唯一予見できる事故原発の近未来【雑固体廃棄物焼却設備】

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しかし忘れてはならないのは「減容」とは放射性物質の「濃縮」に他ならないことだ。放射性物質は煮ても焼いても減らすことはできないものだから、放射性物質を放出しないように焼却して、容積を100分の1に減らすことが出来たとしたら、放射能の濃度は100になる。大雑把にいうと1キロあたり100ベクレルの廃棄物100キロを燃やして1キロの焼却灰にすると、その灰は1万ベクレルの高濃度汚染物になってしまうのだ。

3月17日付の資料3「可燃性廃棄物の火災対策について」は、伐採木などの可燃性廃棄物の自然発火も念頭に、仮置き場や貯蔵場所での火災防止対策が説明されている。火事を出してしまうくらいなら焼却炉で燃やしてしまいたいという思いが滲むように思うのは筆者ばかりではないだろう。

 【特定原子力施設放射性廃棄物規制検討会(第3回)資料3】可燃性廃棄物の火災対策について|東京電力 平成28年3月17日
www.tepco.co.jp  

廃炉への道は、課題が次々に現れる道のり

東京電力福島第一原子力発電所は事故によって多くの国民に多大な被害を及ぼした。事故から5年が経過した今日でも、融け落ちた炉心の所在すらつかめていない状況だ。廃炉まで40年という目標が掲げられているものの、実際にどれほどの年月を要することになるのか、答えることができる人はいない。

メルトダウンだろうがメルトスルーだろうが、とにかく溶融した燃料を冷却するために冷却水を注入し続けることで汚染水は増加し続けてきた。地震の被害によるものなのか以前からそうだったのか、原子炉やタービン建屋には地下水が流れ込み続け、流れこんだ地下水が汚染されることで、処理しなければならない汚染水、貯蔵し続けねばならない水も増え続けている。いったいあとどれくらいタンクを増設すれば貯蔵の必要はなくなるのだろうか。何百基? 何千基?

いつまでも貯め続けることはできないからという理由から、もしも汚染水を水で割って海に流すということを始めることになったら、その責任は誰が負うのだろう。トリチウムだから大丈夫なんて言う人にとってもらえるほど軽い責任なのだろうか。未来の子孫たちへの責任、世界中の人たちへの責任、地球環境への責任を引き受けてくれる責任者はどこにいるのだろう。

水のことだけでも大変なのに、事故原発では次の課題が突き付けられている。それが固体廃棄物を減らすということ。

しかし、放射能を垂れ流すことが許されない以上、放射性物質は減らされて小さくなった容積の中にぎゅっと詰め込まれることになる。燃焼によってどこまで減容できるかにもよるが、低レベルの汚染廃棄物が減容によって高レベル廃棄物になる。その保管のために厳重な管理が求められることになる。

事故原発の敷地は汚染水のタンクと、放射線濃度の高い固形廃棄物が詰められたドラム缶で埋まっていく。それが唯一予見可能な事故原発の近未来。水で薄めて流すとか、うっかりしたことにして空に放出するといった非道な手段を使わぬ限り、それが唯一予見可能な事故原発の近未来だ。

事故で大量の放射性物質を放出し、多くの国民を苦しめ、苦しめ続け、国土に深刻な汚染をもたらした上、その後始末を進める中でさえ放射能汚染の新たな難題を生み出し続けるもの。それが原子力というもの、核というものの実体に他ならない。

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