東日本大震災で亡くなった6才の女の子あいりちゃん。失われるはずのない園児5名の命が失われた最後の場所。
2015年5月、日和幼稚園のあいりちゃんたちが亡くなったその場所で白いフランスギクが咲きました。
あいりちゃんのママ、佐藤美香さんと被災現場を同行していた美術家の菅原淳一さんがその花を一輪持ち帰りました。その一輪が奇跡的に芽を出し花を咲かせたそうです。
あの日、死へと向かう幼稚園バスの中、泣いている園児を励ますために卒園式で歌うはずだった歌を元気に歌っていたあいりちゃん。優しくて勇気ある行動でした。そのあいりちゃんが「ここにいるよ」と言っているかのように花は咲きました。
枯れたはずの一輪から芽がでてきました。菅原さんは水をやり、やがてつぼみが膨らむくらいにまで育ちます。菅原さんがおっしゃるには、深夜、目が覚めた時に見たところ、つぼみの部分が青く光ったのだそうです。「何だろうな。何か光っているな」と思いながらも眠られましたが、朝、起きると花が咲いていたということです。
菅原さんは愛梨ちゃんをずっと忘れないために、あいりちゃんの奇跡の花「あいりちゃん」を育てること、手をかけないと育たないあいりちゃんの花をとおして、防災や命の大切さを全国から世界へそして未来へつなごうと活動をしています。
それが「アイリンブループロジェクト」です。 里親(花を育てくれる人)を全国に広め、花を増やし2020年石巻市の国営祈念公園に全国から集まった花々がひとつになり、震災の記憶を伝える花(シンボル)になります。
アイリンブループロジェクトの活動で、愛梨ちゃんと妹の珠莉ちゃんがモデルとなったお話が映画化されました。
映画の完成披露試写会で愛梨ちゃんの妹、珠莉ちゃんはお姉ちゃんに向けて手紙を朗読しました。
愛梨お姉ちゃんへ お姉ちゃんは、元気ですか?珠莉はすごく元気だよ ~中略~ もし、お姉ちゃんがいたら、ママのおつかいができるし、おべんきょうも教えてもらえたと、ときどき思ったりするよ。お姉ちゃんがいてくれるだけで、珠莉の世界が変わっていたよ。どんなにお姉ちゃんがいたらいいかといつも思うよ ~中略~ これからもずっとずっと一緒にいてね。お姉ちゃんのことずっとずっと大好きだよ。
ふたりのせかいりょこう ずっとずっと一緒にいてね P152
あいりちゃんのママ佐藤美香さんは「愛梨ちゃんの生きた証を残したい」と絵本の制作もされました。絵本の発売日は愛梨ちゃんのママ美香さんの40回目の誕生日です。あいりちゃんの生きた証の絵本、ママの思い、私たちが未来へ伝え広げます。
2017年3月、あいりちゃんが亡くなったあの場所に立ち私は誓いました。
「あいりちゃん、えんじのみんな、あなたたちのいのちのいみをわたしがこのてにしっかりもって、このバトンをまわします。みんな、ずっとわすれないよ。いきることのいみ、こんなにもたいせなこと、おしえてくれてありがとう。」
最終更新: