この小説のご使用方法
この小説は多人数で書かれています。1話書いたら、次の人がその内容を引き継いで次の話を作ります。
次の人は前の内容に矛盾のしないように書かなければなりません。その様がリレーのように見えるので、連続リレー小説と呼ぶことにしました。
またもう一つ、タグに設定されている言葉を必ず文中で使うというルールを設定しました。
どこに使われているか探してみてください。
目次はこちら
閻魔丘と地獄門
「人との付き合いを粗末にしちゃいかんよ。」
オヤジがつぶやく。そして、さらに口を開く。
「それじゃ、なぜここに来たんだい?」
「あたしは閻魔丘に来たかったんじゃない。ここは入り口でしょ?」「ふむ、何の入り口だい?」
「あの世。」
私は二人が何の会話をしているのか分からなかった。色々なことが頭を駆け巡ったが、この話の説明となるようなことは何も出てこない。
魅玖の表情は、冗談を言っているようにはみえない。二人の話はさらに続いている。
「そんなこと誰に聞いたんだい?」
「聞いたんじゃない。わかるのよ。そこの岩のあたりから嫌な空気を感じるもの。」「あんたは、アンテナかね。」
「アンテナ?なにそれ?」「『そういうもの』を受け取ってしまう能力を持っているもののことだよ。」
「アンテナなんて知らない。」
私は話に全く付いていけないことに焦りを感じ、思わず口をはさんだ。
「ちょ、ちょっと、待ってくださいよ。あの世に行くだって?!」「そう!」
「な、な、な、なんでそんなところに!」「あんたの魂を取りに行くのよ。」
「え?」「あんた、魂を取られてしまっているの。忘れちゃったの?あんたに頼まれたのよ。」
「え?」
私は魅玖が何を言っているのか分からなかった。あまりにもワイルドすぎる。魂?私が?頼んだ?どうして?
「私は死んでしまったのか…?」
「なにいってんの?生きてるよ。魂をとられただけ。」
ひざがガクガクして、目の前の景色が斜めに傾く。呼吸がうまくできない。価値観の大きな違いに出会ったときにガラガラと崩れさるというが、正にそれだ。
何かが崩れるような音が聞こえる気がする。魅玖とオヤジの話は続いているようだ。私の耳には届かない。
「まぁ、よかろう。」
オヤジは前掛けのポケットの中から鍵のようなものを取り出した。
そしてそのまま岩の後ろに歩いて行き、おもむろにしゃがみこんだ。
「ここがあの世の入口だ。」
オヤジが鍵を開けた今はぽっかりと口をあけていた。下ることができるように梯子もついているようだ。
そこからは生暖かい風が流れてくる。
魅玖は躊躇せずに降りていく。私も恐る恐るそれに続く。
生暖かい風が頬をなでる。下を向いても、まったく底が見えない。
ビルの中なのに、この穴はどこに続いているんだ。
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