【サッカー日本代表】日本VSブルガリア・・・機能しかけた3-4-3をなぜ戻してしまったのか?《国際親善試合》

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2013年5月30日。日本代表は欧州の強豪国の1つであるブルガリア代表と国際親善試合を行いました。6月4日、ホームで行われるW杯アジア最終予選のオーストラリア戦に向けて調整的な意味合いを込めた重要な1戦でした。本田圭佑が不在のなか、ザッケローニ監督は約2年ぶりに3-4-3システムを復活させたことで注目を浴びました。

3年間のザック采配で3-4-3は最も機能していた

 日本は約2年ぶりに3-4-3システムを採用しました。3バックは左に今野、中央に栗原、右に吉田。MFは右サイドハーフに内田、左サイドハーフに駒野。中盤の底は遠藤と長谷部のダブルボランチ。3トップは左サイドに香川、中央に前田、右サイドに乾という布陣。

これまで何度も試して失敗した3-4-3の弱点は、両サイドハーフの2人がディフェンスラインに吸収されて5バックとなり、守備的なサッカーを強いられることでした。この試合、前半は左サイドハーフの駒野が何度もFWを追い越して高い位置をキープ。左センターバックの今野もハーフウェーラインまで上がって中盤と近い距離感を保ちます。今野、駒野、香川が近い距離感でトライアングルを形成することで左サイドの攻撃は機能していたと思います。

普段より1つ上のポジションでスタートした左FWの香川はペナルティボックスに近い位置でドリブルを開始。ファールできないDFを手玉に取り、ワンフェイントからミドルシュートに持ち込み、ディフェンスに脅威を与えました。右FWの乾は左右にポジションを変えながらドリブルで縦に抜け出して好クロスを連発。この3年間のザック采配で3-4-3が最も機能していたのではないでしょうか。

4-2-3-1機能せず、トップ下の香川に適正なし

 しかし、ザッケローニは概ね機能していた3-4-3を見限り、後半から4-2-3-1にシステムを戻します。中盤の右サイドに清武を投入し、香川をトップ下にして巻き返しを図ります。これが誤算でした。トップ下の香川と1トップのハーフナーは前線でボールを収めることができず、中央でタメを作ってサイドから展開する日本の攻撃パターンが全く見られませんでした。

後半24分に中村憲剛がトップ下に入ったことで、ようやく中央でボールをさばけるようになり、左サイドから長友、右サイドから酒井宏樹が前に出ていくシーンが見られました。そもそもザックが理想とするトップ下は中央でパスの出し手となるパサーであり、香川のようにボールの受け手となるドリブラーではありません。

後半から前田に代わって1トップに起用されたハーフナーもポストプレーを得意とするタイプではなく、前線でタメを作れない選手です。ボールを収めるタイプではない香川とハーフナーが中央で孤立したことでサイドアタッカーが前に押し上げる時間が作れませんでした。

0-2完敗!セットプレーとミドルシュートに世界を見た

 結果的には0-2の完敗。2点ともセットプレーからの失点だったことから、ブリガリアに終始押されていたことが分かります。技術、戦術、コンディション。全ての面で相手が上回っていた気がします。1対1でも簡単に抜かれてしまう場面が目立ち、相手のミドルシュートは正確に枠を捉えて日本のゴールを脅かしました。本気モードのブルガリアに日本は手も足も出なかったという印象です。

序列を作るザッケローニ、工藤と東に出場機会与えず

 今回、代表初召集となった工藤壮人と東慶吾がどこで起用されるのか?密かに注目されていましたが、起用は当然のように見送られました。ザッケローニは選手間に序列を作り、起用法に順番を付ける監督です。試合展開によって起用法を変える指揮官ではありません。

この試合、0-2でリードされているにも関わらず、後半35分に守備的MFの細貝を投入したことにがっかりしました。これがW杯本番であれば攻撃的な選手を入れてリズムを変えたのでしょうか?2点ビハインドという展開は、オーストラリア戦に向けて絶好のシュミレーションになったと思います。

トップ下から豊富な運度量と効果的なフリーランで中盤にリズムを生み出す東慶吾。縦横無尽のサイドアタックからゴールを奪える得点感覚に優れた工藤壮人。彼らがスーパーサブで使われていたら、違った試合展開になっていた可能性もあり得ます。選手のモチベーションすら落としかねないザッケローニの采配に大きな疑問を残す展開でした。

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