3月30日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
セシウム吸着塔一時保管施設の高性能容器(HIC)からの水漏れ点検の続報 現在までたまり水・水の染み込みが確認されたHIC(高性能容器)は36基で新たな発覚はなし
※セシウム吸着塔一時保管施設第二施設に保管されているHICについては、前回の報告以降についても順次調査を継続していたが、その中で新たに吸水ブロックに水が染み込んでいるHICは確認されなかった。
セシウム吸着塔一時保管施設第三施設に保管されているHICについて、3月28日時点で722基の調査を実施したが、新たに吸水ブロックに水が染み込んでいるHICは確認されなかった。
HICとは「高性能容器」のことで、セシウム吸着塔のほか多核種除去装置などでも発生する使用済みの吸着剤や沈殿物等を長期間にわたり保管するための容器。材質は化学物質に対する耐性の高いポリエチレンで、直径60インチ・高さ72インチ(およそ1.5×1.8m)の円筒形をしている。米国では最低でも300年の使用に耐えることが認可条件とされており、低レベル放射性廃棄物の最終処分にも使われている。極めて信頼性が高い容器のはずなのに、福島第一原子力発電所では汚染された水の漏出や滲みが36基にのぼるという事態をどう考えるべきだろうか。
写真は2015年3月30日、HICを2基ずつ格納しているコンクリート製の容器をクレーンカメラで上から撮影したもの。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機原子炉建屋地下から集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
◎日報に新規事項の記載なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施
水処理設備および貯蔵設備の状況 セシウム吸着装置を「運転」
・セシウム吸着装置運転中
その他の項目に新規事項の記載なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備運転中
・高性能多核種除去設備停止中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクFから海洋排水を実施。排出量は843トン
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクFの分析結果[採取日3月22日]について、運用目標値を満足していることを確認。3月29日午前9時59分より港湾内への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時15分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、午後3時46分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は843m3。
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクGから海洋排水を開始
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクGの分析結果[採取日3月23日]について、運用目標値を満足していることを確認。(既出)
3月30日午前10時7分より港湾内への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時20分に漏えい等の異常がないことを確認。
地下水バイパス 通算109回目の海洋排水を終了。排出量は1,312トン
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の分析結果[採取日3月16日]について、運用目標値を満足していることを確認。3月29日午前11時4分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前11時21分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
その後、午後4時22分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。排水量は1,312m3。
地下水バイパス 揚水井の分析結果(3月28日サンプル採取)
地下水バイパス 一時貯留タンク に対するトリチウム濃度評価結果。揚水井No.10の濃度が若干低下していても、全体としてのトリチウム濃度は上昇傾向
トリチウム濃度が過去最高レベルで推移してきた地下水揚水井No.10は数値に減少傾向が伺えるのはありがたいことだが、No.9、No.11、No.12も他に比べると高い値だ。揚水井No.10から汲み上げた地下水は、全体の4%足らずだが、「トリチウム上昇傾向評価用」の数値は前回の207.1Bq/Lを上回った。
汚染度の高い水を低い水で薄めて海洋に流しているという状況がよく分かる。
東京電力は地下水バイパスでのトリチウム濃度運用目標を1,500Bq/Lとしている。
【追記】東京電力は「地下水バイパス揚水井のくみ上げにおける一時貯留タンクに対する評価結果について(その2)」を公表した。地下水揚水井No.10、No.12の上昇傾向評価用の数値等に変更が見られる改訂版だ。No.10の上昇評価が若干下がったため、全体としての「トリチウム上昇傾向評価用」数値は200.2Bq/Lとなり、前回より低くなった。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
3月29日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
南放水口・排水路 原発構内の高台、タンクエリアへ排水路が流入する「B排水路ふれあい交差点近傍」の分析結果
◆H4エリア
◎日報に新規事項の記載なし
◆H6エリア
◎日報に新規事項の記載なし
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
1~3号機放水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
K排水路
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
関連データ(東京電力以外のサイト)
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