【観戦記】 県大会出場をかけた大事な試合。県大会出場切符を勝ち取ったのは? 加藤学園対富士宮西 ~第69回静岡県秋季高校野球東部大会・敗者戦決勝

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ちょうど1週間前の9月3日、裾野球場。わたしが注目している加藤学園は1試合目に登場しました。この日は3試合が組まれていて、1試合目と2試合目は敗者戦の決勝、3試合目は準決勝です。準々決勝で桐陽に負けてしまった加藤学園にとってこの日は敗者戦決勝、県大会出場をかけた大事な大事な試合になりました。

勝てば県大会に出場することができますが、負けたら秋が終わりです。この先、春まで公式戦はありません。とにかく加藤学園はどんな形でも勝たなくてはなりません。とはいえ、今のチーム状態を考えるとそんなにかんたんには勝てないだろうなと予想していました。相手も必死になって向かってきます。

勝てば県大会出場なのですから。

試合はじまる

初回、加藤学園はフォアボールと連打で先取点を挙げましたが、すぐ裏に追いつかれます。そして3回、守りのミスから1点を取られ逆転されてしまいました。逆転はされたものの、ここまでの試合内容は周りを盛り立てるいいプレーもあり、悪くない内容だったのでさほど心配はしていませんでした。

この試合は4回と8回に大きなプレーがありました。その4回、富士宮西の攻撃。1アウトから6番打者の打った打球はライト正面へのライナー。実は真正面の打球が一番判断が難しいんです。ライト植野くんは前進してダイビングキャッチを試みますが後ろに逸らします。これがスリーベースヒットになりました。

わたしは打った瞬間とライトの守備位置を見て、ダイレクトキャッチ(=ノーバウンドでの捕球)は少し厳しいかなと思いました。まぁ、一番近くにいた植野くんが捕れると判断してのダイビングですから一概には責めることはできません。

しかしこの試合の状況を考えるともう1点も取られたくないという場面。後ろに逸らして長打にするのだけは避けなければならないところでした。結局、この回に1点を追加されてスコアは1-3になりました。

1-3で迎えた8回に大きな山が...

2点を追う加藤学園の8回の攻撃はトップバッターの渡邊くんから。彼は昨年もクリーンアップを打っていた選手です。誰もが『この回が勝負』そう思っていたことでしょう。渡邊くんは見事期待に応えて右中間を破るスリーベースヒット。反撃ののろしを上げました。

続く2番鍵山くんのタイムリーヒットで1点を返し2-3。完全に流れは加藤学園に傾きました。尚もノーアウト1塁でバッターは3番。ここでどんな攻撃をするのか注目していました。

昨年夏までの加藤学園ならこの場面はクリーンアップだろうが作戦は送りバントだったでしょう。しかし新チームになってから少し『加藤学園野球』が変わってきたように感じています。ここでもとった作戦は送りバントではなくヒッティングでした。結果はセンターフライでランナーを進めることができませんでした。結果だけで言うと、とにかく1点を取らなくてはいけない場面だったので、バントもよかったのではという思いもありましたが、ベンチのスタッフは最低でもランナーを2塁に進めるバッティングをしてくれるだろうと判断したんでしょうね。

そして1アウト1塁でバッターは4番の芹澤くん。昨年も加藤学園不動の4番芹澤くん。今大会はここまで打順は2番、2番、6番、6番でしたが、1番大事な試合で4番を任されました。今大会、ここまで14打数6安打で打率は.429。4試合で3度のマルチ(※1試合で2本のヒットを打つこと)、2塁打2本、3塁打1本と当たりまくっています。この日も初回に先制のタイムリーヒットを打ちました。最高の場面で最高のバッターに打順は回ってきました。

しかし...ここでとんでもないことが起こります。
なんと、1塁ランナーがけん制で刺されてしまいました。
わたしはこの場面、1塁ランナーのリードがやたら大きいことに気づき、『やばい!1塁ランナーのリードでかすぎる』と言ったんです。その直後のできごとでした。『ランナーけん制に気をつけろ!』と、大声で叫んだほうがよかったのかもしれません。今大会、走塁ミスがやたらと目立っていたのですが、ここでのミスはまさかのできごとでした。走塁ミスはランナーだけでなく、ランナーコーチにも責任はあります。この場面は大きくリードをとる必要がない場面でした。チャンスを潰してしまった加藤学園。勝負のこの回は1点止まりでした。

あとがなくなった加藤学園。最終回は先頭打者がフォアボールで出塁、バントで送って1アウト2塁のチャンスを作りましたが、後続が倒れて無得点に終わりました。県大会がかかった大事な試合は富士宮西に2-3で敗れました。

加藤学園 100 000 010 | 2
富士宮西 101 100 00X | 3

今大会を振り返って...

わたし自身、なかなか現実を受け止めることができずにいましたが、ようやく冷静に今大会を振り返ることができました。スコアを見返しているとあることに気づきました。

この数字、なんの数字かわかりますか?

数字をみると、どの試合を見ても対戦相手より加藤学園の方が圧倒的に多いのがわかります。これは残塁の数でも、三振の数でもありません。

じつはこの数字はフライアウトの数なんです。(フライアウト/全アウト)
全アウトのうち、4割以上がフライアウトです。つまりは打ち上げてしまっているんです。高校野球において、この数字はかなりのものです。野球はとにかく転がせ(ゴロを打て)と言います。転がせば何が起こるかわからないからです。フライはほぼノーチャンスです。

これでは勝てません。なんとなく、今後の課題も見えてきました。
加藤学園は負けてしまいましたが、もしかしたらこれでよかったのかもと思えるようになりました。もちろん勝ったほうがいいに決まっているし、選手たちもさぞ悔しいでしょう。

でも、もし勝って県大会に出場していたら、気づかなかったこともたくさんあると思うんです。この悔しさをバネに、はいあがることができたら、本当に強いチームになる、そんな気がします。選手たちは自分たちに何が足りなかったのかを見つけて、春、そして夏に向かってチーム一丸となって進んでほしいと思います。

夏はあっという間です。

県大会は25チームが出場。

県大会は17日に開幕します。抽選会は12日(月)。

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