【重要】東京電力は、K排水路に関する監視強化を終了すると発表しました。
3月31日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
陸側遮水壁の凍結運転をスタート
※1~4号機建屋周辺の陸側遮水壁については、試験凍結において、ブライン(不凍液)循環設備の健全性の確認等が出来たことから、3月31日午前11時20分より凍結運転(第一段階)を開始。
凍結運転は、建屋内滞留水と建屋周辺の地下水位が逆転するリスクを低減するため、三段階に分けて実施する計画であり、第一段階では、1~4号機の海側全面と山側の一部を凍結することで進めていく。
同日に公開されたビデオを見ると、運転スイッチを入れる人々も、式典に参加している人たちにも笑顔が溢れている。また「設備の外観」のビデオからは遮水壁を作り上げたのだとの誇りが伝わってくる。
これまでの試験では、うまく凍結が進まないことを示すデータばかりだったが、運転開始に当たって東京電力が発表した資料や動画を見ていると、今後に期待できるのではという気がしてくる。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機原子炉建屋地下から集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
◎日報に新規事項の記載なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備運転中
・高性能多核種除去設備停止中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクGから海洋排水を実施。排出量は807トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクGの分析結果[採取日3月23日]について、運用目標値を満足していることを確認。3月30日午前10時7分より港湾内への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時20分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、午後3時39分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は807m3。
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクAからの排水準備が進む
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクAの分析結果[採取日3月25日]について、運用目標値を満足していることを確認。
※ 一時貯水タンクは浄化後のサブドレン・地下水ドレン水を海洋排出前に一時貯水するもので「サンプルタンク」とも呼ばれる。
地下水バイパス
◎日報に新規事項の記載なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月30日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
◆H4エリア
◎日報に新規事項の記載なし
◆H6エリア
◎日報に新規事項の記載なし
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
1~3号機放水路
◎日報に新規事項の記載なし
K排水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
K排水路に関する監視強化を終了。東京電力が「降雨の影響」と呼ぶ数値上昇は看過していいのか?
※これまでの分析結果において、有意な変動が確認されていないこと(降雨の影響による数値の上昇を除く)、およびK排水路の流路変更に伴い、当該排水路から直接港湾外に排水されることがなくなったことから、本事象に対する監視強化については、3月31日の採取分を以て終了し、今後、定例分析による監視を行っていく。
【重要】「降雨の影響による数値の上昇を除く」と明記しているくらいだから、数値が上昇しうることは東京電力も認めている。問題の本質は汚染度の高い水が海洋に流れ出ることをいかに防ぐかであって、降雨による汚染水の流出は無視していいというものではない。しかも、完成した新・K排水路からの水は外洋とつながった港湾内に流されている。港湾の汚染物質を将来的にどうするのか、汚染を港湾内だけに閉じ込めることができるのか、汚染をコントロールすることが本当にできると示してもらった上でなければ納得することはできない。
汚染水対策の三原則は「汚染源を取り除く」「汚染源に水を近づけない」「汚染水を漏らさない」ことだという。これは一般論ではない。東京電力、そして経済産業省が掲げている原則である。監視強化の終了は明らかにこの原則を踏みにじるものだと言える。
関連データ(東京電力以外のサイト)
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