NHKは4月21日のニュースで、「ポンプは1時間に14ミリを超える雨が降ると、容量を超えて停止する仕組み」と伝えているが、ポンプ稼働後で最も多くの雨量だったのは4月20日13時から14時間の2.0mmに過ぎない。
1時間に14ミリの雨まで大丈夫と言いながら、2ミリの雨で溢水したということなのだ。
地下水バイパスの写真をもう一度みてほしい。こんな溝に仮堰を設けても、蓄えられる水の量はたかがしれているだろう。
堰の設置場所にしろ、1日に17.5時間も水を貯める時間帯をつくる運用方法にしろ、ポンプの電源が発電機1基という点にしろ、東京電力は、K排水路の汚染された水を、絶対に海洋に流出させることなく処理するのだという姿勢では取り組んでいないと断ぜざるをえない。ひどい話だ。
港湾内に流せば安全なのか
今回のK排水路からC排水路への移送も、計画にあるK付替排水路も、汚染された水を港湾内に排出することになっている。港湾内ではシルトフェンスが張られるなど汚染拡大を抑える措置はとられてはいるものの、潮の満引きで毎日大量の海水が、港湾内と港湾外との間を行き来している。シルトフェンスも海に垂らしたカーテンのようなものにすぎないから、汚染の拡散をブロックするものではない。
港湾内に捨てるから大丈夫、というような姿勢を打ち出していること自体、大問題だ。
「続報:移送再開」
福島第一原子力発電所 K排水路からC排水路へ水移送ポンプの停止について(続報:移送再開)
本日(4月21日)午前8時45分頃、K排水路の水をC排水路へ移送しているポンプが停止していることを確認しておりましたが、発電機の故障と判断し、発電機を予備のものに取り替え、準備が整ったことから、午後8時9分ポンプを起動し、移送を再開しました。
なお、ポンプの起動状態に異常はありません。
発電機が停止した原因については、引き続き、調査中です。
なお、K排水路および南放水口のサンプリング結果は、以下の通りです。
<K排水路>【4月21日 午前7時00分採取分】
・セシウム134:20Bq/L
・セシウム137:67Bq/L
・全ベータ:110Bq/L
<南放水口>【4月21日 午前7時40分採取分】
・セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:1.1Bq/L)
・セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:1.3Bq/L)
・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:15Bq/L)
<参考>
■告示濃度限度
セシウム134 : 60 Bq/L
セシウム137 : 90 Bq/L
ストロンチウム90 : 30 Bq/L
トリチウム : 60,000 Bq/L
■WHOの飲料水水質ガイドライン
セシウム134 : 10 Bq/L
セシウム137 : 10 Bq/L
ストロンチウム90 : 10 Bq/L
トリチウム : 10,000 Bq/L
K排水路からC排水路へ水移送ポンプの停止に関する公表資料については下記をご参照ください。
福島第一原子力発電所 K排水路からC排水路へ水移送ポンプの停止について(続報:移送再開)|東京電力 平成27年4月21日|東京電力
「WHOの飲料水水質ガイドライン」はおろか「告示濃度限度」をも超える汚染水が海洋に流出したこととが確実になった。流出し薄められた後の海水の測定結果が検出限界値未満であったかどうかは問題ではない。
K排水路問題への取り組みを見れば東京電力の本気度がわかると考えてきた。2月に書いた記事でそう指摘した。しかし、ここまで杜撰な対応がありうるとは思わなかった。想像をはるかに超えていた。東京電力に事故原発を任せる方針は考え直した方がいい。
追記として、事故原発に勤務されているというハッピーさんのTwitterを引用。
ハッピー @Happy11311 · Apr 21
8台のポンプが一斉停止。電源は、全て一つの発電機から…。発電機の燃料が無くなったり、故障すれば全て止まるのは当たり前のこと。なぜバックアップ電源もつけなかったんだろ?なぜ複数のポンプをグループ分けして、複数の発電機を使わなかったのだろ?
続:なんで、こんな簡単な危険予知が出来ないんだろう?誰が計画したのだろうか?誰もこのトラブル想定を指摘しなかったんだろうか?仮設だから?、低線量、低レベル汚染だから?海に流さないと約束したんだから、いくら低レベル汚染だからと言って許される問題じゃないはず。
終:世間からは杜撰な管理と言われるだろうし、このように同じような低次元のトラブル起こしてるから東電に管理能力が無いって言われるんだ。これが、もし雨水とかの低レベル汚染じゃなく、超高汚染の水だったらきちんと管理したはず。でも、レベルの問題じゃなく全て真剣に管理するべきだよ。
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