プロ野球の選手別応援歌が好き【素人ライターの備忘録】

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一端のライターとして、プロ野球の選手別応援歌が大好きです。

そう、野球場の外野席で、普通の人たちよりちょっと熱狂的な連中が歌っているアレです。今回は、そんなプロ野球の選手別応援歌について考えてみたいと思います。

短い歌詞に詰め込む美学

応援歌の何が素晴らしいって、短いフレーズの中に詰め込まれた「選手の魅力」と「ファンの声」だと思うのです。

そもそも、プロ野球12球団、どのチームの応援団がつくったとしても、応援歌そのものは十数秒程度のものを繰り返すだけです。

もっとも一般的なスタイルで言えば
----------------------------------------------------------------------------------------【○○○○○○○○○○~  ○○○○○○○○○○~
 ドン・ドン・ドンドンドン    ドン・ドン・ドンドンドン
   ○○○○○○○○○○~  ○○○○○○○○○○~(かっとばせー●●)】
   ドン・ドン・ドンドンドン    ドン・ドン・ドンドンドン        ドンドンドン

 ※ 繰り返し
----------------------------------------------------------------------------------------だとイメージが湧くでしょうか。この決まったリズムの中に、歌詞と音をつけて声援を送るのです。選手別応援歌のほとんどが、このスタイルです。こうして見ると、一見単純なつくりにも見えますし、ありきたりな歌詞で作られている応援歌も多いです。

しかしだからこそ、ときどき「これは!」という応援歌が登場します。

今回は、僕が個人的に「これは!」と思う応援歌を紹介します。短いフレーズに詰め込まれた「選手の魅力」と「ファンの声」に注目してみてください。

飯田哲也(ヤクルト~東北楽天)

♪キャッチャー、センター、セカンド どこでも守れる
 足なら誰にも負けない 韋駄天飯田

90年代、俊足のリードオフマンとしてならした、ヤクルト・飯田選手(現ヤクルトコーチ)の応援歌。もうまったく歌詞のとおりなのですが、キャッチャーとして入団したものの、あの古田が台頭したこともあり、彼はキャッチャーを断念。その後、セカンドを経て、センターのポジションを獲得するのです。

まさに、短いフレーズのなか、彼の身体能力の高さや魅力がすべて凝縮されていた良曲だと思います。晩年は創設間もない楽天でプレーしましたが、この応援歌は楽天でも引き継がれました。

田口壮(オリックス~STL~PHI~CHC~オリックス)

♪夢の大地で手にした そのリングに祈り込め
 勝利を呼べ再び立つ この故郷の下へ

 蒼い魂灯し 大きな波呼び起こせ
 勝利の美酒に酔う日まで 進み行け諦めず

元オリックス・田口選手の応援歌です。

1990年代はオリックス・ブルーウェーブでプレー。イチロー、本西、田口の鉄壁の外野陣は、オリックスファンの間では今なお伝説的に語られています。阪神大震災直後の神戸で2度の優勝を経験し、2000年代はメジャーに挑戦。そのメジャーでも2度のワールドシリーズ制覇に貢献し、チャンピオンリングを2つも獲得しました。

2010年には、古巣であり低迷していたオリックスに復帰。その球歴から「優勝請負人」としての期待が、応援歌にも込められているのです。

陽岱鋼(日本ハム)

♪飛ばせ飛ばせ 遥か夢の彼方へ
 届けろ祖国の地へと 加油(ジャーヨ!) 岱鋼 今ここから

2013年シーズンは初の盗塁王にも輝いた日本ハム・陽岱鋼(ようだいかん)選手の応援歌です。名前からもわかるように、彼の出身は台湾。高校時代に野球留学生として来日しました。「遥か夢の彼方へ」「祖国の地へと」「加油」と、まさに彼ならではのフレーズが並んだ応援歌を見ると、日ハムファンでなくとも応援したくなります。

中田亮二(中日)

♪泣く子も笑うその魅力 満開パワーで見せてやれ
 打って走って大暴れ ぶーちゃん祭りだ(わっしょいわっしょい)

 (コール:かっ飛ばせー ぶーちゃん!)

公称体重は100kgの巨漢、中日・中田亮二選手の応援歌です。見た目のとおりのパワーヒッターかと思いきや、バッティングはシャープに打ち分ける技巧派でもあり、さらには50メートルを6.4秒で走り抜ける俊足という一面も。

応援歌も、そんな中田選手の魅力が詰まった歌詞になっています。歌詞にあだ名を入れるあたり、応援団からの思い入れも強い個性派だと伝わってきますね。「ぶーちゃん」とは明徳義塾高時代に監督から名づけられたあだ名だそうです。

小笠原道大(日本ハム~読売)

♪飛び立とう高く 絆共にして
 明日を照らす道広げ 放て君よ今

日本ハム時代は強打の2番バッターとして活躍。その後FA宣言を経て巨人へ移籍するなど、野球選手のサクセスストーリーを地で行く巨人・小笠原選手の応援歌です。

歌詞前半は、割とありがちな詞ですが「明日を照らす道広げ」が、名前の道大(みちひろ)に掛かっていて洒落ています。ごくわずかながら、他球団の選手応援歌でも、このテの名前に掛ける歌詞が見られます。

(※ 戦力外になってしまいましたね……)

伊藤光(オリックス)

♪仲間を鼓舞するその姿は 扇の要たる所以
 冴え渡るその戦術活かし 敵を向かい撃て

球界一のイケメン捕手との呼び声も高い、オリックス・伊藤選手の応援歌です。特筆すべき点は、短い歌詞にキャッチャーの要素をすべて詰め込んでいる点ではないでしょうか。

特に彼は椎間板ヘルニアで選手生命の危機に遭った経験を持つせいか、「仲間を鼓舞するその姿」という歌詞に、彼の復活を照らし合わせてグッときてしまいます。

大西宏明(大阪近鉄~オリックス~横浜~ソフトバンク)

♪長く険しい 荒れた途こそ
 打撃道昇り詰めろ 誇り高き師を胸に

2002年、今は無き大阪近鉄バファローズにドラフト7位で入団した大西選手(現在は引退)。入団当初は俊足堅守の触れ込みで、バッティングは期待されていませんでした。ところが、当時の打撃コーチだった鈴木貴久の熱心な指導のおかげもあり、徐々に大西選手のバッティング力が向上。2人の師弟関係はファンの間でも有名になり、結果、彼は若くしてレギュラー争いに加わることができたのです。

しかし、大西選手が2年目のシーズンを迎えた2004年5月17日にその鈴木コーチが急逝。熱心なマンツーマン指導を受けていた大西選手は、梨田監督の計らいで急逝後の数試合、それまで不動だった大村直之選手にかわり、1番バッターを務めました。

この応援歌は、開花寸前だった大西選手へ向けて作られました。「打撃道昇り詰めろ」「誇り高き師を胸に」のフレーズには、そんな2人のエピソードが込められているのです。

若手選手テーマ(千葉ロッテ)

♪汗をかいて涙を流し 挫けずに頑張ってみろよ
 そしたら明日への答えが 見えてくるだろう

千葉ロッテマリーンズで、まだ個別の応援歌が与えられていない若手選手が出場した場合に歌われる応援歌です。野球経験者の僕からすれば、プロ野球選手の時点で十分スゴいのですが、1軍のグラウンドに立てる選手は、チームの半数以下。激しい競争を勝ち抜かなければならない、厳しい世界です。

この応援歌は、そんな数少ないチャンスを掴んだ若手へのエールになっています。歌詞から伝わるガムシャラ感が若手らしくてイイですね!

ピッチャー汎用(広島)

♪振らな何も 始まらないから
 強気で一か八か フルスイング

広島東洋カープの投手が打席に立った際に演奏される「投手テーマ」です。通常、ピッチャーはバッティングが期待されないものですが、だからこそ、この歌詞が秀逸です。

時には打順調整などで、戦略的にわざと三振をしたりするのが投手の打席。もともとバッティング練習に努める時間も少ないでしょうし、積極的に打ちにいくことは多くありません。しかし、いくらそれが戦術とは言え、わざとアウトになる……という姿勢は、賛否両論があるでしょう。そんなとき、この応援歌を聞くと「良いなぁ」と思ってしまいます。単純な歌詞ですが、応援する側のメッセージが読み取れます。

“振らないと“を口語調で「振らな」と言っているのもイイですね。

まとめ

いかがでしょうか。個人的に歌詞が好きな応援歌をピックアップしてみました。

実際に球場で歌うにしても、このように歌詞から「選手の魅力」や「ファンの声」が伝わってくる応援歌は、声援にもグッと力がこもる気がします。実際、こういう選手の応援歌は歌い継がれるもので、たとえ選手が引退していても、応援団が余興で演奏すれば大いに盛り上がります。やっぱり野球観戦はスタンドで応援歌を歌うに限りますね!

ライターとして見ても、限られた詞の中で目一杯表現された応援歌は、素直に感心してしまいます。いやぁ、言葉って奥が深いですね!

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