【熊本地震の風景】コンビニがあいてない!

iRyota25

公開:

2 なるほど
3,435 VIEW
0 コメント

物流は少しずつ回復に向かっている。この記事は最初の地震から1週間ほど経過した頃の記録。大きな災害が発生した時にくらしがどうなるのか想像する一助にしてもらえれば幸いだ。

[熊本大地震]商品がなければコンビニも閉店する

最初の地震から5日後、金峰山方面から山越えして熊本市内に入った時、上熊本あたりのセブン-イレブンが開店していて、商品こそ少ないものの、近所の人がふつうに買い物しているのを見た時はうれしかった。(そのお客さんはアイスクリームを買って駐車場で食べていた)

かつてセブン-イレブンがCMでも流していた「あいててよかった」という言葉を思い出した。しかしいまやコンビニエンスストアは開いてて当たり前。多くの人のくらしにとって欠かせない存在だ。

しかし、地震の被害が大きかった熊本県地方では、すべてのコンビニが開いているわけではなかった。

最初の地震の1週間後、21日の午前6時頃、健軍町のローソンが閉店しているのには驚いた。ドアの前に立って自動ドアが開かないことで初めて気づいたくらいだ。前夜には同じ店でトイレを借りていた。健軍町は古くからの住宅地で商店街もある町だ。ドアにも24時間営業と記されていた。しかもローソンといえば、阪神淡路大震災の時から、被災した町のために貢献する姿で知られてきたコンビニだ。まさか営業時間が制限されているとは思いもよらなかった。

健軍町のローソンでの経験以降、他のコンビニがどんな状況なのか注意して見るようになった。

自分が動いて回った熊本市の東部から益城町にかけてのエリアでの印象ではあるが、24時間オープンしているのはセブン-イレブンだけのようだった。ローソンは夜間は閉店。ファミリーマートは時間を限っての開店といった感じだった(あくまでも印象であって、実際には開いている店、閉めている店、まちまちだったかもしれない)。

ちなみに熊本市の調べによると、市内のコンビニエンスストア数は、セブン-イレブンが133店、ローソンが70店、ファミリーマートが69店だという。

店から発注できない状況が続く

益城町と隣接する熊本市東区のコンビニで聞いた話では、入荷する商品の量や配送の回数は最初の地震から8日、9日経った頃からかなり改善されたそうだ。

益城町に行くのに便利な立地なのでその店舗には何度か立ち寄ったが、いつ入っても飲料や食べ物のショーケースには空きが目立った。というよりほとんど商品が並んでいなかった。わずかに残っていた菓子類やプリンやゼリーなども、自分が益城町に通っている間に底をついた。店にはノートやティッシュ、コスメ、そして若干の酒類しかない状況だった。

それでもお店の人の話では、時間は不定期ながら商品はずっと入荷していたという。なるほど、他のコンビニチェーンに時間制限での営業が多いのに、セブン-イレブンには24時間営業のところが多い一番の理由は、商品の配送が継続していたことにあるのだろう。

しかし、お店の人の次の言葉には少なからず驚かされた。

「でも今はまだ、お店からの発注はできないんです」

発注しないのに商品が届くということは、本部側で水やお茶を何ケース、おにぎりを何個、パンを何箱と、商品構成を絞り込んでプッシュ方式で発送しているということ。とにかくそれぞれの店舗に商品を送り届けることに全力を注いでいるということだ。

おそらく商売というよりも、被災地支援という考え方に立ったオペレーションなのだろう。ありがたいことだと思う。しかし、そのような緊急対応にも弱点がある。店舗から発注できなければ、店舗の在庫状況がまるっきり本部側に伝わらないのだ。

一般的な商品なら非常時なのだから我慢するという考えもあるだろう。しかし、我慢したくてもできないものがある。たとえば割り箸。お弁当を売っても割り箸を付けることができなければお客さんが困ってしまう。プリンやゼリーのスプーンもそうだ。そしておそらく最も緊急度の高い問題だったのが、店舗のトイレで使うトイレットペーパーだった。(この件は別記事で紹介)

 【熊本地震点景】トイレのためにオープンし続けたコンビニ
potaru.com
 【熊本地震の風景】支援物資は足りているのか?
potaru.com

コンビニは現代人にとってなくては困る大切な存在だ。しかし、大規模な災害で物流が滞ると商品が届かなくなる。現在のコンビニ店舗はほとんど在庫を持っていないので、配送が止まれば商品はすぐに底をつく。広い範囲で流通(商品の製造も含めて)が混乱すると、通常どおりの配送が不可能になる。本部や配送センターは最低限必要なラインナップに商品を絞り込んで、被災地の店舗に届けようとするが、十分な商品の量を確保するのは難しい。売るべき商品がなければ開店時間を制限するコンビニも出てくる。店舗側から品物のオーダーが停止されてるので、トイレットペーパーのように「店を開けるために必要な物資」までショートすることになりかねない。

繰り返しになるが、コンビニなしでは生活できない人も少なくない。

ボランティアで一緒になった熊本市の方が言った。「閉まっているコンビニを見たのは初めてでした。ショックでした」

最終更新:

コメント(0

あなたもコメントしてみませんか?

すでにアカウントをお持ちの方はログイン