地下水バイバス揚水井No.12で上昇を続けるトリチウム濃度。運用目標を上回り汲み上げを停止
5月28日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
5月27日、転倒し病院に搬送された作業員は「左膝外側半月板損傷」
※5月27日午前10時33分頃、B北エリアにおいて、協力企業作業員が汚染水タンク雨水抑制対策工事の作業中に転倒し左膝を負傷。入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けたところ、緊急搬送の必要があると判断。同日午前11時24分、救急車を要請。なお、当該作業員に放射性物質の付着はない。同日午後0時42分に福島労災病院に到着。(ここまで既報)
同日、受診した福島労災病院より診断書が発行され「左膝外側半月板損傷」と診断された。
28日、体調不良の作業員をドクターヘリで福島県立医科大学附属病に搬送
※5月28日午前10時4分頃、入退域管理棟更衣所において体調不良となった協力企業作業員が、救急医療室の医師の診察を受けたが、緊急搬送の必要があると判断されたため、同日午前10時29分にドクターヘリを要請。なお、当該作業員に放射性物質の付着はない。同日午前11時22分に福島県立医科大学附属病院に向け搬送、同日午後0時に到着。現在、医師の治療中。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年5月19日午前10時6分~)
※使用済燃料プール循環冷却系については、使用済燃料プール内の燃料交換機本体撤去作業に伴い、4月23日~6月上旬の間、原則毎週月曜日午前7時~土曜日午後4時の間停止予定(停止時間は最長で129時間、毎週土曜日午後4時~月曜日午前7時の間は運転予定)。また、水温は運転上の制限値65℃に十分な余裕を持った45℃を超えることがないよう、同冷却系停止前のプール水温度を29℃以下として管理する。
<最新の作業実績>
5月17日午前11時7分起動(起動後の温度:24.4℃)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況
◆新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス揚水井の状況
<最新のサンプリング実績>
地下水バイバス揚水井No.12:5月26日採取分
・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:4.1 Bq/L)
・トリチウム:1,700 Bq/L
地下水バイバス揚水井No.12のトリチウム濃度が上昇を続けている。ついに汲み上げを停止した。
地下水バイパス揚水井No.12のトリチウムの測定結果が運用目標値(1,500 Bq/L)以上であったため、あらかじめ定めた対応方針により、当該揚水井については、5月27日午後8時48分、汲み上げを停止。当該揚水井のサンプリング頻度を増加(週2回)し、傾向監視を強化。
なお、その他の揚水井(No.2,4,6,8,10)の測定結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果
焼却建屋にたまった滞留水をプロセス主建屋へ移送中。
<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
<最新のパトロール結果>
5月27日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井の状況
新規事項なし
地下貯水槽の状況
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年5月28日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: