【サッカーU-23】 日本VSスペイン・・・日本が魅せた世界レベルのカウンターサッカー 《ロンドン五輪》

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ロンドンオリンピック開催日に先立ち、男子・女子サッカーの試合が始まりました。今回は7月26日に行われた関塚ジャパンの開幕戦、グループリーグ第一戦の日本VSスペインの試合を振り返ってみたいと思います!  

下馬評では日本が圧倒的な不利

UEFAユーロ2008、2010年南アフリカワールドカップ、UEFAユーロ2012と国際大会3連覇を果たし、正に黄金期を迎えるスペインは名実ともに世界最強のナショナルチームと呼ばれています。今回のオリンピック代表はA代表のレギュラークラスである、アルバロ・ドミンゲス(アトレティコ・マドリード)、ファン・マタ(チェルシー)、バビ・マルティネス(アスレチック・ビルバオ)をオーバーエイジに選出するなど、オリンピックに対する本気度が伝わってきます。

23歳以下の選手にはA代表で活躍する左サイドバックのアルバ、FCバルセロナに所属する右サイドバックのモントーヤなどがおり、実力経験共に過去最強のオリンピックチームと目されています。対する日本は圧倒的な劣勢に立たされており、良くても引分、下手をすれば大量失点もあり得るという厳しい展開が予想されていました。日本のフォーメーションはいつも通りの4-2-3-1。ワントップにスピードのある永井を置いてディフェンスラインを引き気味に保ち、カウンターを狙う守備的な布陣で挑みました。

攻撃的な守備でスペインを寸断、1-0の勝利!

前半の立ち上がり、日本は臆することなく堂々としたプレーを見せます。技術と経験に勝るスペインは素早いパス回しからゴール前に侵入を試みますが、日本は組織的な守備でスペインに対抗。フィールドプレーヤー10人がフルスロットルでボールを追い回し、激しいプレッシングをしかけます。前線から最終ラインまでをコンパクトなゾーンに保ち、人のマークとスペースのマークを徹底する日本。1人がタックルに行くと、2人目が裏のスペースをカバー、競り合いで生まれたルーズボールを3人目が回収するという流れでディフェンスが連動します。前線から中盤の選手が組織的に連動し、90分間落ちることない運動量でプレスをかけ続けました。

ボールポゼッションで上回るスペインですが、バイタルエリアで攻撃のスペースを消されてしまい攻めの糸口が見つかりません。苦し紛れに出した縦パスはカットされ、時折見せる個人突破も単発に終わってしまいます。そして前半34分、日本は右コーナーキックのチャンスを得ると扇原が得意の左足でピンポイントクロスを送り、ファーサイドに飛び込んできた大津がモントーヤを振り切って先制ゴールを決めます。その後、スペインはオーバーエイジのマタを中心に執拗にゴールを狙い続けますが、集中力と運動量を切らさなかった日本の守備に対し、最後までゴールをこじ開けられずにタイプアップ。格下と見られた日本を相手にまさかの敗戦を喫しました。

永井にやられたスペインのディフェンス

海外の著名なスポーツ紙はワントップでフォワードに入った永井を絶賛。10点満点で8.5点という高い評価を与えました。「今後もこのパフォーマンスを続ければ、来期は欧州で活躍しているだろう」と報じられたほどです。この試合、スペインの両サイドバックのアルバとモントーヤは積極的に前に出て攻撃参加を繰り返していました。それが結果的に諸刃の剣となってしまい、サイドに空いたスペースを永井に使われてしまいます。世界レベルとも言われる永井のスピードにスペインのディフェンスは全くついてこれませんでした。前を向いてボールを持つとドリブルでディフェンダーを振り切って一気にシュートまで持ち込み、サイドに流れてボールをキープするとカウンター攻撃の起点となっていました。

永井の運動量とスピードは守備でも相手の脅威となり、スペインを苦しませました。最前線から激しいチェイシングをかけ、ボール回しの遅いディフェンスラインの穴を狙ってプレッシャーをかけます。前半41分にはバックパスを受けたマルティネスにプレスをかけてボールを奪い取り、スピードで振り切られそうになったマルティネスは後方から永井を倒すとレッドカードを受けて一発退場。1点をリードされ、更に10人になったスペインはここから焦り始めてリズムを崩しました。

世界レベルで戦える日本のカウンターサッカー

日本のオリンピック代表は世界のトップチームと比べると、個人の力や経験で見劣りする部分があります。アジアの国はヨーロッパや南米と比べた場合、サッカー途上国であることから環境的にチーム全体のクオリティを世界レベルに押し上げるには難しい条件にあると思います。しかし、スピードと運動量、組織力は強豪国と比べても勝るものがあり、結束力を持った守備力は世界のトップレベルに引けを取らないものがあります。攻撃的な守備からスピードと組織力を生かしたカウンターサッカーは、他国には真似できない芸当であり素晴らしい武器と言えるでしょう。

世界最強チームと呼ばれるFCバルセロナのように、圧倒的なポゼッションを持ちながら華麗な個人技とパス回しで観客を魅了するサッカーは理想的ですが、同じことを環境と条件の違う日本に求めるのは無理があると思います。日本の良さを生かしたカウンタースタイルを追究するのも、世界を相手にした上で有効な手段の一つだとは言えないでしょうか。

総括

優勝候補として金メダルを取りにきたスペインに対して、挑戦者の日本。この試合に限ってはチャレンジャーのモチベーションが王者の力を上回ったように見えました。初戦から全力できた日本に対し、優勝を狙うスペインは果たしてどこにピークを持ってきていたのか気になるところです。両チームにおける気持ち的な感覚のズレが勝負の行方を左右したように思えます。

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