回ってゲームを完全に支配していたにも関わらず、決定力の低さを露呈してしまいました。1トップの佐藤寿人を徹底的にマークされると、途端に得点力が下がるは致命的な問題です。

広島は今季Jリーグで63得点を挙げており、ガンバ大阪に次ぐ第2位の好成績を収めています。その内の22ゴールは佐藤寿人によるもので、全得点の約3分の1を占めます。そして、チーム内で2桁得点を記録したのは佐藤のみです。つまり、佐藤以外の選手が打つシュートはゴール決定率が低いのです。佐藤寿人がゴールを奪えない場合、広島は偶発的なラッキーゴールに頼るしかありません。

佐藤寿人以外にもフィニッシュを決める形が欲しい

青山敏弘のミドルシュートは素晴らしいプレーですが、毎試合ゴールを狙える選手ではないので、この日のゴールは偶然によるところが大きいと思います。高萩やミキッチ、森崎浩司は高い攻撃センスを持ちますが、フィニッシャーとしての役割を果たせる選手ではありません。決定的なラストパスを受けてもシュートをGKの正面に蹴ってしまったり、冷静さを欠いてシュートを枠から外してしまいます。

これはストライカーとしての適性の問題なので、高萩や森崎浩司が悪いという訳ではありません。チーム内に佐藤のようなポイントゲッターをもう1人置かないと、オークランドのように守備を固めてくるチームからは点が取れないと思います。佐藤寿人の1トップに固執するのではなく、相手チームの特徴に合わせてフォワードを2人に増やすなど、柔軟な対応が必要ではないでしょうか。

総括

1-0の辛勝で準々決勝にコマを進めたサンフレッチェ広島。次戦はアフリカチャンピンオンのアル・アハリとの対戦になります。広島の組織的な守備は秀逸ですが、得点力の低さは大きな問題です。佐藤寿人が抑えられた場合、誰が得点を決めるのか?その問題が解決されない限り、上位進出は難しいと予想されます。次戦では新しい得点の形が見られることを期待します。

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