H6タンクエリアの地下水でトリチウム濃度が上昇。奇しくも地下水バイパス揚水井No.12と同じ2,300Bq/L
7月2日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
1号機海側エリアで作業員が骨折
※6月28日午前11時頃、1号機取水口付近において、協力企業作業員が仮設昇降足場を降りる際に足を滑らせ右足を負傷したため、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けたところ、右足関節捻挫と診断され、湿布による処置を行った。当該作業員に放射性物質の付着はない。
その後も痛みが続いたことから、6月30日に福島労災病院にて受診し、医師より右足関節果部骨折と診断された。
ちゃんと労災認定されるのかどうか。事故後の対応についても知りたいところだ。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月29日午前9時52分~)
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年6月16日午後2時42分~)
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
地下水バイパス 〜8回目となる海洋排出、グループ3のタンクから
◆地下水バイパスの海洋排出
1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日6月21日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認したことから、平成26年7月2日午前10時9分、海洋への排水を開始。
報道関係一斉メールでも発表
本日(7月2日)午前10時09分、福島第一原子力発電所における地下水バイパス一時貯留タンク(Gr3-1,Gr3-2,Gr3-3)に貯留してある水の海洋への排水を開始いたしました。
排水状況については、同日午前10時17分に漏えい等の異常がないことを確認しております。
なお、当該タンクにおける分析結果については、当社ホームページに掲載しておりますので、ご参照願います。
URL:http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2014/images//bypastank_140701_01-j.pdf
地下水バイパス 一時貯留タンク(Gr3)からの排水についての続報です。
本日(7月2日)午前10時9分より海洋への排水を実施していましたが(お知らせ済み)、同日午後5時42分に排水を終了しました。
排水終了後に漏えい等の異常がないことを確認しております。
排水量については、1,858トンでした。
◆揚水井のサンプリング分析結果
<最新のサンプリング実績>
地下水バイパス揚水井No.12の分析結果(6月26日採取分)については、第三者機関による分析においても同等の結果だった。なお、地下水バイパス揚水井No.12については運用目標値を超えているが、一時貯留タンク側の評価を行った結果、問題はなかった。
地下水バイバス揚水井No.12:6月26日採取分
<第三者機関の測定結果>
・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:3.1 Bq/L)
・トリチウム:1,500 Bq/L
<当社の測定結果>(お知らせ済み)
・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:4.5 Bq/L)
・トリチウム:1,500 Bq/L
また、揚水井(No.2,4,6,8,10,12:6月30日採取分)の測定結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
※ 6月26日採取分では、トリチウムが1,500 Bq/Lと低減したが、6月30日採取分では2,300Bq/Lに再び上昇している。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果 〜H6エリアの地下水でトリチウムが上昇。2,300Bq/L
◆最新のパトロール
平成26年7月1日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
6月30日に採取したH6エリア周辺G-2観測孔の地下水について、トリチウムの測定値が2,300Bq/L[6月29日採取分の分析値:検出限界値未満(検出限界値110Bq/L)]であった。降雨の影響で測定値が上昇したものと考えており、今後も傾向を監視していく。その他の分析結果については、6月29日採取分の測定値と比較して大きな変動はない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年7月2日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: