※ 東京電力がホールディングカンパニー制に移行。原発事故関連のホームページ構成にも変化。
4月1日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
ホールディングカンパニー制導入のねらい
ホールディングカンパニー制導入のねらい~責任と競争の両立
責任と競争を全うする
東京電力株式会社は2016年4月に、他の電力会社に先駆けて、燃料・火力発電、一般送配電、小売の3つの事業部門を分社化し、ホールディングカンパニー制に移行しました。福島第一原子力発電所事故の「責任」を果たし、エネルギー産業の新しい「競争」の時代を勝ち抜いていくために、大きな変革を実行してまいります。
このメッセージは持株会社「東京電力ホールディングス」の取締役代表執行役社長に就任した廣瀬直己氏の顔写真入りで発信されたものだ。東京電力フュエル&パワー(燃料・火力発電)、東京電力パワーグリッド(送配電)、東京電力エナジーパートナー(電力小売)の分社化を行い、4月1日からは持株会社とあわせて4事業体の体制をとる。その目的として第一に挙げられているのが「福島第一原子力発電所事故の「責任」を果たす」ことだ。福島復興本社や廃炉・原子力事業は持株会社となった東京電力ホールディングスが所掌することになった。
しかし同じコンテンツには、あの不評を極めたメッセージも掲載されていた。
※ 以下、東京電力が事故原発について発する情報のインデックス化という本稿の趣旨からは離れるが――
ブランドメッセージには「私たちは福島を忘れない。」と掲げられている。これは筆者が聞く限り地元・福島のほとんどの人が反発を覚えるという表現である。地元の人たちは口を揃える。「原発事故の当事者(加害者という言葉を使う人も少なくない)が言う言葉ではない。このような言葉が企業メッセージにデカデカと記されているそのこと自体が、現在の東電の意識を示している」と。東京電力に理解を示す人も多い福島で、東電に対する強い批判がこれほど広まるのは極めて珍しい。
ホールディングカンパニー制導入のホームページの中には「組織風土の改革」というコンテンツがあったので開いてみると「準備中」だった。
事故原発の責任の貫徹を言うのであれば、まずは被害を受けた人たちの信頼を回復することから始めてほしいと切に願う。あわせて、事故の責任範囲を「福島県に限定」するかのような表現も早急に改めていただきたい。
東京電力が真に事故の責任を全うする会社として新生することを願う
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機原子炉建屋地下から集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備運転中
・高性能多核種除去設備停止中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクAから海洋排水を開始
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクAの分析結果[採取日3月25日]について、運用目標値を満足していることを確認。(既出)
4月1日午前10時23分より港湾内への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時35分に漏えい等の異常がないことを確認。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 平成28年4月1日
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクBからの排水準備が進む
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクBの分析結果[採取日3月27日]について、運用目標値を満足していることを確認。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 平成28年4月1日
※ 一時貯水タンクは浄化後のサブドレン・地下水ドレン水を海洋排出前に一時貯水するもので「サンプルタンク」とも呼ばれる。
サブドレン・地下水ドレン 集水タンクの分析結果(3月24日採取分)
※ 集水タンクはサブドレン・地下水ドレンから汲み上げた水を浄化施設に送る前に貯えておくタンクのこと。
地下水バイパス
◎日報に新規事項の記載なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月31日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 平成28年4月1日
南放水口・排水路 原発構内の高台、タンクエリアへ排水路が流入する「B排水路ふれあい交差点近傍」の分析結果
◆H4エリア
◎日報に新規事項の記載なし
○H4エリア周辺地下水E-1<全ベータ>
3月30日採取分:14,000Bq/L
3月29日採取分: 7,800Bq/L
3月28日採取分: 6,500Bq/L
3月27日採取分: 7,800Bq/L
3月26日採取分: 7,600Bq/L
3月25日採取分: 8,700Bq/L
3月24日採取分: 8,600Bq/L
3月23日採取分:11,000Bq/L
3月22日採取分:12,000Bq/L
3月21日採取分: 6,900Bq/L
これまでの最高値:710,000Bq/L(2013.11.10)
◆H6エリア
◎日報に新規事項の記載なし
1~4号機タービン建屋東側
◎日報に新規事項の記載なし
地下貯水槽
◎日報に新規事項の記載なし
1~3号機放水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 平成28年4月1日
K排水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 平成28年4月1日
※これまでの分析結果において、有意な変動が確認されていないこと(降雨の影響による数値の上昇を除く)、およびK排水路の流路変更に伴い、当該排水路から直接港湾外に排水されることがなくなったことから、本事象に対する監視強化については、3月31日の採取分を以て終了し、今後、定例分析による監視を行っていく。
福島第一原子力発電所の状況について(日報)【午後3時現在】|福島原子力事故に関する更新|東京電力ホールディングス株式会社 平成28年4月1日
関連データ(東京電力以外のサイト)
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