10月26日13時39分（日本時間18時09分）、アフガニスタン北部を震源に発生したマグニチュード7.5の地震の被害が拡大している。

ロイター通信やAFPでは道路を徒歩で運ばれるケガをした少年の姿や混み合う病院の様子など、数多くの写真を紹介している。またAFPでは地元テレビニュースのキャスターが放送中に避難する映像も紹介された。

イギリスBBCのWEBサイトではアフガニスタンとパキスタンを中心に、現地の様子を詳しくリポートしている。（短くまとめられた動画も掲載されている）

震源のアフガニスタンのみならず、隣国パキスタンでの被害が拡大している模様で、イギリスのBBCはこの地震を「Afghanistan-Pakistan earthquake」と呼んでいる。地震の揺れはインドやタジキスタンでも感じられたという。

学校の建物から逃れ出ようとして、アフガニスタンの女子学生12人が死亡、約30人が負傷したことは日本でも伝えられているが、BBCのニュースページには、将棋倒しの犠牲になった学生たちの靴が屋外に放置されている写真が掲載された。

英単語の1つひとつが厳しい現実を突きつけてくる。たとえば、「被害の大きかったいくつかの地域は非常に離れている上、通信が途絶した状況なので死亡者が増加するのは確実と見られている」あるいは「犠牲者はなおも増加中」。

当局者は言う。パキスタンでは北部山岳地帯での死者が少なくとも214人。カイバル・パクトゥンクワ州だけでも179人が死亡し、1,800人以上が負傷したと。

バックパッカーたちから「伝説の地」と呼ばれ、「風の谷のナウシカ」の舞台になったとも信じられているパキスタン北西部のフンザでは、大規模な地滑りが発生した。BBCのニュースは写真と目撃者の言葉も紹介している。

「最初は誰かに揺さぶられている感じでした。そこにいた私たち20人はお互いにつかまり合いました。その直後、私たちの目の前で最大級の地滑りが発生したのです。氷河崩壊だという人がいました。丘が崩れ落ちたという人もいました。

写真からは山体の一部がフンザ川に崩落していく様子が見て取れる。地震の影響なのか氷河崩壊なのかはよく分からない。

パキスタン地質調査所のヘッドイムラン・カーン氏は、カラコルムハイウェイが地滑りで崩壊したという報告があるとした上で、地震によって氷河が不安定化したと判断するのは早計だという。

ニュースを見ているうちに被害者の人数がどんどん増えていく。第一報では数十人。夜には百人超え。翌朝には200人を超えたと報道され、27日のお昼には260人以上というニュースも増えてきた。300人と伝えたニュースサイトもあるという。

新しいニュースが流れる度に増えていく数字。2011年3月を思い出して慄えずにいられない。被害を受けた現場からの映像に驚きながら、同時に数字がだんだん増えていくことにどこか麻痺していた自分のことを思い出して戦慄を覚える。

命が失われているということが理解できているはずなのに、遠くはなれていると実感がすり抜けてただの数字に見えてくる感覚。

地震に見舞われた現場からは、何かの拍子に突然道路沿いの家か壁が崩壊し、道にいる人がガレキの粉塵の中から命からがら逃れ出る映像もネットにアップされている。レスキューオペレーションは始まったが、建物崩壊の危険があるため何十していると伝えるリポーターがいる。病院に運び込まれる人、その隣のドアからは病院から搬出されていく人。白い布を被せられた人。そんな映像もアップされている。

死亡したりケガをした人数はただの数字ではないということを、自分なりに見つめなければと思う。