【観戦記】加藤学園の夏終わる。加藤学園×飛龍 ~第98回全国高等学校野球選手権静岡大会

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ちょうど1週間前の7月16日。この日からシード校が登場しました。草薙球場では第3シードの静岡高校が強豪藤枝明誠と対戦しました。

そして富士球場では加藤学園と飛龍高校が対決。ノーシード同士の加藤学園×飛龍、そして草薙球場の静高×藤枝明誠の2試合は2回戦屈指の好カードと言われていました。

試合はまったく予想していなかった結果に

いきなり結果から。。。

飛龍   043 200 1 | 10
加藤学園 001 100 0 | 2
※7回コールド

この結果は正直まったく予想していませんでした。しかしながら、試合が終わった今、投手力、打力、総合力すべてにおいて飛龍が上だったと認めざるを得ません。しかし点差ほど両校に差はなかったと思います。

秋の東部大会では加藤学園は飛龍をまったく寄せつけませんでした。そして飛龍の春の戦いぶりを見ても正直強いという印象はありませんでした。それでも毎年、夏に照準を合わせて冬に徹底的にバットを振りこむ飛龍。冬に振った分、この夏、身になったのかもしれません。飛龍のバッターはバットが振れていました。

この試合のターニングポイントはここ!

どの試合にもターニングポイントと言われる勝負の分かれ目があります。この試合にもターニングポイントがありました。

初回、ショート雨宮くんのファインプレーにスタンドは大いに湧き、流れを引き寄せたかに思えた加藤学園。ピンチをキャプテンの守備で救ってもらい流れに乗るかと思ったエース井岡くん、2回先頭打者の5番比屋根くんに不用意にストライクを取りにいったボールをレフトスタンド場外まで運ばれるソロホームランを打たれました。奇しくもこれは1回戦の三島北戦の2回とまったく同じ展開(1回を無失点に抑えたあと2回先頭打者にホームラン)でした。

しかしターニングポイントはここではありません。

5番の比屋根くんにホームランを打たれたあと、さらにピッチャーの杉山くんにもヒットを打たれ無死1塁のピンチ。続く7番佐藤蓮くんの送りバントをピッチャーフライに打ち取ったあと、後続を三振に仕留めました。ノーアウト1塁のピンチを理想的な形でツーアウト1塁にしました。

ズバリ!ターニングポイントはこのあとです!

ここでおさらいします。この回ノーアウト1塁というピンチから後続を断ち切り2アウト1塁にしました。
次のバッターはラストバッター1年生の岡田くんです。ここはバッターに集中、ただ目の前のバッターを抑えるだけという場面でした。このラストバッターをきっちり抑えて、いいリズムで攻撃に向かう、それだけのところです。しかし...ここであろう事か、ラストバッターの1年生岡田くんにストレートのフォアボールを与えてしまいました。厳しいことを言ってしまえば、これはありえません。

2アウト1,2塁になり、バッターは先頭に戻って試合開始直後にレフト前にヒットを打っている飛龍の核弾頭、小久保くん。マウンドの井岡くんを見る限り、もう気持ちの面でいっぱいいっぱいだと感じていました。それでも抑えてくれるだろうと信じていましたが、その期待も一瞬にして砕かれました...ライトスタンドへ飛び込む3ランホームラン。

わたし自信、ショックのあまり呆然としてしまいました。ここは1点で抑えられるところでした。というよりは1点で抑えなくてはいけない場面でした。試合の流れは完全に飛龍に傾きました。

この『1つのフォアボール』がこの試合のターニングポイントです。

投手力の弱さ露呈

昨年秋、新チームになったころ、井岡くんの長身から投げ下ろすストレートにかなりの手応えを感じていました。そして今瀬くん。ノーランライアンを彷彿させるダイナミックな投球は急速以上の速さを感じました。2年生から投げている井岡、今瀬コンビがこの先、どんなピッチャーになるのかか楽しみでした。
しかし井岡くんはコントロール難からサイドスローにも挑戦、そして今瀬くんもライアンフォームを封印と2人ともなかなかフォームが固まらず、期待していた鉄壁の2枚看板は作れませんでした。

今年、打線が今ひとつながらも常に上位に顔を出す日大三島は中川くんと2年生の海野くんの2枚看板があってこそです。

海野くん急成長の今、どちらが上かはわかりませんが、中川くんの1番の強みはかんたんにツーナッシングというカウントを作れることです。コントロールがいいということはピッチャーにおいて最大の武器でフォアボールを出さないというのはチームの最大の武器、そんな気がしてなりません。

そして飛龍高校。小久保くんや生沼くんといった昨年夏を経験している選手以外、多くの選手が秋、春とまったく違う選手がレギュラーになっていました。夏に強い飛龍は激しい競争があったのでしょう。

1度傾いた流れは最後まで飛龍に...

2回に4点を取った飛龍は続く3回にも2本のホームランで3点をあげて7-0としました。試合は飛龍のお祭りムード。加藤学園の4番芹澤くんの一発もありましたが、この点差を埋めることはできませんでした。

そして7回裏の加藤学園の攻撃。スコアは10-2と8点差。この回2点を取らないと試合は7回7点差によるコールドゲームが成立します。そして2アウト2,3塁、あとがない場面で雨宮くんにまわってきました。ヒットが出てセカンドランナーが生還すれば6点差となり、試合は続行、凡退なら試合が終わるという場面、ファールで粘りましたが、結果はサードフライで試合終了。加藤学園の夏は終わりました。

富士球場での開催を考える

この試合は両チーム合わせて5本のホームランが飛び出しました。すごい試合と言えばそうなのかもしれませんが、これは狭い富士球場だから起きたことでしょう。高校野球の試合において、1試合の中で5人の選手が5本のホームランを打つことはありえません。

富士球場は両翼91.3メートル、センター115メートルしかありません。これは静岡県の球場では焼津球場に次ぐ狭さです。焼津球場はサブ的に使われている(富士10、焼津5)ことを考えると実質1番狭い球場でしょう。

今回の5本のホームランも広い球場ではホームランにはならない打球がほとんどでした。やはりこれだけ球場ごとに差があるのはわたしはどうかと思います。富士球場はちょうど40年前に作られた球場です。今の高校野球を考えると両翼91、センター115メートルは狭すぎです。せめて両翼95メートルはあってほしいところです。

雨宮一成の高校野球終わる

この日、加藤学園のキャプテン雨宮くんの『高校野球』が終わりました。

1回の表の飛龍の攻撃1アウト2塁、飛龍の3番キャプテンの生沼くんの鋭い打球は完全にセンターに抜ける当たり。ショートの雨宮くんはギリギリのところでキャッチして1塁に送球してアウトにしました。これは鳥肌が立ちました。最後の最後までボールを見ているからこそ成せるものです。どれくらいすごかったかは表現が難しいところですが、あの打球をキャッチしてアウトにできる高校生はなかなかいないでしょう。

雨宮くんというと広角に打てる打力と長打力を評価する人も多いのですが、何よりも彼の魅力は守備だとわたしは思っています。

ショートを守る彼はグラスライン(内野と外野の境目)の内側ギリギリのところが定位置です。これはプロ野球選手並みの深い守備位置です。この位置で守るには相当守備に自信がないとできません。捕ってからの早さ、肩の強さがあってこそでしょう。守備においてはすでにかなり高いレベルに達しています。

1試合、1打席でも多くみたい選手です。
1試合、1打席でも多くみたい選手です。

雨宮くんの最後の夏はたった2試合で終わりというあまりにも早いものになってしまいました。試合後、号泣している雨宮くんを見て何とも言えない気持ちになりました。

悔しい思いをした加藤学園ですが。いつまでも悔やんでいてもしかたがありません。負けたこの瞬間から新チームがスタートするのですから。

この先、雨宮くんが卒業するまで約7ヶ月、練習を手伝いにきてくれることがあるでしょう。そのとき下級生たちは雨宮くんに積極的に話しかけてできれば質問攻めにしてほしいと思います。雨宮くんはまちがいなくいいお手本です。少しでも彼のよさを取り入れてほしいと思います。

今はまだ気づいていないかもしれませんが将来、こんなすごい人と一緒に野球をやってたんだと思う日がくると思います。

雨宮くん自身、この先も野球を続けるでしょう。近い将来、最高の舞台で彼を見る日がくるかもしれません。

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