さる7月24日、鳴り物入りで発表された2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム。ところがこれがベルギーの劇場「Theatre de Liege(テアトル・ド・リエージュ)のロゴにそっくりだと、劇場のロゴをデザインした「Studio Debie(ステュディオ・ドビ)」さんがFacebookにコラージュ写真をアップした。
ちなみに、ステュディオ・ドビさんのコメントを、機械翻訳をもとに意訳するとこんな感じかな。
Le nouveau logo des jeux Olympiques de Tokyo 2020 face au logo du Théâtre de Liège dont le projet initial date de 2011… Bluffant quand on sait le logo du Théâtre de Liège a été régulièrement partagé sur Pinterest. Même la typo est la même…
2020年東京オリンピックの新しいロゴとテアトル・ド・リエージュのロゴ(2011年からのプロジェクトで制作したもの)がご対面。驚くべきことに、テアトル・ド・リエージュのロゴのデザイン過程は、Pinterest上で定期的に共有されていたのです。タイポグラフィーはそっくり同じでしょ。
Pinterest上で誰もが見れたというのだから、申し開きもできまい。
完全にアウトじゃん。なんでこんなことしたの?
五輪エンブレムが発表された時、謎だったのは下の銀のヒレ。上の金のヒレは縦棒と合わせて「東京のT」に見えるが、なんとも不可解だったし、そもそも何を伝えたいのかも読めなかった。
しかし、こうやって「お手本」があったことが分かると、残念ながらそういうことだったのかと納得せざるを得ない。こりゃ「パクリ疑惑」なんてレベルではなく、明らかな盗作。それも恥知らずというべきレベルのものだ。
(デザインの質についてはあれこれ言いたくないがひとつだけ。テアトル・ド・リエージュのロゴの縦棒は白抜きだ。これは窓とか通り道のように、その先に続くものを予感させる。これに対して五輪ロゴの縦棒は黒。しかも太い。これは道の真ん中に立てられた棒、つまり「入ってくるな」という警告だ。梅原猛の法隆寺中門の真ん中の柱の論にも通じるし、交通標識の進入禁止マークも縦横こそ違え同じ表象。これでは「東京に来てはいけない」というメッセージを世界中の人たちの無意識に対して発しているようなものではないか)
五輪エンブレムをデザインしたのはアートディレクターの佐野研二郎氏。新進気鋭のクリエイターとして高く評価されてきた人物だ。これまでに日光江戸村の「ニャンまげ」の原案、ルミネの「チェックマ」やKDDI「リスモくん」といったキャラクターデザイン、トヨタやサントリーといった企業広告などを手がけてきた。
個展まで開いてしまうほどで、実績も人気も併せ持っていた彼がなぜ?
それに、他の作品と肌合いが違う「座りの悪さ」はなに?
この話題が世界を駆け巡るなか、佐野氏の事務所「MR DESIGN」の公式ホームページは閲覧できなくなっている。TwitterもFacebookも見られない。
一方、ステュディオ・ドビさんのFacebookには、五輪エンブレムを指さして満面笑顔ではしゃいでいる佐野研二郎氏の写真もしっかり投稿されてしまった。事の顛末に世界中が視線が集まっている。
たぶん、チームニッポンはなんだかんだ言い逃れを図ることだろうが、言い訳すればするほど日本が文化を理解しない下劣な国だという評価が広まるばかりだろう。
日本には「ごめんなさい」する文化がある。おもてなしも大切だが、その前に、まずはごめんなさいの精神を発揮するべき時ではないか。
ステュディオ・ドビさんのFacebookはこちらです。
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