津波被災地域を代行バスで結ぶJR仙石線の旅(2013年1月27日/震災から689日目)
仙台と石巻を結ぶJR仙石線。東日本大震災の津波被害で総延長50.2kmのうち約12kmが現在も不通のままです。しかも不通区間が仙石線の中間に当たるため、列車の運行は仙台駅~高城町駅間の折り返しと、陸前小野駅~石巻駅の折り返し運転。その間の不通区間はバスによる代行輸送が行われています。
かつては仙台~石巻を最短距離で結ぶ便利な路線だった仙石線。バス代行でどう変わったのか、実際に乗車してきました。
仙台駅の地上ホームから東へ向かい、地下に潜った先にある仙石線のホーム。ボディに『サイボーグ009』や『仮面ライダー』、『佐武と市捕物控』、『さるとびエッちゃん』、『がんばれ!!ロボコン』など石ノ森章太郎の代表的キャラクターが描かれた電車が運行されています。
駅ホームには電光表示もあるので、初めての人でも利用しやすいのがうれしいですね。ちなみに仙石線の快速電車は2種類あります。最速のA快速は主に日中の時間帯。通勤時間帯を中心に、あおば通駅~多賀城駅では各駅停車、多賀城駅~高城町駅で快速運転を行うA快速が運行されています。
仙台~松島海岸での時間を比較すると、A快速24分、B快速34分、普通電車37分(それぞれ時刻表からの概算)です。快速電車は1時間あたりほぼ1本運行されています。
12:07仙台駅発のA快速に乗車しました。地下ホームを出発した仙石線は、仙台駅から3駅目の陸前原ノ町駅までは地下を走ります。途中停車駅は多賀城駅、本塩釜駅、東塩釜駅の3駅。12:34には代行バスの乗り継ぎ駅である松島海岸駅に到着です。
駅のホームから見下ろすと、駅前ロータリーに代行バスがスタンバイしているのが見えました。遠くには松島の観光名所、福浦橋も望めます。
駅の出口には代行バスの案内表示いっぱい。迷いようがないほどです。ただ、電車を降りて改札を通るときには≪要注意事項≫があります。それは自動改札機に切符を入れないこと。代行バスを利用する時には、駅員に切符を見せて改札を通過してください。
こちらが代行バス。行き先までのJRの切符を見せればそのまま乗車できます。何社かのバス会社の車両が運行しているので、バスはバラエティ豊富。代行バスの台数は、時間帯によって異なっています。この時は2台での運行でした。
12:42、松島海岸駅から矢本駅に向けて代行バスが出発しました。
松島海岸駅を出ると、そこは観光名所、松島のメインストリート。観光客でにぎわう道を代行バスは走ります。
国道45号線から県道27号線へ。仙石線不通区間の各駅を結ぶ道を進みます。
陸前富山駅付近の小さな峠から奥松島の美しい海が見えてきました。この辺りは牡蠣養殖が盛んな場所。
陸前富山駅から東名(とうな)駅にかけて、牡蠣直売場の看板もちらほら見かけます。途中下車したくもなりますが、昼間の時間帯の代行バスは1時間に1本です。
13:02、ほぼ定刻通り東名(とうな)駅に到着しました。駅前に大型バスが入れる場所がない駅では、バスは道に停まります。
東名の次の野蒜(のびる)駅では、駅前ロータリーにバスは停車します。この付近は津波で大きな被害を受けており、解体されていない民家や、建物の陰に集められたがれきがいまでも点在しているところです。
東松島市の海岸沿いに位置する航空自衛隊松島基地は、日本で唯一の曲芸飛行隊「ブルーインパルス」のベースとして知られるところ。大空をキャンヴァスに世界に誇る高度な技を繰り広げるブルーインパルスは、東松島の人たちの誇りだったと聞きます。
東日本大震災が起こった3月11日、ブルーインパルスは、翌日予定されていた九州新幹線の開業祝賀飛行のため、福岡の芦屋基地に移動していたそうです。海近くにある松島基地は大津波に襲われ、F-2戦闘機など航空機28機が水没する被害を受けました。さらに冠水によって基地機能が失われたため、救援物資の補給基地として利用可能になったのは3月16日でした。
「震災から5日間」。基地周辺の人々はどんな思いで松島基地を見つめてきたことでしょうか。そして基地の人々はどんな思いで復旧に奔走していたことか。
2013年2月16日のNHK「かぶん」ブログによると、これまで国内の他の基地に展開してきたブルーインパルスが、3月には松島基地に戻ることが決定し、パイロットたちが東松島市の仮設住宅を訪ね、交流を深めたということです。 (⇒リンク)
最終更新:
habihabi64
地元の方々がご不便を感じることがないよう復旧を願っております。また、多くの方々が石巻へ、またその先へ、向かって下さることが、復興への一歩一歩につながるかと思います。