3月3日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
【驚愕の説明】5号機使用済み燃料プール内で重さ約130kgの物体が「移動」した原因はホースに空気を入れて浮力がついたからと発表
※ 情報を追加して更新します
※2月22日午前9時30分頃、5号機原子炉建屋5階オペレーティングフロア上にいた当社社員が、使用済燃料プール(以下、「SFP」という。)内底部に設置してあった、機器貯蔵ピット残水移送作業で使用していた浄化用フィルタ(重量約130kg)が、使用済燃料集合体ラック上部に移動していることを発見。(既出 中略)
原因については以下のとおりと推定。
通常、当該フィルタを使用した水移送作業終了後に、ホースからの水漏れリスク低減およびクラッドによる線量上昇防止の目的から、床面に敷設されているホース内の水を空気に置換する作業を行っている。今回は通常時間よりも長く空気置換が行われたことにより、SFP内に敷設されているホース(以下、「水中ホース」という。)内、および当該フィルタ内まで空気で置換されたため、浮力が増して当該フィルタが浮き上がり、燃料集合体ラック上部に移動したものと推定。なお、再現性確認を実施した結果、当該フィルタおよび水中ホース内の水が、ほぼ空気に置換された段階で浮き上がり事象が発生することを確認。
今後の対策については、水移送作業終了後のホース内空気置換の際、床面に敷設されたホースのみを空気置換できるよう、ライン構成を追加し、当該フィルタ使用前後は、当該フィルタの設置状況について確認を実施。
【驚き】「いつもより多めに空気を入れたから浮かんじゃったみたいです」ということ。この説明が本当だとすると、浮力計算すらせずに空気を入れていたということになる。しかも、実物の動きを目視確認すらせずにだ。事故後に集められた協力会社作業員が働いている除染やタンク建設などの現場とは異なり、ここは原子炉の中心部。それも炉心に関わる作業が行われる場所だ。そんな場所でここまで杜撰な作業が行われていたとは、驚き以外のなにものでもない。これまでに同様なことが起きたことはないのだろうか?
1~2号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
3号機 格納容器ガス管理システム配管の鋼管化作業を3月3日午前9時31分に開始
※3号機原子炉格納容器ガス管理システムについては、3月3日午前9時31分より特定原子力施設に係る実施計画「III 特定原子炉施設の保安」第1編第32条第1項(保全作業を実施する場合)を適用し、フレキシブルチューブおよび樹脂製ホースの鋼管化作業を開始。
その他の項目に新規事項の記載なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム停止中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
4~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
◎日報に新規事項の記載なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備の状況 第二セシウム吸着装置を「停止」
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
◎日報に新規事項の記載なし
・セシウム吸着装置運転中停止中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)運転中
・増設多核種除去設備運転中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクBから海洋排水を実施。排出量は922トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクBの分析結果[採取日2月24日]については、運用目標値を満足していることを確認。3月2日午前9時54分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時6分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、午後4時14分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は922m3。
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクCからの排水準備が進む
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクCの分析結果[採取日2月26日]については、運用目標値を満足していることを確認。
※ 一時貯水タンクは浄化後のサブドレン・地下水ドレン水を海洋排出前に一時貯水するもので「サンプルタンク」とも呼ばれる。
サブドレン・地下水ドレン 集水タンクの分析結果(2月23日採取分)
※ 集水タンクはサブドレン・地下水ドレンから汲み上げた水を浄化施設に送る前に貯えておくタンクのこと。
地下水バイパス
◎日報に新規事項の記載なし
※ 3月1日の海洋排出の記事が下線無しで掲載されている
地下水バイパス 排水に関するサンプル分析結果(3月1日採取分)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月2日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
◎日報に新規事項の記載なし
◆H6エリア
◎日報に新規事項の記載なし
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
地下貯水槽 3月1日に採取しなかった複数の観測孔でも全ベータ放射能が上昇。東電は監視を強化
3月1日に採取した地下貯水槽No.1周辺の観測孔A11からA17の地下水を分析した結果、前回値(2月2日採取)の全ベータ放射能が検出限界値未満であったのに対し、最大で200Bq/Lに上昇していることを確認。(既出)
3月2日、全ベータ放射能の上昇が確認された地下貯水槽観測孔A11からA17を含め、A1からA19の地下水を分析した結果、A1からA10、A18、A19の全ベータ放射能について、2月に分析した前回値(検出限界値未満)に対して、上昇している箇所があることを確認。また、A11からA17の全ベータ放射能については、前回値(3月1日採取)に対して低下していることを確認。
なお、地下貯水槽No.1および周辺の配管について目視点検を行った結果、漏えい等の異常がないことを確認。また、地下貯水槽観測孔A16およびA17周辺(地表面)の放射線測定を行った結果、高線量の箇所は確認されていない。今後は当面の間、地下貯水槽観測孔について監視を強化。
1~3号機放水路
◎日報に新規事項の記載なし
K排水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
最終更新: