汚染水が溜まっているのは原子炉建屋やタービン建屋だけではない。タービン建屋から汲み出された高濃度滞留水の処理を行っている廃棄物処理建屋にも大量の汚染水が貯蔵されており、施設内の主な建屋間はトレンチやダクトなどでつながっている。ダクトなどの中にたまった高濃度汚染水が外部に漏洩する恐れがあり、東京電力では監視を強化しているという。
排水路の放射性物質の低減について
原発敷地内を縦横に走る排水路は、汚染物質を拡散するルートとなる危険がある。排水路の線量低減のために行われている措置について紹介している。
線量低減のための施策として、道路清掃、排水路の清掃などが行われているが、暗渠のような場所ではバキュームなどの機械力を使えないため、人力による清掃が行われている。あらためて大変な仕事だと思う。
興味深いのは、この資料の9ページから11ページに示された「上流部の現状調査」。セシウムを含む排水をろ過することで、どの程度セシウムを除去できるかが紹介されている。排水を採取した場所によって、イオン状のセシウム(水に溶けた状態)と粒子状のセシウムの割合は異なることが分かる。
敷地境界における線量評価の現状と年度末に向けた取り組みについて
原発敷地との境界でどの程度の線量があるかを概説し、線量低減に向けての取り組みを紹介している。
敷地境界線量の評価は、以下の3項目を足し合わせて評価している。
・直接線・スカイシャイン線に起因する線量:
構内に設置した施設及び構内に散水した水からの直接線・スカイシャイン線が最大となる地点に24時間・365日間立ち続けると仮定した評価
・気体に起因する線量:
放射性雲からの影響が最大となる地点に24時間・365日間立ち続けると仮定した評価
・液体に起因する線量:
排水している最も濃度が高い液体廃棄物を約2ℓ/日・365日間飲み続けると仮定した評価
スカイシャイン線とは、地上から発せられた放射線が空気に乱反射して降り注ぐもの。平成26年度では、敷地最大境界線量1.44mSv/年で、目標値2mSv/年を達成したという。27年度の目標値は1mSv/年。目標達成のため、タンク内の汚染水処理を進め、タンクエリアからの直接線、スカイシャイン線の低減をはかっている。現時点での敷地最大境界線量は1.34mSv/年で、本年度中の目標達成は可能という。
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