陸前高田の「みんなの家」かさ上げ工事で移転へ

iRyota25

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陸前高田市高田町大石31番地。陸前高田の町が見渡せる高台にみんなの家はある。みんなの家は震災後の避難所生活の中で生まれたコミュニティに、伊東豊雄氏、乾久美子氏、平田晃久氏、藤本壮介氏の4人の建築家と陸前高田出身の写真家畠山直哉氏らが中心となって造った10坪ほどの建築。2012年に完成して以来、陸前高田の人たちや陸前高田を訪れる人たちの交流の場となってきた。

みんなの家は、津波の塩害を受けた10数本の杉材が天に向かって伸びる中に居住空間を設置するという独創的なフォルム。柱に囲まれた建物の外周には階段やはしごが設置され、屋根とほぼ同じ高さに物見台も設けられている。

空に伸びる杉の柱は、被災から立ち上がる陸前高田の人々を象徴しているようにも見える。

屋上に林立する太さも形も高さも異なる柱は、陸前高田の町の変化をずっと見守ってきた。がれきが撤去され荒れ果てた土地が広がっていた頃。巨大なベルトコンベアーが建設され、山から大量の土が町に搬び込まれ、かさ上げされた土地が広がっていった日々。そしていま、かさ上げ工事はみんなの家の目の前にまで迫っている。

みんなの家の前の市道はすでに通行止め。みんなの家はかさ上げ工事で近々移転することが決定している。

押し寄せた津波の先端近くに位置し、これまで町の変化をまるで仁王立ちするように見つめてきたみんなの家は、かさ上げ工事が行われる土地の再終端となった。

みんなの家の間近に迫ったかさ上げの土地に登ってみる。10メートルほど標高がある場所ながら、かさ上げのために積み上げられた土の山の思いのほか高い。

高く積み上げられた土地、これから新しい陸前高田の大地となる土地に大型ダンプがうなり声を上げて登ってくる。何台も何台もひっきりなしに登ってきては10トン分の土を下ろし、新しい土地を広げていく。

かさ上げされた土地から見ると、みんなの家は1階部分が埋もれて見える。これまで町を見渡せる高台だった土地はやがて、町につながる平坦な土地の末端になる。

工事開始を控えて最近では閉まっていることが多いみんなの家だが、その果たしてきた役割が終わることはないだろう。新たな土地に移って活動を続けるみんなの家のこと、これからも伝えていこうと思う。

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