建築基準法違反でも安全宣言。大臣認定を自ら否定。
東洋ゴム工業による免震材料(免震ゴム)の性能改ざん問題で、国土交通省は31日、国の認定基準を満たさない免震ゴムを使用している55棟の建物全てについて、震度6強から7程度の大規模地震でも「倒壊する恐れはないことを確認した」と発表した。同省は「一定の安全宣言(に当たる)」(建築指導課)と強調した。
国交省は、東洋ゴムが30日に公表した安全性の検証結果について第三者機関に評価を要請。東洋ゴムの検証過程に「不適切な処理はなかった」と結論付けた。
安全性を確認した55棟に、国の安全基準をぎりぎりでクリアした物件が含まれることについて、国交省は「厳しい条件で検証した」(同)として、問題はないとの見方を示した。(2015/03/31-11:59)
ひとまず、対象物件に住まわれていた住人の方々は「ホッ」としたことでしょう。でも、納得できるのかな。
当初発表した2,052基については、「すべて交換する」ということを東洋ゴムの山本社長も表明していたし、その線で国土交通省も納得していたと思うのですが、それはどうなるのかなぁ?
国交省の安全宣言は、「交換しなくて良い宣言」はないでしょうね!!
交換するかしないかは当事者間の交渉なのでしょうか。国交省の安全宣言は、自治体などの公共機関に対し、「目を瞑れ」という「圧力」(今年の流行語対象候補になるかも)なのでしょうか。
もしそうだとしたら、
「承服できません!!」(流行語対象の対抗馬)
何度も言いますが、建築基準法は、国民の生命、財産を守るために建築物の構造に関する「最低の基準」として、安全上必要な品質に関する技術的基準に適合する(国土交通大臣認定)材料でなければ、使用を禁じており、免震材料は、建築法による国交大臣認定が必要な材料に規定されています(建築基準法に基づく告示「建築物の基礎、主要構造部等に使用する建築材料並びにこれらの建築材料が適合すべき日本工業規格又は日本農林規格及び品質に関する技術的基準を定める件」、「免震建築物の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める等の件」)。
免震材料は、技術的基準(性能評価)をクリアし、大臣認定を受けた製品以外は、使用が禁止されているのです。しかも建築基準法が第1条で謳っているように、この技術的基準は、安全上の最低の基準なのです。
安全の最低基準とする建築基準法の要件に満たないのに、「安全」と認めるのは、建築基準法の基準が、
1.ハードルが高すぎた
2.基準値に意味がなかったので今回のデータのほうが信頼できる
のどちらかになります。
デタラメですか、建築基準法は!
とにかく国交省自らが、建築基準の意義を貶めたことになります。
まじめに取り組んでいる他の業者は、取り組み損ですか?
それとも業界全部がヤバイのですか?
今一番ヤバいのは、実は国交省ですよ。
2度目です、この会社の建築基準法違反は。2007年に防火断熱パネルの不正を謝罪
した時には、「もう、しません」て言いながら、今回の不正をやっていた。前回の事件と通算で『23年間も連続して不正』を続けて商売をしていたのです。
「不正を見破ることも出来ないくせに、認定振りかざして、偉そうにするのが仕事になっちゃてるから、こんなことが続くんだ」と痛いとこ突かれたくないのが国交省だから、「安全だった」が予想通り東洋ゴムと国交省の共通利害になったわけです。このまま終わらせたなら。
原発といい、今回の問題といい、「安全宣言」を錦の御旗とし、官僚は自分たちを正当化しすぎています。
『国交省安全宣言』の見出し記事がズラーっと並ぶのに、批判が見つからないのは、一体どんな社会なんだ。新聞社1社、ニュースを扱うことが出来る放送局1社あれば、日本は事足りる国になってしまうのだろうか。
総理じゃなくて将軍様だね。いやいや、その将軍でなく、あの将軍の意味です。
逆パチンコ台とは
徹底的に検査、審査を行って、ようやく認可を出すのがパチンコ台。認可を出すの認可後パチンコホールに設置されてから、違法性があると摘発するのも実は同じ機関。
高い金額の申請を何回もやり直させて(何回もお金を取る)、ようやく認可をだしたと思ったら、違法性がく「けしからん」と摘発をするわけです。警察のすごく偉い人しか天下ることができない検査機関で。
今回の国交省は、この逆で、ズルズルの審査で、認定しておいて、不正が発覚して「けしからん」と言っておきながら、「安全で問題なし」と同じ機関がお咎めを下げてしまう。
やってることは同じようだけど、パターンが逆なので、「逆パチンコ台」といったわけです。
自分たちでルールを作って、自分たちで破ってしまう。常に自分たちの都合で。
『安全宣言』の安全は、実は非常に喜ばしいことなのです。
しかし、それで良かったねでは、話になりません。
『安全宣言』の意味するところは、
「安全性は確認できたけど、いっさい手を緩めず、徹底的に罪を追及していくよ」宣言なのか・・・
「安全だったたから、この際いいことにしようか。早いとここの問題、世間に忘れさせようぜ、お互いヤバイから」宣言なのか・・・
ハッキリ問いただしていく記事をじっくりと読みたいものです。
本日の株式市場は、どうも後者の宣言だったと解釈したようです。
建築天国ニッポン到来でしょうか。
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