気仙沼の海の観光スポット「海の市」。魚市場に隣接し、たくさんの海の幸の物販やシャークミュージアムがある施設の一角に、神戸市の中学生たちが気仙沼に寄せた絵ふうとうが展示されている。
絵ふうとうとは、「封筒に絵を描き、切手を工夫して貼ったりする手紙遊びでイギリスの絵本作家たちから始まった」(神戸市立本山中学校のホームページから引用)とのこと。本山中学校では東日本大震災直後から気仙沼との交流を続け、絵ふうとうは今年で第6回目となるそうだ。
施設内の交流スペースには、届けられたたくさんの絵ふうとうがメッセージとともに展示されている。
ひとつひとつ絵ふうとうとメッセージを見ていくと、封筒のデザインも丁寧に書かれたメッセージのどれもがとても味わい深いものだった。買い物の途中でふらっと立ち寄ったのだが、途中で切り上げることができなくなってしまった。
展示されていたものからいくつか紹介させていただきたい。
リス、シカ、ウサギ、キツネ…動物が描かれた切手を何枚も貼った絵封筒にはこんなメッセージが添えられていた。
きれいで美しい自然を取り戻してもらうためにこの絵を書きました。人も動物も両方が楽しく幸せに暮らせる町にしてほしいです。
津波で家も友人や家族も思い出の場所も失ってしまった人たちがたくさんいると思います。でも、そのぶんもう一度幸せを見つけてほしいなと思いました。
神戸市立本山中学校1年生による気仙沼への絵ふうとう
気仙沼に幸せがおとずれるよう、私はふうとうに幸せの青い鳥を描きました。この絵ふうとうが気仙沼に幸せを届けますように…。気仙沼の一刻も早い復興を心より応えんしています。共に頑ばりましょう。
神戸市立本山中学校1年生による気仙沼への絵ふうとう
つらい目にあわれて大変だと思います。私は絵をかくのが好きで、この絵ふうとうもすごく楽しかったです。どんな絵にしようか迷ったとき、気仙沼のみなさまに、この絵手紙で届けるべきものはなにか考えました。きっとそれは「心」だと思いました。明るい空の下で温かい希望を届けたいです。
神戸市立本山中学校1年生による気仙沼への絵ふうとう
どのメッセージからも、中学一年生の自分自身の感想が率直に表現されているように思う。彼ら彼女たちは東日本大震災が発生した時、小学一年生だった。彼女や彼らのふるさとが阪神淡路大震災に見舞われたのは、生まれる約10年も前のことだった。
それでも、絵ふうとうに添えられた言葉はまっすぐに心に届く。
津波が起きた6年前は大変だったと思います。自分は、そんな経験をしたことがないので、何を言ったらいいのか分からないのですが、絵封筒で応援したいと思います。気仙沼の復興頑張って下さい!
神戸市立本山中学校1年生による気仙沼への絵ふうとう
私は、今までに強い地震などの災害を経験したことがありません。なので、強いゆれが長時間続いたり、津波が家を流していく恐怖は、テレビなどの動画を通してしか知りません。でも、みなさんと心からつながることはできると思います。1日もはやい復興を願っています。
神戸市立本山中学校1年生による気仙沼への絵ふうとう
私は、この絵ふうとうを
話したこともなく共通点があまりにくても、人と人がつながっていて、
どこかで応援しているというイメージで書きました。
「ハナショウブ」の花言葉は、「優しさ」などがあります。つらいこともあると思いますが、ずっと神戸から応援しています。がんばってください。
神戸市立本山中学校1年生による気仙沼への絵ふうとう
「何を言ったらいいのか分からない」「でも、みなさんと心からつながることはできる」「話したこともなく共通点があまりにくても、人と人がつながっていて、どこかで応援している」——
メッセージの中にある「ハナショウブ」は切手の絵柄のこと。封筒に絵を描くだけでなく、どんな切手を選ぶかについても、神戸の中学生たちは考え抜いてデザインしている。
仮設住宅なのだろうか、家具のないがらんとした部屋の真ん中に開け放たれた窓が描かれていて、窓の中に桜の花の切手を貼った絵ふうとうもあった。添えられていたのはこんなメッセージ。
あれから5年経ちましたが、心には深い傷を負っていると思います。ぼくの作品は、窓の外の桜咲く未来へ行きたいという気持ちです。結構仕上げがあらっぽくて、下手かもしれませんが、ぼくの気持ちが皆さんに分かって頂ければ幸いです。
神戸市立本山中学校1年生による気仙沼への絵ふうとう
絵ふうとうを1つひとつ全て紹介したいのだが、最後に、冒頭に紹介した絵ふうとうの作者が添えたメッセージを紹介させていただこう。
暑い日が続きますがお元気ですか。
気仙沼の街が元気になることをいのっています。
まだまだ暑い日が続きますが、お体にお気を付けください。
神戸市立本山中学校1年生による気仙沼への絵ふうとう
もっとご覧になりたい方はぜひ気仙沼の海の市へぜひ!
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