7月26日。静岡草薙球場で第99回全国高等学校野球選手権静岡大会の決勝戦が行われました。
静岡草薙球場
[決勝戦]
藤枝明誠 306 210 461 | 23
日大三島 000 020 224 | 10
試合開始後に降り始めた雨は激しさを増し、7回表の藤枝明誠の攻撃1アウト1塁という場面で豪雨のため一時中断になりました。長い中断のあと、試合が再開されたのは2時間56分後の午後5時28分でした。
試合再開時のスコアは12-2。藤枝明誠が日大三島を大きく引き離していました。
高校野球の試合成立は7回と決められていますが、決勝戦に限っては9回終了が試合成立なのです。つまり9回2アウト、あと1つアウトを取れば勝ちという場面でも試合続行が不可能と判断された場合、ノーゲーム(再試合)になるのです。
関係者や選手たちによってグラウンド整備が行われ、なんとか試合再開まで漕ぎ着けましたが、雨はかなり激しく降っていました。
点差が開いてしまっていたので、なかなかノーゲーム(ノーゲームの場合は翌日再試合)にはしづらい展開だったと言えばそうだったかもしれません。
しかし、だとしたら高校野球はなぜサスペンデッドゲーム(一時停止試合、翌日など再開時は続きの状態から試合を行う)を採用しないのか不思議でなりません。試合が続けられない場合、サスペンデッドで続きからというのが一番公平です。サスペンデッドにしない理由が運営側の問題だけだとしたら、選手たちはかわいそうです。
試合が再開された7回表以降、試合終了まですべて得点が入りました。もちろん激しい雨とグラウンドコンディションが原因です。打球が見えにくい、転がらない、ボールが滑って投げにくい...こんな状態で決着をつけなくてはならない選手たちは気の毒でした。
午後1時に始まった決勝戦は2時間56分の中断をはさみ、決着がついたのは試合開始から5時間24分後の6時24分。静岡県高校野球史に残る決勝戦は23-10というスコアで藤枝明誠が日大三島を下し甲子園初出場を決めました。
甲子園でも期待!藤枝明誠の強さ
藤枝明誠は準決勝、決勝と合わせて43安打37得点を挙げました。そこだけを見た人はガンガン打ちまくる打撃のチームという印象をうけたと思いますが、今年の藤枝明誠はエース久保田くんを中心とした守りのチームです。
準々決勝の加藤学園戦が終わった時点でのチーム打率は.285でした。4試合でわずか5点しか取られていないところをみても、ピッチャーを中心とした守りのチームということがわかります。
エースの久保田くんはU-18サムライジャパン候補にも選ばれている逸材です。球速は130キロを超える程度ですが、緩急をつけたピッチング、とくに外角のコントロールと打者の内角をえぐるボールのキレは抜群で三振が取れるピッチャーです。
このような雨の試合も想定していたようです。普段からボールを濡らして雨の練習をしてきたと言っていました。このような土砂降りの雨の中の試合になる確率は低いのですが、しっかりとした準備が実を結びました。
打者の注目は1番の常磐勇汰くんと4番キャプテンの中田悠斗くん。藤枝明誠は常磐くんが出塁して4番の中田くんが返すという攻撃スタイルです。中田くんは藤枝明誠で1年の夏からレギュラーです。バッターボックスではホームベースギリギリに立ち広角に打ち返します。足も速く、すばらしい選手です。
藤枝明誠の選手はクリーンアップを打つ選手でもバットをワングリップ空けて持ちコンパクトに振ります。バントがうまいのも特徴ですね。送りバントはほとんど1球で決めます。当たり前のことかもしれませんが、こういうところから攻撃にもリズムが生まれるのです。とにかくミスが少ないチームなので、自分たちの野球ができれば甲子園でもおもしろい存在になるでしょう。
最後に...
『5日間で4試合』
これは3回戦を勝ちあがったチームが決勝まで勝ち進むと行う試合数です。5日間で4試合戦わなくてはなりません。昨年優勝した常葉大菊川は2回戦から8日間で6試合戦いました。
選手たちの健康、そして将来を考えると、この超ハードスケジュールはなんとかならないものでしょうか。連戦で疲れていたり、肩が張って投げれないなんてことなく、ベストな状態で戦ってほしいと思うのです。
エースが前日に200球近く投げて、それでも次の日チームの事情から投げなくてはならないなんてことはあってはならないのです。どのチームもピッチャーは複数人いるとはいえ、やはり大事な舞台は絶対的なエースに頼ざるを得ないのです。
疲れ切ったエース同士の投げ合いよりも、力と力のぶつかり合いが見たいのです。
静岡県の夏の選手権静岡大会への出場校は112校と他県と比べても多いほうです。たとえば出場校の多い神奈川県などは夏休みに入る前の平日にも試合が行われます。静岡県野球連盟も選手たちの健康面や将来を第一に日程面を考える時期だと思います。
甲子園では第95回記念大会から、準々決勝を1日で行い準決勝の前に休養日が設けられることになりましたが、決勝戦の前も1日空けるべきではないでしょうか。『甲子園』を目指して3年間頑張ってきた選手たちには最高の状態で戦ってほしいと私は願います。
大会組み合わせ表
藤枝明誠、優勝おめでとう!
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