岩手県山田町。海岸沿いの漁業地域と市街地を区切る防潮堤工事が急ピッチで進められていますが、その現場から100メートルちょっとの場所では、大規模なかさ上げ工事も進展中です。町役場からほど遠くないかさ上げ造成地の法面に、仮設の階段が設置されていたので上ってみました。
きっとかさ上げ工事の現場を見渡せる、陸前高田にもあった見晴らし台のような場所なんだろうと思って上ったんです。山田にもベルトコンベアーがありますしね。
ところが、階段を上がると意外な景色が広がりました。かなりの驚きでした。
周囲のかさ上げ工事現場がどこにあるのか分からないほど、広い広い造成地。たぶん公立高校のグラウンドの広さの平均よりずっと広大な土地が、階段を上り詰めた高みに出現していたのです。
次の日がお祭りだったようで、準備の人たちがけっこうな人数働いていました。ステージ用の大きなテント、出店用のカラフルなテント。そしてちょっと感覚がおかしくなるようなシュールさだったのは、自転車に乗っている人の姿。これまでには存在しなかったまったく新しく造られた土地で、しかもお祭りのテントは並んでいても、まだ一軒の家もないのに、まるで日常の一コマのようにのんびりと自転車をこいで走っていく人。
すぐにでもこの土地が人の生活する土地になりそうな予感と、しかしここは数カ月前には空中だったんだよなという信じられない感覚の両方がないまぜになって、とにかく不思議な感じでした。
目線を下げて、かさ上げ造成工事の「新しい地面」から以前の町を眺めると、お向かいの廃病院は半分地面の下。少し高台にある役場も駐車場が地下駐車場になってしまいそうな感じです。
かさ上げした土地と以前からの土地をどのようにつなぐのか。もちろん役場はちゃんと計画を立てて、着実に準備を進めていることでしょう。早く生活の基盤となる土地の復旧が進めばいいと思います。
それにしても、上から見下ろすとけっこうな高度感です。まだまだ大変そう。
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