除染の現場 2  ~建物の除染~

suyasuya

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建物の除染は、屋根、外壁の種類により、異なります。
高圧洗浄機を使う方法と、手でふき取る方法があります。これは除染を発注する自治体によります。高圧洗浄機は、コストが安く、除染効果が高いものの、飛散した水が周囲を汚染するという問題があります。手でふき取る方法は、周囲を汚染しないものの、除染効果は低く、コストがかかります。
材質により除染効果が、まったく違うので、除染後、放射線量が大幅に下がる建物と、ほとんど変わらない建物がでてきます。
表面が、つるつるの材料(ガラス、金属板、陶器瓦など)は、除染効果が高く、表面が、ざらざらの材料(レンガ、ブロック、セメント瓦など)は、除染効果が低くなります。
これは、付着した放射性物質が、雨により内部に流れこむためで、表面がつるつるならば、表面にとどまっているため、きれいに落とせますが(雨で落ちていることが多い)、表面がざらざらだと奥部に入り込み、落とすことが困難になります。
その場合、表面を薄く削らないと効果がありませんが、そこまでやってもらうことはできません。
垂直方向は、付着した放射性物質が、雨により流れ落ちるため、比較的汚染が少なく、水平方向は、流れにくいので汚染が多くなります。効果的に除染するなら、水平方向を重点的に洗浄することが、重要です。
建物をすぐ塗装する人がいますが、放射性物質を落としきれないと、残ったままになり、塗装しても放射線は出てきますので、放射線量を測定してから塗装すべきです。外見はきれいになり、放射性物質もなくなる気はしますが、見た目と除染結果は一致しません。
建物が古くて、除染ができないところもあるようです。屋根や壁に隙間があって、洗浄した水が室内に入ったり、古いトタン屋根に上がって屋根が壊れたら、除染どころでなくなります。
屋内では、放射線量が少し下がります。放射性物質が多い地面から離れるのと、建物により、放射線が少しさえぎられるためで、一階よりも二階のほうが、放射線量が低くなります。少しでも放射線を避けたいなら二階がお勧めです。
しかし、二階のほうが、放射線量が高いところもあるようです。
屋根に、落葉が溜まっていたり、屋根の勾配がゆるく、土が溜まっていたり、雨樋に土が溜まっていると、そこから出る放射線で、二階のほうが放射線量が高くなることがあります。二階のほうが、放射線量が高いときは、屋根、雨樋を調べてください。
瓦が劣化していると、瓦に放射性物質が浸み込んで、除染しても変わらないことがあります。残念ながら瓦の交換費用は補償されません。
心機一転、屋根を張り替えるにしても、東日本大震災で屋根修理が殺到し、屋根張り替えが当分できないという人が多いようです。

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