11月27日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発の現状を考えます。
3号機廃棄物処理建屋中央操作室 ~天井の穴を塞ぐことすらできないから、雨が降ったら漏洩検知
※11月26日午後5時51分頃、3号機タービン建屋1階通路の漏えい検知器が動作。現場を確認した結果、3号機廃棄物処理建屋中央操作室の天井部から流れ込んだ雨水が、3号機タービン建屋1階通路に流入し、漏えい検知器を動作させていることを確認。
また、当該漏えい検知器周辺に、約3m×約20m×深さ約3cmの水溜まりがあることを確認。なお、降雨の際には以前にも同様な箇所から雨水が流入し、当該検知器が動作している。
「以前にも同様な箇所から」というのは下記の出来事等を指すようだ。
気象庁による近隣の浪江の観測データでは、11月26日の降水量は32.5ミリ。1時間あたりの最大降水量は4.5ミリだった。
「以前にも同様な」の5月1日のケースでは、「午前10時から午前11時までの1時間における福島第一原子力発電所構内の降雨量は約24mm」と発表されている。
より少ない雨でも雨漏りするようになったのか?
極めて高濃度の汚染を示している1号機放水路立坑の測定結果(11月25日採取分)
※1号機放水路上流側立坑において、セシウム137の濃度が上昇した件について、1号機放水路立坑水の分析を実施。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<1号機放水路立坑水(上流側)11月25日採取分>
セシウム134:6.9×10^3 Bq/L
セシウム137:2.2×10^4 Bq/L
全ベータ:3.0×10^4 Bq/L
トリチウム:4.7×10^2 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)11月25日採取分>
セシウム134:6.4×10^2 Bq/L
セシウム137:2.1×10^3 Bq/L
全ベータ:3.6×10^3 Bq/L
トリチウム:7.1×10^2 Bq/L
通常の表記に書きかえると、
<1号機放水路立坑水(上流側)11月25日採取分>
セシウム134:6,900 Bq/L
セシウム137:22,000 Bq/L
全ベータ:30,000 Bq/L
トリチウム:470 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)11月25日採取分>
セシウム134:640 Bq/L
セシウム137:2,100 Bq/L
全ベータ:3,600 Bq/L
トリチウム:710 Bq/L
1号機 ~使用済み燃料プールの冷却を再開
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・11月26日午前6時10分、循環冷却設備電気品の点検を行うため、使用済燃料プール代替冷却系を停止。(既出)
その後、当該作業が終了したことから、同日午後4時22分、当該冷却系を起動。運転状態について異常はない。なお、冷却系起動後の使用済燃料プール水温度は17.0℃であり、冷却停止時の温度と変化はなく、運転上の制限値(60℃)に対して余裕があり、使用済燃料プール水温度の管理上問題はなかった。
※滞留水移送は停止状態
2号機~4号機
新規事項なし
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月26日午前10時23分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中。
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
5号機 ~使用済み燃料プールの冷却は「運転中」
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
6号機
新規事項なし
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算36回目となる海洋排出の準備が進む
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日11月18日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
11月26日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
H4エリア、E-1の全ベータが前回に比べて約70倍に。降雨の影響との見方
<最新のサンプリング実績>
H4エリア周辺地下水E-1の全ベータ値は、
63,000Bq/L(採取日:11月26日)となっており、
前回採取時の850 Bq/L(採取日:11月25日)と比較し約70倍に上昇。
[過去最大値:710,000 Bq/L(採取日:平成25年11月10日)]
なお、当該観測孔の全ベータにおいては、降雨の際に以前にも上昇が見られていることから、今回の上昇についても、降雨が影響したものと考えられる。今後も監視を継続していく。
その他の分析結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側 ~前日の発表資料にあった地下水観測孔No.0-3-2のマンガン-54についての続報はなく、本日付資料の「前回公表までの最高値」の記載が元に戻る
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
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