古くから変わらない自然、海と空は至高の贅沢
集落を離れると、島は真っ暗。信号ひとつ無いような田舎の島ですが、街灯も集落を中心にごく少数あるだけです。ところがこの光の少なさが逆にいい。波照間島の真骨頂は暗い夜なのです。 石垣島より南西へ船を進めると、波照間島に到着します。北緯24度2分25秒、これは東京の硫黄島3島よりも低い緯度で、日本の有人島では最南端。島の人は「何もない島」だと言っても、島の至る所が「日本最南端の○○」。これだけでなんだかありがたいような不思議な気分にさせてくれます。
夜はその日本最南端の集落からさらに南へ。目的はひとつ。夜空に広がる目いっぱいの星空を堪能することです。自然に囲まれ、街灯が少ない島は、もはやどこへ行っても星空の名所。波照間島の南部、星空観測タワーは必ず訪れておきたいところです。北半球の大半の地域で観測不能な南十字星、その全体が恐らく最も綺麗に見えると言われるのがこの波照間島なのです。そのほかにも、「天気が良い」、「月が昇っていない」、「見たい星座のある季節」など、条件さえそろえば、国内ではこれ以上ない星空の観測地ではないでしょうか。最南端が故の至高の贅沢と言っても過言ではないはずです。 また星空と同様、見逃してはいけない波照間島の見どころがニシ浜ビーチ。人によっては「日本一」とも評される美しいビーチです。白い砂浜に透明度の高い海に、思わず感嘆の声を漏らしてしまうのでは。島ではもちろん海の遊びがさかんです。
島の北部にある下田原貝塚の調査から、「人類が住みついておよそ3800年の歴史がある」と分かった波照間島。紀元前から続く生活の営みとは対照的に、その自然は今も変わらぬままにその美しさを保っています。
波照間島の見どころ
景色を楽しむ
ニシ浜ビーチ(場所)
訪れた人々が「今まで見たことが無い」と声を揃えるほど美しいとされるビーチです。筆者が知る限りでも、ここまで美しいビーチは、コンドイビーチ(竹富島)、イダの浜(西表島)くらいではないでしょうか。中でもニシ浜ビーチの魅力は半透明から濃紺まで変幻自在の青い海。ここまで色の変化に富んでいるビーチもなかなかありません。ただし、その美しさには潮位が大きく関わってくるので注意が必要。潮位が50cm以上である時間帯を狙いましょう。
余談ですが、沖縄では「北」のことを「ニシ」というため、この名が付きました。地図上では島の西側にあり、それゆえにニシ浜と呼ぶと思われがちですが、正式にはこれは間違いだそう。非常にややこしいものの、浜自体は北に面しており、北(ニシ)に面した浜ということでニシ浜ビーチと呼ばれるのだそうです。
ハマシタン群落(場所)
ハマシタンとは竹富町指定の天然記念物でミズガンピとも呼びます。これは奄美諸島より南に分布する熱帯性の植物で、波照間島のそれらは白い花と100年を超す樹齢が特徴。本来は10m近く育つ高木ながら、沖縄の島々ではサンゴ礁や岩の上を覆うように育ちます。
ぶりぶち公園(場所)
沖縄返還祝いとして1972年(昭和47年)に整備された公園。しかし、今では波照間の大自然が強力なため(?)、木々に侵食されるがままとなっています。遊び場としては機能していませんが、紀元前は貝塚が、500年ほど前は当時存在した下田原城が、60年前は燐鉱山があったようで、それぞれの面影が見え隠れする、歴史的にも重要な場所だったりします。ちなみにどうも気になってしまう(?)名前の由来。しかし、どうもコレと言ったものがありません。現地の方々でさえもよく知らないとか・・・。
下田原貝塚(場所)
ぶりぶち公園前の道をさらに北へ進み、海岸沿い近くにあるのがこの貝塚。波照間島の歴史を語るに欠かせない存在で、推定で3700年前、紀元前1800年の石器が出土した場所です。時代としては縄文時代にあたりますが、いわゆる縄文式土器ではなく、見た目も丸底。その場所にちなんで「下田原式土器」と呼ばれています。そのほか石器や貝塚、猪骨なども出ていますが、やはり縄文式土器の出土する貝塚とは異なるものだそうです。これらは八重山より北の島々や本土では見られず、逆に国境を越えた台湾やインドネシア方面で近いものが見られることから、伝承系統は東南アジア方面からだと考えられている模様。そのルーツをたどるだけでも、文化の成り立ちの奥深さが伺えます。
シムスケー(古井戸)(場所)
かつて水資源が不安定だった波照間島。その中でも豊富な水量と優れた水質で貴重な存在だったのがこのシムスケーです。海の水も美しいですが、井戸の水にもまた恵まれていたのです。
コート盛(場所)
八重山の島々に点在する18の遠見台のひとつ。18の中には雑なつくりのものも見受けられるのですが、琉球石灰岩を積み上げてつくられたコート盛は、どっしりとしていて迫力を感じます。ほかの島々の遠見台と見比べてみても面白そうです。役割は他と同じで、海上を監視し、必要に応じて狼煙をあげていたと伝えられています。遠方の島を見渡すにはやや低いものの、うっすらと西表島の姿が見えます。港から集落まで、ここからの見晴らしもなかなか。写真を撮るには良い場所です。
高那崎(場所)
波照間島の南東、海食の影響で崖が突き出るような状態となっているのがこの高那崎です。なんといってもその見た目が圧巻!!崖が出っ張るように浸食されており、立てばさながら空中状態といったところでしょうか・・・!!八重山の島々は比較的波が穏やか。しかし、ここでは波が岩場にぶつかり飛沫をあげることもあるそう。まるで沖永良部島のフーチャにも匹敵する激しさです。それだけに足場には注意を。男女で訪れると楽しいかも知れません。悪ノリは厳禁ですが・・・。
オヤケ・アカハチ生誕地(場所)
星空観測タワー(場所)
波照間島観光の際、外せない施設です。全部で88ある星座のうち、84もの星座が見られる波照間島。その美しい星空はそれだけで大迫力なのですが、どうせなら整った環境で楽しんでしまいましょう。施設周辺はひと気がないものの、星空観測タワーは月曜日を除き、週6日で開館。毎夜観光客が訪れる場所となっています。ドームには20センチ屈折式天体望遠鏡という、巨大な望遠鏡があります。ちょっと見られない大きさだとか。天体ファンでなくとも必見です!
日本最南端の碑(場所)
波照間島の情報あれこれ
【名 称】波照間島(はてるまじま)
【所在地】
(地図)
【面 積】12.77㎢
【周 囲】
14.8km
遊 び
海水浴、シュノーケリング、ダイビング、釣り(トローリング)、サイクリング、星空観察
食べる
黒糖、魚料理、ヤシガニ
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