トレンチの止水は不完全か。水を抜いても予期したほど水位が下がらず。海の近くのウェルポイント汲み上げ水は、最高値を更新したにも関わらず通常の週1ペースの分析に
11月17日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発の現状を読み進めます。
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タービン建屋とトレンチの閉塞を確認するため、トレンチ内溜まり水の移送を実施
※2号機海水配管トレンチについては、タービン建屋からの流入水を防ぐため凍結による止水対策を実施中であり、
今後海水配管トレンチの閉塞を目的にグラウト充填工事を計画している。
グラウト充填工事に先立ち、凍結止水の効果確認、タービン建屋と立坑の接続部の連通性確認および海水配管トレンチ内への地下水流入確認を実施するため、
11月17日午前9時39分、2号機立坑Cから海水配管トレンチ内の滞留水を集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)に移送開始。
加えて、この日行われた定例の記者会見の資料で、移送完了についても発表された。
17 9:39~15:22
グラウト充填工事に先立ち、凍結止水の効果確認、2号機タービン建屋と立坑の
接続部の連通性確認および2号機海水配管トレンチ内への地下水流入確認を実施するため、
2号機立坑Cから海水配管トレンチ内の滞留水を集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)に移送を実施。
移送中および移送後の状況については、漏えい等の異常がないことを確認。
トレンチからの水抜き作業は約6時間で終了したとある。また「漏えい等の異常がないことを確認」との記載もあるが、定例会見の動画を見ると、ここでの「漏えい」は、タービン建屋とトレンチの間の止水箇所からの漏えいではなく、汲み上げた水をプロセス主建屋へ移送するラインでの漏えいがないことを確認したという意味だった。
さらに、トレンチから抜き取った水の量は200トンに及び、止水が完全であれば約80センチの水位低下が見込まれたが、16時時点では20センチ程度にとどまったことも発表された。
これは止水が完全ではなかったことを強く示唆するもの。会見で東京電力の担当者は、データを評価した上で詳しく説明すると強調していた。
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1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止
◆2号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月13日午後3時7分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算34回目となる海洋排出を開始
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の当社および第三者機関による分析結果[採取日11月8日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認したことから、(既出)
11月17日午前10時3分、海洋への排水を開始。同日午前10時7分に漏えい等の異常がないことを確認。
タンクパトロール結果 ~パトロール員が足場で転倒し打撲したため、足場が設置されたエリアでは堰の外周からのパトロールに変更。そのため70μm線量当量率の測定は実施できず
◆最新のパトロール
11月16日、G4南エリアをパトロールしていたパトロール員が雨水抑制対策工事のために設置された足場を跨いだ際に、足元が滑り転倒(打撲)したことから、当該エリアおよび足場が設置されているエリアにおいては堰外周からのパトロールに変更。
そのため、70μm線量当量率の測定を実施できなかった。
今後、当該エリアおよび足場が設置されているエリアについては、安全確認を実施した後に、パトロールを再開予定。
なお、その他のエリアについては、11月16日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側 ~マンガン-54、全ベータ、セシウムで過去最高値を記録した後、1,2号機ウェルポイント汲み上げ水の分析結果は公表されず
新規事項なし
11月13日に過去最高値を記録した1,2号機ウェルポイント汲み上げ水の分析結果は公表されていない。
11月17日の定例記者会見動画では、1,2号機ウェルポイント汲み上げ水の分析は1週間に1度のペースで行われてきたもので、最高値を記録した後、分析の頻度を通常の週1ペースに戻していると東京電力は説明している。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年11月17日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: