小さな入り江の奥に広がる真っ白なビーチ。浜辺にはシットオンタイプの二人乗りカヌーがずらりと並べられている。
まさに、海水浴場のオープンを「いまか、いまか」と待っているよう。
ここは東松島市宮戸島の月浜。奥松島を代表するビーチのひとつだ。あれから3度目の夏、ようやく海水浴場のオープンが実現した。
しかも今年の月浜は「限定発売」の超スペシャル!
真上からの日差しがまぶしいお昼時、浜辺では数人の男性が鉄パイプを組んで監視台を作ろうと奮闘していた。T字型に組んだ鉄パイプを土台として砂に埋める。「もうちっとこっち」「あと少し!」と、水平と垂直をとるための声が響く。直射日光の下、鉄パイプを持ち上げたり、微調整したり。じわりと汗がにじむ…。
作業中恐縮しつつオープンの日程を尋ねると、
「7月21日が初日。それから毎週日曜日限定で8月25日まで。合計6日間のオープンだね」
と教えてくれた。限定オープンの理由は、復旧工事に配慮してとのこと。
ビーチそのもので工事が行われるわけではない。でも――、
「海水浴場やってると、観光のクルマがたくさん入ってくるだろ。そうすっと、工事車両の妨げになるじゃない。だからオープンするのは工事が休みの日曜だけ。」
みなさん地元の観光関係の方だという。奥松島観光の復活のためまずは海水浴場を再開しようと行動してきたのだという。
だが、いまは復旧のための工事が優先。
「それでもね」と一人が言った。「少しずつでも前に進んでいかなきゃね。」
津波で荒れた浜の整備も、脱衣場や避難誘導看板も整備した。駐車場は約500台分を確保。
海も、空も、笑顔もまぶしい。今シーズン限定、スペシャルな夏を奥松島で!
月浜海水浴場
実行委員会本部
●TEXT+PHOTO:井上良太(ライター)
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