キングカズこと三浦知良選手がフットサル日本代表に選出されたことが話題になっています。2012年11月1日からタイ王国でFIFAフットサルワールドカップが開催されました。全世界から24ヵ国のナショナルチームが参加し、1組4チームの6組に分かれて予選グループリーグを戦い、各組上位2チームと3位の成績上位4チームが決勝トーナメント進出します。今回はCグループの第一戦、日本VSブラジルの対戦レポートをお届けしたいと思います!
死のグループと呼ばれるC組をワイルドカードで通過する狙い
日本が予選を戦うC組には前大会で優勝したブラジル、欧州のトップチームであるポルトガル、アフリカチャンピンオンのリビアがいます。いずれも強豪国で上位2を確保して予選を通過することは不可能に近いのが実情。日本は3位に食い込んで、ワイルドカードでの決勝トーナメント進出を狙うことが現実的だと言われています。初戦のブラジル戦を最少失点で凌ぎ、予選リーグの得失点差を優位に持ち込むことが至上命題とされていました。
守備的な戦術で前半を0-1で凌ぐ
日本のスターターはゴールキーパーが川原、フィクソと呼ばれるディフェンダーに小宮山友祐、アラと呼ばれる中盤のポジションに小暮賢一郎と逸見勝利、ピヴォというフォワードに近いポジションには星翔太を配置します。14年越しのワールドカップ出場を果たす三浦知良とペルーから帰化した新戦力の森岡薫はベンチスタート。彼らがどのタイミングでどんな起用をされるのか、試合前から注目されていました。
立ち上がり、日本はブラジルの攻撃力を警戒して守備的な戦術を選択します。速いボール回しでポゼッションをリードし、得点を狙うのではなく長い時間ボールをキープし続けてブラジルの攻撃を寸断する作戦です。GKの川原のファインセーブにも助けられ、無失点を続ける日本。しかし、守ってばかりでは失点してしまうというサッカーのジンクスがフットサルでも通用してしまいます。前半14分、ブラジルはコーナーキックのチャンスを得るとゴール前の混戦のこぼれ球をウィルデに右足で押し込まれて先制点を奪われます。
運動量と集中力の落ちた後半に大量失点を食らう
後半に入るとブラジルはハイプレスをかけて日本のパスミスを誘います。後半1分、ゴール前で小暮のパスをカットしたアリがネトに繋げて即シュート!これがゴール右隅に突き刺さって2点目をゲット。ボール回しと守備に奔走されていた日本は徐々に運動量と集中力が落ちていき、そこをブラジルに付け込まれる悪夢のような展開。後半3分と5分にも立て続けに失点を喫して気がついてみれば0-4の大量リードを許し、最小失点で抑えるという日本が描いていたゲームプランは完全に崩壊します。
逸見のドリブルと稲葉のゴールが日本の自信を取り戻す
フットサルはサッカー以上にスタミナの消費が激しいスポーツです。それだけに守勢に回ればチーム全体のダメージが膨らむばかりで勝機は見い出せないでしょう。4点を失ったことで日本は忘れていた何かに気がついたように攻め上がります。後半8分、アラの逸見がフィールドの中央からDF2人の間をスピード溢れるドリブルでぶち抜いてゴール前に抜け出すと、左サイドでフリーになった稲葉にパス。
ボールを受けた稲葉は中央に切れ込み、DFのプレッシャーを受けながらもドリブルで粘ると鋭いフェイントでゴールエリアに突っかけ、シュートコースが空いた瞬間に左足一閃!ボールはポストに直撃してゴールネットに吸い込まれます。この1点で息を吹き返した日本は、ドリブルが持ち味の森岡薫がリスクを恐れることなく突破を仕掛けてゴール前に切れ込み、逆サイドにロングボールを振ってファーサイドでカズがヘディングシュートを狙うなど、攻撃にダイナミズムが生まれて試合のペースを掴みます。
前半のカズのプレーに攻勢のヒントが隠されていた
結果的に1-4で敗れたものの、後半に1点を返して得失点差を縮めたことが大きいと思います。稲葉と逸見がカウンターを恐れずに果敢に仕掛けたことでブラジルは守勢に回って攻め手を失いました。フットサルはフィールドが狭いので1つのパスミスが失点に繋がってしまいます。強豪国を相手した場合、パス交換が慎重になるのは理解できます。しかし、逆に言えば一発のドリブルがゴールに結びつくことになるので、世界一のブラジルでも仕掛けられたら恐いのです。稲葉のゴールで日本は失われていた自信を取り戻した感があります。
そのヒントとなるプレーが前半5分にワールドカップ初出場を果たしたカズでした。左サイドのアラに入った三浦知良はブラジルを相手にしても臆することなく攻撃的なプレーを繰り返しました。彼の代名詞でもあるまたぎのシザースフェイントでDFをかく乱し、サイドを強引にドリブルで突破してセンタリングを上げ、シュートコースが無くても積極的にミドルシュートを打ちました。決定機こそ作り出せなかったものの、日本に足りないプレーを随所に見せて攻撃を牽引していたように見えます。カズのメッセージが後半の日本の攻撃的なプレーに繋がったのかもしれませんね。
総括
初戦を1-4で大敗しましたが、後半には積極的な攻撃参加も見られ、強豪国を相手にしても自分達の形が作れることを証明しました。次戦のポルトガル戦にも期待が持てる試合内容です。決勝トーナメントに残れるかどうかは得失点差に左右されると思うので、1得点を挙げたことがこの先の戦いに大きな意味を持つと思います。
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