アルガルベ杯でベールを脱いだ新生なでしこジャパン。2年後のカナダワールドカップ、3年後のブラジル五輪に向けて、若手に経験を積ませるという佐々木監督の狙いが話題を呼びました。澤、宮間らのベテラン組を外し、U-20代表から田中陽子、田中美南など初代表組を多く選出した新生なでしこ。今大会で注目の選手をピックアップしたいと思います!
近賀、鮫島に次ぐ第3のサイドバックは有吉
2012年アルガルベ杯のA代表デビュー以来、なでしこのDFに定着した有吉佐織。ロンドン五輪では出場機会を逃したものの、本職のサイドバックとして唯一バックアップメンバーに選出されました。右の近賀、左の鮫島が絶対的な地位を確立する一方、サイドバックの人材不足は深刻な問題です。攻守のバランス、両サイドをこなすユーティリティ性、国際経験を考えれば第3選手にチョイスされるのは有吉ではないでしょうか。
攻撃の引き出しが多く、高い戦術眼が魅力
90分間長距離を上下動できるスタミナ、左右両足から繰り出されるクロス、ペナルティエリア外から放つパワフルなミドルシュート。有吉の持つ攻撃パターンは多彩です。特にオーバーラップのタイミングが上手く、オフサイドぎりぎりでディフェンスラインの裏に抜け出せる数少ないDFです。
スピード溢れるドリブルでディフェンスを切り裂く鮫島のようなタイプではなく、ワンツーやスルーパスを引き出す絶妙のフリーランでDFを裏を取る近賀タイプのサイドバックと言えます。3人目の動き出しを予測して、数秒後に生まれるスペースに走り込める高い戦術眼を持ちます。
ディフェンスも安定しているが、決定打に欠ける
159cmとDFとしては小柄ですが、フィジカルコンタクトは強く、体を張ったタックルで相手を潰す強いマーキングが持ち味です。正確なポジショニングでミスが少なく、ディフェンスの安定性は日本でも1、2を争うサイドバックです。
攻守のバランス感覚に優れた有吉は、全てのプレーをそつなくこなす器用さが特徴です。逆に言えば大きなストロングポイントを持たないのがマイナス要素かもしれません。両足を使える強みを生かし、アーリークロスの精度を高めるなど、独自のスペシャリティを獲得できれば面白い存在になるでしょう。
総括
今大会で頭角を現した加戸由佳、U-20W杯で活躍した高木ひかりや浜田遥など、次世代のサイドバックとして可能性を秘めたプレーヤーが登場しています。人材難と呼ばれるこのポジションも数年後は激戦区になるかもしれません。進化し続ける有吉の未来に期待します!
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