【熊本地震点景】ボランティアがやっちゃダメなこと

iRyota25

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写真は九州自動車道下り線、基山(きやま)パーキングエリア(佐賀県)のコンビニエンスストアの商品棚。飲料はほとんどが売り切れ状態だ。

(2016.04.20)
(2016.04.20)

[熊本大地震]なぜそこで買おうという気になれる?

熊本県益城町の中心部にはセブン-イレブンの店舗がある。1,000人を超える人が避難している総合運動公園の体育館からは徒歩3分ほどの距離だ。このコンビニは断水が続く困難な状況の中で店を開けている。配送は飲料水とおにぎりやパンなどに限られているが、避難所から買い物に来る人も多い。避難所では自衛隊が行なう炊き出しには、配布の数時間前から長い行列ができる。列に並ぶことが出来ない人がコンビニに買い物に来ていることは容易に想像できる。

本震とされる地震が発生してから初の土曜日、このコンビニの駐車場には九州各県はもとより、関西や中部地方のナンバーのクルマが何台も並んだ。ボランティア活動のために乗り付けてきた人たちだ。大型のワンボックスやトラックなど物資を運んできたと思われるクルマもある。

しかし、そんな県外から乗り込んできた人たちが、このコンビニでおにぎりなどを買い込んでいた。

これはいけない。

駐車場でグループのリーダーと思しき人がメンバーたちに訓示を垂れている。被災地のために今日一日活動するんだと気合いを入れている。しかし、その手にはこのコンビニで買ったおにぎりだ。

これはやっちゃいけない。

このコンビニの商品棚に並んでいるおにぎりやお茶が、いったい何時間かけて運ばれてきたのか。どんな困難を乗り越えて、いまこのお店に並べられているのか。何より、避難所から買い物に来る人がたくさんいる中で、数少ない食料を外から来たボランティアが買い占めてしまうなど、いったいどういうことなのか。

ルールなどなくても、誰かに言われなくたってわかるはず。

コンビニだけではない。被災した熊本市周辺では、震災と関係しているのかどうかは不明だがガソリンが安い。福岡県では1リットル120円前後のところ、熊本市周辺では109円という店がほとんどだった。

その安いスタンドに他県ナンバーのクルマが列をなす。

これもやっちゃいけない。

物流が滞っている中、被災した熊本のためにわざわざ運び込まれてきた物資を、ボランティアが消費してしまう。それがどういうことなのか考えなければ。お金を払っているのだからいいだろうという問題ではない。

クルマで入るということも要検討

ボランティア活動の昼休み、熊本市出身のボランティアさんと、やっちゃいけないことについて話していたら、彼女は「私も申し訳ないことをしたんです」と告白するように話しはじめた。

現在は熊本市在住だが実家は南阿蘇村にあるのだという彼女は、あの大きな被害が発生した後、心配でならなくてクルマで実家に様子を見に行ったのだという。

「通行できる道路は限られていて、しかも道は悪い。そんな場所に全国さまざまの都道府県から消防などの緊急車両が救助のために入ってきてくれていました。頭が下がる思いでした。でも私は、実家が心配というワタクシゴトで南阿蘇に向かって、その結果渋滞をひどくしていたのです。全国からあんなにたくさんの人が村を助けに来てくれている時に、たいへん申し訳ないことをしました。反省しても反省し切れない気持ちです」

クルマで被災地に乗り付けるという愚行。自分は1名乗車という最悪の形で犯していた。物資集積所から個別避難場所への輸送に使おうという考えはあったものの、その用途ではほとんど使えなかったのだから言い訳にもならない。ガソリンを域外で調達するのはもちろんのこと、物流のさまたげにならない深夜に走行するなどの配慮は不可欠だ。

「ボランティアって所詮は身勝手な奴らだもんね」などという誹りを受けない活動をこころがけなければ。

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