これは、株式会社ベアレン醸造所という小さな会社が作っている岩手県盛岡市の地ビールです。
ベアレンビール2017CM~咲け、咲け、ハッピー編
YouTube
「つなぐビール」という本との出会い
「つなぐビール」という本と本屋さんで出会いました。本屋さんや図書館はたくさんの人の「思い」や「パッション」をつなげてくれる場所です。
何気なく手に取った本から色々な方の思いと出会います。この本は情熱を持って会社経営しながら、東日本大震災支援にも力を入れている、「ベアレン醸造所」の専務取締役が書かれた本です。
ベアレン醸造所の軌跡
2001年2月、ベアレン醸造所が誕生します。銀河高原ビール工場長だった木村剛氏、元協和発酵、理系男子の嶌田洋一氏、ドイツ人ブラウマイスターのイヴォ・オデンタール氏の3人で立ち上げたビール会社です。
2008年1月、試練が訪れます。創業メンバであった従業員をビール工場のタンク破裂事故で亡くしました。
亡くなったのは真面目で仕事人間の佐々木陽一さん。36才でした。奥様と小さな子ども2人を残しての死。
佐々木陽一さんは創業者のイヴォ氏の右腕として働いていました。イヴォ氏が退任した後は、イヴォ氏の作業を佐々木陽一さんが全面的に引き受けていました。佐々木陽一さんも創業時からのメンバです。
当時売上も好調で忙しい上に製造の中心的役割で負担が大きかった佐々木さん。そんな中、彼は誰よりも会社に早く来て、ていねいに社内を掃除をする社員でした。
しかし、陽一君はよく働いた。私も朝は早いほうだったが、彼はそれよりも早く、一番に会社に来ていた。そして、誰に指示されたわけでもなく、一人で掃除をしていた。なぜそんなことをしているのか、彼に聞いたことがある。「一日の始まりは、きちんと掃除してからやった方がいいと思うんですよ。」吶々と言って、一人黙々と掃除している。
つなぐビール
事故で創業メンバーである大切な仲間を亡くし、専務の嶌田氏は決意され社長の木村氏にその思いを伝えます。
俺たちはたぶん、一生かけてこの事故の意味を考えていかなくてはいけないと思う。いや、一生かけても命の代償になる意味なんてわからないかもしれない。でも、この事故の意味を安全管理の改善だけで終わらせてはいけないと思うんだ。この事故があったから、俺達は目覚め、もっと良い会社にしていくことができた。そう思えるようにならないといけない。その道筋を俺に作らせてほしい
つなぐビール
事故の原因は安全対策の問題、自主検査が実施されていなかったことでした。タンクの強度を高め安全装置の二重設置で2ヶ月後にベアレンは製造を再開しました。佐々木陽一さんと遺族の思いを背負っての再開でした。
baeren1/3
YouTube
このビールに誓う ベアレン再出発への歩み 専務取締役 嶌田氏
2011年3月 さらなる試練が訪れます。東日本大震災です。電気も通らず3日後に通常営業ができたものの、ビールはしばらく売れなかったようです。
ラベルに「がんばろう岩手!」と印刷し売上の一部を寄付するビールを作り、そのビールは完売。
復興支援活動も、山田町かき小屋からスタートし、現在も三陸沿岸地域の被災地をビールで盛り上げるイベントを開催しています。
嶌田氏のチャレンジはつづきます。
・社内の一体感づくり
・社内ルールの構築
・ブランドビジョンの策定
・ベアレンらしいブランドガイドラインの策定
・ブランディングチームの構築
・オンリーワンの商品開発
・直営レストランのオープン
・岩手県全市町村でビールイベント
・世界に伝えたい日本のクラフトビール優勝
もしも神さまという存在がいるのだとしたら、あんなひどい偶然で人を死に至らしめた意味とはいったい何なのだろうか。私たちは目覚め、会社大きく変わった。けれどそのことを知らしめるために人の死は大きすぎる。~中略~ いつでも天国の陽一君が見てくれていると思って、彼に恥じることなく、いつでも報告できるように。
つなぐビール
ベアレン醸造所からつなぐ命の授業
ベアレン醸造所のウェブショップではビールにぴったりな岩手こだわりの逸品も販売しています。
13才になった娘ドンがベアレンウエブショップで買った岩手の逸品を調理中。ひとつひとつ丁寧に、ひとつひとつの食べ物のルーツを知ること、そしてひとつひとつの食べ物にも思いがあるということ、これは命の授業です。
東日本大震災を知ることや応援することは子どもたちの命の安全につながります。
そして、目の前にあるビールひとつにも思いがある、物にも「心」があるということを母として伝えていきたい。
ベアレンビールは4月から11月の毎週土曜日に開催される盛岡のストリートマーケット「よ市」にも毎年出店しています。リユースカップでビールを提供するベアレンビール。ゴミを出さない工夫も考えて販売しています。環境にも優しいベアレンです。
「ビン」のベアレンビールもよいけれど、いつか、「生」のベアレンビールを飲みに盛岡に行くから。待っててね、ベアレン!
最終更新: