12月8日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
3号機使用済み燃料プール水の分析結果(12月7日採取)
※3号機使用済燃料プールにおける燃料交換機の操作卓等の落下について、12月7日採取した使用済燃料プール水の放射能分析結果は以下の通り。
・セシウム-134 2.1×10^5Bq/L
・セシウム-137 9.3×10^5Bq/L
・コバルト-60 検出限界値未満(検出限界値1.0×10^3Bq/L)
前回と比較して有意な変動はなく、燃料破損の兆候は確認されていない。
【整数で表示】
・セシウム-134 210,000Bq/L
・セシウム-137 930,000Bq/L
・コバルト-60 検出限界値未満(検出限界値1,000Bq/L)
【注目点】セシウム-137の濃度は100万ベクレル近い。使用済み燃料プールのサイズを10m×10m×12mと想定(格納容器の内径は9.6メートル、燃料集合体は高さ約4メートル、水中でのハンドリングを考えると余分を見て3倍の深さが必要だと想定)すると、満水状態で1200トンほどの容量になる。冷却のため循環している水と、核燃料の容積を差し引きゼロと想定して概算(かなりアバウトだが)すると、3号器の使用済み燃料プールの冷却水だけで、1兆2000億ベクレルのセシウム-137が存在する計算になる。この汚染水の処理も将来的に課題になるだろう。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクAから海洋排水を開始
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクAの当社および第三者機関による分析結果[採取日11月28日]については同等の値であり、運用目標値を満足していることを確認。(既出)
12月8日午前10時12分より海洋への排水を開始。
地下水バイパス 海洋排出の準備進む(通算93回目)
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日11月26日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
地下水バイパス 10月分の加重平均サンプル分析結果。10月の排出は合計8,055トン
加重平均サンプルとは、排水前に採取した試料を、各回の排水量に比例した割合で混合した試料を意味する。
※ 2015年10月の累計排出量は4回合計で8,055トンだった。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
12月7日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H4エリア周辺地下水【E-1】全ベータ濃度(単位:Bq/L)
採取日 11/29 11/30 12/1 12/2 12/3 12/4 12/5 12/6
E-1 3,100 4,200 2,800 2,100 2,000 1,800 1,700 2,400
浪江雨量(mm)0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
H6エリア周辺地下水【G-1】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 11/29 11/30 12/1 12/2 12/3 12/4 12/5 12/6
G-1 1,800 2,800 3,500 2,400 1,700 1,700 1,100 1,300
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0
H6エリア周辺地下水【G-2】トリチウム濃度(単位:Bq/L)
採取日 11/29 11/30 12/1 12/2 12/3 12/4 12/5 12/6
G-2 4,900 850 700 640 640 680 590 530
浪江雨量(mm) 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 0.0 0.0 0.0
1~4号機タービン建屋東側 地下水観測孔No.3-2は濁度高のためガンマ測定を行わず
◎日報に新規事項の記載なし
最終更新: