5月23日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
高性能容器(HIC)からの漏洩の続報。新たに6基で水溜り等
※ボックスカルバート内に収納されている高性能容器(HIC)からの水の滴下事象について、セシウム吸着塔一時保管施設第二施設に保管されているHIC(全数683基)の点検(水溜まりの確認)を行っているが、新たに6基のHICに水溜まり等を確認した。
5月20日現在、267基のHICの点検を完了しているが、これまでに合計26基のHICについて、水溜まり等を確認している。
【新たに水溜まりを確認したHIC】 【製造番号】
・O6ボックスカルバート内HIC → 625899-171
・E6ボックスカルバート内HIC → PO641180-160
・V5ボックスカルバート内HIC → 625899-084
・T6ボックスカルバート内HIC → 625899-232
・R5ボックスカルバート内HIC → 625899-345
・T7ボックスカルバート内HIC → 625899-356
引き続き、残りのHICについて点検を行っていく。
なお、これまでの点検において、HIC蓋にベント孔がないHICが1基(製造番号:PO625899-243)確認された。現在使用しているHICのうち、2014年6月以前に製造メーカより受領した334基のHIC(当該HICを含む)については、受領時にベント孔の検査を実施していなかったことから、当該HIC以外の残りのHICについても、今後速やかに点検を実施し、ベント孔の有無を確認する。なお、2014年6月以降に受領したHICについては、受領時にベント孔の検査を実施している。
建屋カバー屋根パネル取り外しを延期。開口部を塞ぐバルーンがずれていたため
※1号機の原子炉建屋カバー(以下、「建屋カバー」という。)解体作業に伴う屋根パネル(計6枚)の取り外し作業については、5月26日頃から開始することとしていたが、原子炉建屋3階機器ハッチ開口部に設置したバルーン※が、所定の位置に設置されていないことが確認され、復旧に時間を要することから、屋根パネルの取り外し作業を延期する。なお、ダストモニタおよびモニタリングポストのダスト濃度等に有意な変動は確認されていない。
※建屋カバー解体作業に伴う放射性物質放出抑制対策として、開口部の面積を小さくすることで放射性物質の放出量を抑える(少なくする)ことを目的に設置。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※タービン建屋地下滞留水の移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月19日午後3時53分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年5月19日午後3時40分~)
※タービン建屋地下滞留水の移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・原子炉から使用済燃料プールへ燃料移動中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
5月21日の分析結果については、悪天候のためサンプリングを中止。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
5月22日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
5月21日のH4エリアタンク周辺の分析結果については、悪天候のためサンプリングを中止。その他については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
5月21日の分析結果については、悪天候のためサンプリングを中止。
1~4号機タービン建屋東側
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~3号機放水路 2号機放水路立坑のモニタリング頻度を週3回に
※2号放水路上流側立坑については、全ベータ放射能およびトリチウム濃度の上昇を受け、1回/日のモニタリングを実施していたが、5月22日まで全ベータ放射能およびトリチウム濃度がともに低下し、安定していることから、5月23日より測定頻度を3回/週(1号機放水路立坑と同様)とし、モニタリングを継続する。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年5月23日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
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