放射線は怖くない

suyasuya

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放射線への過剰反応

 原発事故から2年余り経過しましたが、被災地では復興が進んでいません。復興を遅らせている最大の原因は、放射線に対する過剰反応だといえます。
 放射線は目に見えず、その影響は将来、ガンになったり、子孫にも及ぶと聞かされれば誰でもそんな所には住めない、近づくのも危険となってしまいます。また除染で出てくる廃棄物の保管場所設置に周辺の反対者が多く、除染がなかなか進みません。
 放射線は少しでも危険だと不安をあおる人が出てきて、マスコミがこれを大々的に報道したため、福島県に限らず近隣県でも避難する人が続出しました。

放射線量の意味

 しかし、放射線量により影響はずいぶん異なるので、放射線量を知ることが最も重要です。
数千mSv(ミリシーベルト)以上被ばくすると身体が異常が発生し、生命に危険が生じます。数百mSv以上被ばくすると血液に異常が発生します。100mSv以上被ばくするとガンになる確率が上昇する(確率的影響)といわれています。(100mSvで0.1%上昇)100mSv以下の被ばくでは影響を証明されていません。
 国連科学委員会(UNSCEAR)からも100mSv以下の被ばくは大した問題ではないと発表されましたが、これは原子力科学の専門家が長年主張してきたことと同じです。
 重要なのは短期間に(一度に)強烈な放射線を受けた場合で、弱い放射線を長期にわたり受ける場合では、影響が全く違います。
 弱い放射線であれば、少しのダメージがあっても体内で自己修復ができるため長期間被ばくしても影響はありませんが、一度に強烈な放射線を受けるとダメージが大きくて自己修復ができずに、器官、臓器などに障害が発生したり、細胞がガン化したりします。
 一度に100mSv被ばくすれば影響が出るかもしれませんが、10年間で少しずつ、計100mSv被ばくしても影響は考えられません。
 放射線作業、除染作業従事者等は1年で50mSv以下、5年で100mSv以下と法律で被ばく放射線量が制限されています。
 つまりこの数値を超えてしまうような場所が、帰還困難区域、居住制限区域、計画的避難区域になっています。
女性は3か月で5mSv以下、妊娠中の女性は妊娠期間中1mSv以下とされています。
一般公衆が1年で1mSv以下の被ばくになるように、政府は除染を進めています。屋内、屋外の被ばくの違いを考慮して1年で1mSvになるのは、算出すると0.23μSv/h(マイクロシーベルト毎時)となり0.23μSv/h以上の場所を除染することになっています。

放射線量と放射線量率の違い

 ここで放射線量と放射線量率の違いを明確にしておきます。放射線量とは受けた放射線の総量で、放射線量率とは単位時間あたりの受けた放射線の総量をいいます。
 ニュースなどでは放射線量としかいわないので間違いやすいのですが、「地域別の放射線量」「1時間あたりの放射線量」というのは放射線量率のことです。放射線障害、生物への影響などで出てくるのが放射線量です。
 放射線量が距離で放射線量率が速度と考えればわかりやすいと思います。速度に時間をかければ距離がわかります。同様に放射線量率に時間をかければ放射線量が出せます。
 0.2μSv/h(放射線量率)の場所に8時間いれば1.6μSv(放射線量)被ばくします。なお1mSv(ミリシーベルト)は1000μSv(マイクロシーベルト)です。
 これがわかれば、家の中、外の放射線量率を測ると1日の被ばく放射線量が計算でき、1年では1日の365倍、10年では1年の10倍で即座に算出できます。
(実際には、放射性物質は放射線出すことで徐々に減っていくため、被ばくも徐々に減っていきます。)

自然界の放射線

 今、地球上では自然界から放射線が放出されており、私たちはその放射線を受けながら生活しています。世界平均で1年に2.4mSv(日本の平均は0.99mSv)になります。ブラジルのガラバリでは10mSvにもなります。大地、宇宙、食物から放射線を受け、人体からも放射線を出しています。
 さらに病院では胸部X線撮影で0.05mSv、胃のX線撮影で0.6mSv、CTスキャンでは6.9mSvも被ばくします。飛行機に乗っても、温泉に行ってもさらに被ばくします。
 私たちは、放射線と共存していることを認識する必要があります。放射線の恐怖ばかりが広まったため、安全性の基準が厳しくなり、かえって放射線への恐怖感が増幅してしまったように感じます。

ガンの恐怖

 放射線の恐怖はガンの恐怖と密接な関係があるように思えます。現在の日本人の死亡原因の3割がガンであり、医療技術が進歩している中でもトップであるのは、やはり恐ろしい病気といえます。将来は5割がガンで死亡すると考えられています。そのガンになるのは、やはり怖いものです。
 ところが放射線によるガンへの影響は非常に小さく、喫煙、生活習慣の影響はきわめて大きいことを考えれば喫煙、生活習慣に目をむけるべきで、放射線は考える必要はありません。放射線を100mSv受けるとガンの確率が0.1%上昇するのに対し、喫煙、生活習慣の影響は数百%上昇するのですから、ガンを避けたいならまず喫煙、生活習慣を変えるのが大原則なのは明らかです。
 放射線をいたずらに怖がる必要はありません。もともと自然界にあり、太古の昔からその中で生きてきたのですから。怖いのは放射線に対する恐怖感によるストレスです。放射線を恐れるあまり、ストレスが蓄積して心身症になるのは重大な二次災害です。放射線に対する恐怖感がなくなれば、復興が加速していくはずです。

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