4月22日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
汚染水が外洋に流出したK排水路のポンプ起動とサンプリング結果
ポンプが停止した原因については、発電機の故障と判断し、発電機を予備のものに取り替え、準備が整ったことから、4月21日午後8時9分ポンプを起動し、移送を再開。なお、ポンプの起動状態に異常はない。発電機が停止した原因については、引き続き、調査中。
K排水路および南放水口の水のサンプリング結果は、以下の通り。
<K排水路>【4月21日 午前7時採取分】
・セシウム134:20Bq/L
・セシウム137:67Bq/L
・全ベータ:110Bq/L
<南放水口>【4月21日 午前7時40分採取分】
・セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:1.1Bq/L)
・セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:1.3Bq/L)
・全ベータ:検出限界値未満(検出限界値:15Bq/L)
<参考>
■告示濃度限度
セシウム134 : 60 Bq/L
セシウム137 : 90 Bq/L
ストロンチウム90 : 30 Bq/L
トリチウム : 60,000 Bq/L
■WHOの飲料水水質ガイドライン
セシウム134 : 10 Bq/L
セシウム137 : 10 Bq/L
ストロンチウム90 : 10 Bq/L
トリチウム : 10,000 Bq/L
外洋に流出したK排水路内の水が「雨水」と呼べるものでないことが明らかになった。この数値で気になるのは、セシウム濃度に比べて全ベータが非常に高いということ。2号機大物搬入建屋屋上が汚染源だとすると、セシウムは全ベータと同レベル化それ以上である蓋然性が高い。
全ベータが高いということは、2号機大物搬入建屋屋上以外に、別の枝排水路から別の汚染水が流入している可能性も否定出来ない。
5号機原子炉圧力容器内の核燃料を使用済燃料プールに移す作業が始まる
※5号機原子炉内の全ての燃料について、4月22日午前9時18分より、使用済燃料プールへの移動作業を開始。
【以下は参考写真】
福島第二原発で行われた燃料移動作業の写真。第一原発5号機とは原子炉の型は異なる。
「福島第二原子力発電所1号機 燃料移動作業の完了について」掲載日:平成26年7月11日 撮影日:平成26年6月3日 提供:東京電力株式会社
高性能容器(HIC)の蓋付近で高濃度のたまり水が発見された件の続報。さらに1基のHICに水たまり
※吸着塔保管施設第二施設のHICについては、4月15日までに103基の点検を実施し、11基のHIC蓋外周部に水溜まりを確認。これまで水溜まりが確認されたHICについては、予防措置的に蓋外周部に吸着マットを置く作業を実施しているが、水溜まりが確認されなかったHICについても、4月21日より順次吸着マットを置く作業を実施。この中で4月21日3基のHICの作業を実施した際、新たに1基のHICの蓋外周部に水溜まりを確認。
【水溜まりを確認したHIC】 【製造番号】
・AK6ボックスカルバート内HIC → PO646393-190
引き続き、現場調査を継続するとともに、原因究明を行う。
1号機所内ボイラー室およびディーゼル発電機(B)室の水位が制限内に復帰
※特定原子力施設に係る実施計画 Ⅲ特定原子力施設の保安(以下、「実施計画」という)第1編第26条「建屋に貯留する滞留水」の表26-2で定める1号炉タービン建屋滞留水水位の運転上の制限「各建屋近傍のサブドレン水の水位を超えないこと」を満足できていないことについて、4月21日、1号機所内ボイラー室およびディーゼル発電機(B)室の水位を確認した結果、近傍のサブドレン水位より十分低い状態となったことから、午後4時28分に、実施計画 第1編 第26条に定める運転上の制限内への復帰を判断。
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水の水位は以下のとおり。
実測値:OP 4,190mm(4月21日午後2時15分)
補正値:OP 4,301mm
4月21日午後2時15分頃時点の1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン(No.1)の水位は、OP5,053mm。
また、1号機所内ボイラー室の滞留水の水位は以下のとおり。
実測値:OP 4,120mm(4月21日午後2時35分)
補正値:OP 4,185mm
4月21日午後2時35分時点の1号機所内ボイラー室近傍のサブドレン(N1)の水位は、OP5,371mm。
1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※ タービン建屋地下の滞留水移送は停止中
1号機ディーゼル発電機(B)室→1号機タービン建屋へ滞留水を移送
・1号機ディーゼル発電機(B)室→1号機タービン建屋へ滞留水を移送実施(2015年4月21日午後1時4分~午後2時1分)
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水移送前後の水位は以下のとおり。
〈移送前〉
実測値:OP4,400mm(4月21日午後1時)
補正値:OP4,517mm
〈移送後〉
実測値:OP4,190mm(4月21日午後2時15分)
補正値:OP4,301mm
同日、午後2時15分頃時点の1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン(No.1)の水位は、OP5,053mm。
2号機~6号機
新規事項なし
◆2号機
1号機の冒頭4項目と同じ記載に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月20日午前11時42分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機の冒頭の4項目と同じ記載に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月20日午前11時38分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
※ 上に新規事項として記載された内容によると、原子炉圧力容器の蓋を開放し、燃料プールとつなげ、圧力容器内の核燃料を水中経由で燃料プールに移動する作業が4月22日午前9時18分から始まったものと見られる。
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~通算60回目となる海洋排出の準備が進む
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日4月12日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
地下水バイパス揚水井分析結果(4月6日採取)揚水井No.10のトリチウム濃度が過去最高値
<地下水バイパス揚水井No.10> 過去最高値
トリチウム(H-3):1,100 Bq/L(平成27年4月20日採取)
これまではの最高値:1,000 Bq/L(平成27年4月13日採取)
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月21日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月9日採取 18,000Bq/L
3月10日採取 38,000Bq/L ※前日から2倍以上に上昇
3月11日採取 34,000Bq/L
(中略)
4月9日採取 5,100Bq/L
4月10日採取 4,200Bq/L
4月11日採取 30,000Bq/L ※1カ月前のレベルに急増
4月12日採取 18,000Bq/L
4月13日採取 7,000Bq/L
4月14日採取 24,000Bq/L ※下がって上がってジェットコースター状態。雨の影響?
4月15日採取 25,000Bq/L
4月16日採取 22,000Bq/L
4月17日採取 16,000Bq/L
4月18日採取 11,000Bq/L
4月19日採取 8,300Bq/L
4月20日採取 7,900Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
4月9日採取 ND(検出限界値:110Bq/L)※ 検出限界値:110Bq/Lとは!!
4月10日採取 140Bq/L
4月11日採取 190Bq/L
4月12日採取 150Bq/L
4月13日採取 120Bq/L
4月14日採取 220Bq/L
4月15日採取 800Bq/L ※大幅に上昇
4月16日採取 450Bq/L
4月17日採取 210Bq/L
4月18日採取 290Bq/L
4月19日採取 1,100Bq/L ※大幅に上昇
4月20日採取 710Bq/L
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<G-2のトリチウム値>
4月9日採取 380Bq/L
4月10日採取 280Bq/L
4月11日採取 2,200Bq/L
4月12日採取 1,900Bq/L
4月13日採取 1,300Bq/L
4月14日採取 690Bq/L
4月15日採取 390Bq/L
4月16日採取 290Bq/L
4月17日採取 210Bq/L
4月18日採取 400Bq/L
4月19日採取 760Bq/L
4月20日採取 380Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<G-3のトリチウム値>漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月9日採取 390Bq/L
4月10日採取 460Bq/L
4月11日採取 520Bq/L
4月12日採取 460Bq/L
4月13日採取 300Bq/L
4月14日採取 420Bq/L
4月15日採取 520Bq/L
4月16日採取 390Bq/L
4月17日採取 360Bq/L
4月18日採取 320Bq/L
4月19日採取 280Bq/L
4月20日採取 270Bq/L
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新たに1~4号機建屋周辺に設置された観測井について新規事項なし。従来のサブドレンからの再取水のデータは公開されているが、ヨウ素-131、セシウム-134、セシウム-137のデータのみで、全ベータ、トリチウム(H-3)、ストロンチウム-90のデータは公表されていない。
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
1号機放水路 ~4月20日のサンプリングは「悪天候により採取中止」
4月20日のサンプリングは「悪天候により採取中止」
事故原発近傍の気象庁観測点「浪江」のデータでは、当日の降水量合計は5.5mm。
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年4月22日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
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