2月16日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。
※ 情報を追加して更新します
地下水バイパス揚水井を手動停止。一時貯留タンク・グループ2でトラブルの続報。水位計の指示値は自然復帰。点検の結果、水位計には異常なし。15日午後5時47分、地下水バイパスの運転を再開。停止時間は約32時間
※地下水バイパス設備において、2月14日午前9時47分、「地下水バイパス一時貯留タンクGr2水位高高警報」が発生し、一時貯留タンクへの移送ポンプが自動停止した。
念のため揚水ポンプを手動停止し、地下水バイパスの汲み上げをすべて停止した。
その後、午前10時26分、現場にて当該タンクおよび移送ポンプに異常がなく漏えい等がないことを確認した。なお、地下水バイパス一時貯留タンクグループ2は3基の連結されたタンクで構成され、それぞれに水位計が設置されており、2基のタンク水位計に異常は見受けられない。地下水バイパス設備の揚水ポンプおよび移送ポンプ全台が停止したこと以外に本件による作業への影響はない。(以上既出)
その後、同日午後0時35分、タンク水位計の指示値が自然復帰し、警報も同時に復帰。水位計の指示値については、変動前と同等の値に戻っていることを確認。
2月15日、当該タンクグループの水位計を点検した結果、水位計に異常が無かったことから、一過性の水位変動により警報の発生に至ったと推定。同日午後5時47分、地下水バイパス設備の運転を再開。再開後の運転状況に漏えい等の異常は無い。
【疑問】地下水バイパスの一時貯留タンクは、過去に汚染水の漏洩事故を起こしたものと同じフランジ型と呼ばれるタンク。同型のタンクに設置されているのは、タンクの上蓋に設置して水面との距離を測る「レーダー水位計」と呼ばれるもの。3基でグループを構成するそれぞれのタンクに水位計が設置されているのは、安全対策上当然だとしても、なぜ1基の水位計だけで警報が発生したのか。東京電力は「水位計に異常が無かった」と説明しているが、ほぼ真水を貯留するタンクでさえ不具合が発生した事実はもっと重く見るべきだ。原因究明とともに構内に多数設置されている他の水位計の信頼性についてもチェックする必要がある。
1~6号機
◎日報に新規事項の記載なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム停止中
・使用済燃料プール循環冷却系停止中
・1号機ディーゼル発電機(B)室、1号機所内ボイラー室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中
・1号機使用済燃料プール(以下、「SFP」という。)代替冷却系については、当該系統の弁点検のため、2月5日午後2時37分停止(2月17日午後6時までの約292時間停止予定)。冷却停止時のSFP水温度は、11.1℃であり、冷却停止時間におけるSFP水温度上昇率は0.055℃/hで、停止中のSFP水温度上昇は最大で約16.1℃と評価されることから、運転上の制限値60℃に対して余裕があり、SFP水温度の管理上問題ない。
◆2号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に移送実施中
・3号機タービン建屋地下から集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了
◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
◎日報に新規事項の記載なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備の状況 セシウム吸着装置・第二セシウム吸着装置を「停止」
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
その他の項目に新規事項の記載なし
・RO淡水化装置運転中
・多核種除去設備(ALPS)運転中
・増設多核種除去設備停止中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクFからの排水準備が進む
※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクFの分析結果[採取日2月9日]については、運用目標値を満足していることを確認。
※ 一時貯水タンクは浄化後のサブドレン・地下水ドレン水を海洋排出前に一時貯水するもので「サンプルタンク」とも呼ばれる。
サブドレン・地下水ドレン 集水タンクの分析結果(2月7日採取分)
※ 集水タンクはサブドレン・地下水ドレンから汲み上げた水を浄化施設に送る前に貯えておくタンクのこと。
地下水バイパス 通算103回目の海洋排水を開始
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の分析結果[採取日2月3日]については、運用目標値を満足していることを確認。(既出)
2月16日午前10時10分より海洋への排水を開始。なお、排水状況については、同日午前10時39分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
2月15日のタンクエリアパトロールや汚染水タンク水位計による常時監視において、漏えい等の異常がないことを確認。
H4エリア 昨日同様「2月14日のサンプル採取は悪天候のため中止」との表記
<最新のサンプリング実績>
今回の分析結果(採取日2月14日)については、悪天候により採取を中止した。その他の分析結果については、前回と比較して有意な変動は確認されていない。
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