WILDLIFE in TOHOKU「オオハクチョウの編隊飛行」

iRyota25

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このごろ陸前高田の町の空をゆく白鳥の群れを見かけることがよくある。

鴎や白鷺とは違って、ゆったりと羽ばたきながら町の上空を旋回して飛ぶオオハクチョウの姿はとても優美だから、いつか写真に撮りたいものだと思っていた。

でも、白鳥が飛んでいるのはいつもたいていかなりの遠方だし、たまに近くを飛んでいるのに出会っても、カメラを準備している間に飛び去ってしまう。

そんな折り、震災後に建設された中田公営住宅に住んでいる人から、「白鳥は中田団地の向かいの田んぼで休んでいることが多いのよ」と教えてもらった。「去年までは団地の隣の空き地にいたんだけど、工事が始まったので今年は場所を変えたみたい」

貴重な情報を得てからは、中田団地の近くを通り掛かる時には田んぼの方を見るようにしてきた。もちろんカメラをスタンバイして。

ところがどうもタイミングが悪いらしくて、なかなか田んぼの白鳥に出会えない。遠くの方から、いままさに中田の辺りから飛び立ったのが見えて、先回りして待ち構えていても、飛び立った白鳥は気仙川の方に行ったっきり戻って来なかったりということもあった。

それが、2月12日の日曜日、震災遺構になった下宿住宅(中田団地からも近い)の近くを歩いていたら、突然一羽の白鳥が風に煽られながら10メートルくらいの至近距離で飛んで行った。そんなチャンスに限ってカメラを持っていなかったりするのだ。急いで車に戻ってカメラを出したら、ちょうど頭上を5羽のオオハクチョウが飛び去って行くところだった。

飛び去って行くオオハクチョウの姿を、真下から写真に収めることに成功!

やっと撮影できたと喜んで、デジカメで画像を確認してみると…

期待していたものとちょっと違う。大きな飛行機が編隊飛行するように、ゆったり優雅に伸びやかに飛翔する姿が写っていると思っていたのに、首を曲げたり足をばたつかせたりして、あんまり優美な感じじゃない。

やはり白鳥は大空を飛ぶのを横方向から撮影しなくちゃなんだなと思った。中田の辺りを歩いていたら、またいつかチャンスがあるに違いない。今度は真下からではなく、少し離れたところから横向きに。

と、このお話しは高台にあるキャピタルホテルの駐車場で書いているのだが、目の前のかさ上げ工事現場の上に白い点が無数にあるのに気がついた。遠くてよく見えないのでカメラで撮って拡大してみたらオオハクチョウの群れだった。

中田団地の向かいの田んぼ周辺はそれなりに車の通りがあるから、日中は人目につきにくい盛り土の上に避難しているのかもしれない。たしかに、盛り土の上にいれば下から見ても分からないからなぁと納得。

そんなことをぶつぶつつぶやきながら、白鳥の画像を拡大してよく見てみると、海からの強い風を避けるように身を寄せ合っているもの、丸めた体に首を突っ込んでいるもの、風当たりの少ない斜面で枯れ草かなにかをついばんでいるもの、あえて首を伸ばして辺りを見張っているものなど、拡大した荒い画像からも白鳥の野生動物としての生き様が伝わってくる。必死さのようなものが伝わってくる。

真下から見上げた姿が優美じゃなかったなんて思ってしまって申し訳なかった。

水辺に浮かぶ白鳥の姿は優雅に見えても、水中では懸命に水を掻いているとよくいわれる。しかし空を飛ぶときも、群れで翼を休めているときも、やはり真剣なんだ。それがWILDLIFEというものなんだと教えられた気がした。

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