たとえるならば、沖縄版田舎風景。
標高15mの黒島の道はどこまでも平坦。もちろん高い建物は何ひとつありません。島の人口よりも多い牛たちが暮らす牧場を横目に自転車を走らせると、そこは南国なのにまるで北海道の牧場を横目にツーリングしているかのよう。その道がいつまでも続きそうな風景が広がります。 八重山諸島、石垣島と西表島の中間からやや南方に位置する黒島は、そんなのどかな島なのです。黒島と比較すれば石垣島は"超"の付く都会。また、周辺の竹富島・小浜島・西表島も都会とまでは言えませんが、多くの観光客が訪れる中で観光地化してきたことが伺えます。
しかし、黒島はそのどちらにもあてはまりません。人口の十倍とも言われる黒毛和牛が暮らす広大な牧場、それが延々と続く黒島はまさに沖縄版田舎風景。八重山で"のどかさ"を味わいたいなら、黒島以外にありえません。 のんびり過ごすほかで言えば、ダイビングが人気。黒島自体サンゴ礁から生まれた島ですが、周辺海域も造礁サンゴに恵まれ、見どころがたくさんあります。水温上昇の影響でサンゴの白化現象が続くなか、黒島周辺は色鮮やかなサンゴ群を見ることができる貴重な場所。大切にしていきたいものです。
不思議と、島の形はハート型。疲れた時に訪れたい、癒しの島なのです。
黒島の見どころ
動物たち
黒毛和牛(黒島牛まつり)
黒島は人よりも動物が多い島。中でも目立つのが牛とクジャクです。 特に島の代表的存在の黒毛和牛はノーブランドながら高級。黒島には1000近い牛がいますが、大半が食べられない仔牛です。島では仔牛を1年間育て、後述の競りにかけて全国へ出荷するのが主産業。それが石垣島や鹿児島、但馬などを通過し、各地のブランド牛「○○牛」として育つのです。
黒島の道からは広い牧場が見渡せます。島は全体的にひと気が少なく、牛と顔を合わす時間が多いと感じてしまうほど。何もないと言えばそれまでですが、黒島が八重山諸島の中でもひと味違う景色に感じるのは、この牧場の存在感があってこそ。
牧場近くにある黒島家畜市場で、2ヶ月に1度競りが行われます。。基本的には奇数月の13日に開催され(船の日程による)、競り落とされた牛が黒島を出ていきます。普段は非常に閑散としているのですが、競りの日は見物客も多く集まって白熱。島の主産業ゆえに、誰もが気合の入る一大イベントなのです。 また毎年2月には「黒島牛まつり」が行われます。これは地域振興と活性を目的としたお祭りで、島にとって最大のイベント。平素は静かな島ですが、この日ばかりは、島民も常連の観光客も総出で賑わうのだとか。黒島を経て育った石垣牛の丸焼きや、郷土料理である牛汁、その他ステーキなど、黒島の牛を存分に堪能できます。ほかにもバザーなどの出店やマスコットキャラクターのステージなどがあり、盛りだくさんの一日に。
クジャク
クジャクが多いのも印象的。元々は観賞用として1980年頃に八重山諸島に導入されたものでした。ところが施設の管理が悪く脱走したことから野生化、天敵のいない環境や温暖な気候も相性が良かったようで、島の北部ではあちこちで見かけます。朝や夕方~夜は太く力強い鳴き声が。
景色を楽しむ
黒島展望台(場所)
「日本の道100選」にも選ばれた沖縄県道213号線(黒島港線)の沿線上にある石造りの展望台です。牧場が広がる平坦な島を島の真ん中から見渡すことができます。緑色を薄く伸ばした牧場、薄青の空と濃淡鮮やかな海が突き抜けるように広がるのです。この開放感はサンゴ礁の島ならでは!!静かに景色を眺めるのがおすすめ。耳を澄ますと色んな音が聴こえてきます。
プズマリ(火番盛)(場所)
八重山諸島各地に点在する異国船の監視に役立った見張り台跡。琉球石灰岩の石積みの上に立ち、通信の必要に応じて狼煙をあげたりしたそうです。八重山諸島の各島々にこの見張り台がありますが、通信に役立つほどの狼煙となると、結構な煙を上げないといけない気がします・・・。どういう風にしていたのでしょうか。少なくともこの石積みはそれを知っているでしょう。
仲本海岸(場所)
沢山の魚が泳ぐ、黒島では一番の遊び場です。黒島での海の遊びはダイビングが中心ですが、気軽なシュノーケリングでも十分に楽しめてしまう場所。黄色や青色の鮮やかな南国ならではの魚たちと気軽に泳ぐことができちゃいます。
黒島灯台(場所)
島の南端にある灯台。ほかに何もありません。良くも悪くも殺風景な景色ですが、だからこそ誰に気を遣うことも無く過ごせるプライベートスポットの一面も。喜屋武御嶽、喜屋武海岸 この周辺も一見何もありませんが、ここから覗き込む海は枝サンゴの大群落!ダイビングスポットとして人気の一帯です。
伊古桟橋(場所)
1924年(大正13年)に建造された伊古集落にある桟橋です。2005年(平成17年)に国の登録有形文化財となりました。登録有形文化財・・・厳密な保存の対象となる指定制度とは異なるもの。業展開や地域活性化のために活用でき、保存修理や固定資産税などの面で優遇されたりするのが特徴。
施設を楽しむ
黒島ビジターセンター(場所)
黒島研究所(旧・八重山海中公園研究所)(場所)
元々は西表石垣国立公園内の海中公園区域を管理する目的のため、八重山海中公園研究所という名前で発足しました。当時の母体の解散に伴い、現在は日本ウミガメ協議会の付属施設へと姿を変えました。主にウミガメやサンゴ、貝類の標本や、漁具などの展示が行われています。
黒島の情報あれこれ
【名 称】黒島(くろしま)
【所在地】
沖縄県八重山郡竹富町(地図)
【面 積】10.02㎢
【周 囲】
212.6km
遊 び
海水浴、シュノーケリング、ダイビング、サイクリング、散策
食べる
竹富そば、ソーキそば、ラフティ丼、パパイヤ、パッションフルーツ、バナナ
郷土料理
八重山そば、ヤシガニそば、牛汁、アーサー汁(島の海草)、夜光貝・ほら貝の刺身
変わりモノ
アバサー汁(ハリセンボン)
最終更新: