4月17日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水の移送を開始
※1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水については、4月16日午後1時11分より1号機タービン建屋へ移送を開始。
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水移送前の水位は以下のとおり。
〈移送前〉
実測値:OP 4,610mm(4月16日午後1時5分)
補正値:OP 4,733mm
同日、午後1時25分頃の1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン(No.1)の水位は、OP5,102mm。
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水については、4月16日午後2時8分に1号機タービン建屋へ移送を停止。
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水移送後の水位は以下のとおり。
〈移送後〉
実測値:OP 4,400mm(4月16日午後2時30分)
補正値:OP 4,517mm
同日、午後2時30分頃の1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン(No.1)の水位は、OP5,108mm。
※1号機タービン建屋所内ボイラー室の滞留水については、4月17日午前11時19分より1号機タービン建屋へ移送を開始。
1号機所内ボイラー室の滞留水移送前の水位は以下のとおり。
〈移送前〉
実測値:OP 4,520mm(4月17日午前11時)
補正値:OP 4,593mm
同日、午前11時の1号機所内ボイラー室近傍のサブドレン(N1)の水位は、OP5,495mm。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※タービン建屋からの滞留水移送は停止中
2号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水、移送を停止
1号機の4項目と同じ記載に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年4月14日午前10時49分~4月17日午前10時25分)
※滞留水移送は停止中
3号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水、移送を停止
1号機の4項目と同じ記載に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(2015年4月14日午前11時34分~4月17日午前9時50分)
※滞留水移送は停止中
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆4号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆4号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~海洋への排水を開始(通算59回目)
4月17日午前10時5分、海洋への排水を開始。同日午前10時17分に漏えい等の異常がないことを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月16日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、測定箇所の上部で高所作業を行っていたことから、パトロール員の安全確保のために70μm線量当量率の測定を一部実施しなかった箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月9日採取 18,000Bq/L
3月10日採取 38,000Bq/L ※前日から2倍以上に上昇
3月11日採取 34,000Bq/L
(中略)
4月6日採取 5,600Bq/L
4月7日採取 4,100Bq/L
4月8日採取 4,900Bq/L
4月9日採取 5,100Bq/L
4月10日採取 4,200Bq/L
4月11日採取 30,000Bq/L ※1カ月前のレベルに急増
4月12日採取 18,000Bq/L
4月13日採取 7,000Bq/L
4月14日採取 24,000Bq/L ※下がって上がってジェットコースター状態。雨の影響?
4月15日採取 25,000Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
3月25日採取 2,400Bq/L
3月26日採取 600Bq/L ※大幅に減少
(中略)
4月6日採取 200Bq/L
4月7日採取 120Bq/L
4月8日採取 180Bq/L
4月9日採取 ND(検出限界値:110Bq/L)※ 検出限界値:110Bq/Lとは!!
4月10日採取 140Bq/L
4月11日採取 190Bq/L
4月12日採取 150Bq/L
4月13日採取 120Bq/L
4月14日採取 220Bq/L
4月15日採取 800Bq/L ※大幅に上昇
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<G-2のトリチウム値>
4月6日採取 320Bq/L
4月7日採取 310Bq/L
4月8日採取 240Bq/L
4月9日採取 380Bq/L
4月10日採取 280Bq/L
4月11日採取 2,200Bq/L
4月12日採取 1,900Bq/L
4月13日採取 1,300Bq/L
4月14日採取 690Bq/L
4月15日採取 390Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<G-3のトリチウム値>漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月6日採取 470Bq/L
4月7日採取 460Bq/L
4月8日採取 520Bq/L
4月9日採取 390Bq/L
4月10日採取 460Bq/L
4月11日採取 520Bq/L
4月12日採取 460Bq/L
4月13日採取 300Bq/L
4月14日採取 420Bq/L
4月15日採取 520Bq/L
1~4号機タービン建屋東側 ~3-4号機間ウェルポイント汲み上げ水の測定結果を発表
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<3-4号機間ウェルポイント汲み上げ水の測定結果(初採取):4月15日採取分>
・セシウム134 : 7.4 Bq/L
・セシウム137 : 29 Bq/L
・全ベータ : 58 Bq/L
・トリチウム : 120 Bq/L
<地下水観測孔 No.1-8> 過去最高値(ただし4月14日に既出)
セシウム-134:90 Bq/L(平成27年4月13日採取)
これまでの最高値: 73 Bq/L(平成27年3月16日採取)
セシウム-137:310 Bq/L(平成27年4月13日採取)
これまでの最高値: 240 Bq/L(平成27年4月6日採取)
1~4号機サブドレン観測井
新たに1~4号機建屋周辺に設置された観測井について新規事項なし。従来のサブドレンからの再取水のデータは公開されているが、ヨウ素-131、セシウム-134、セシウム-137のデータのみで、全ベータ、トリチウム(H-3)、ストロンチウム-90のデータは公表されていない。
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路 ~極めて高濃度の汚染を示す1号機放水路立坑の測定結果(4月15日採取分)
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆採取日 (4月8日)→ (4月10日)→ (4月13日)→ 最新(4月15日)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:11,000 Bq/L → 11,000 Bq/L → 7,900 Bq/L → 7,600 Bq/L
セシウム137:40,000 Bq/L → 38,000 Bq/L → 28,000 Bq/L → 27,000 Bq/L
全ベータ: 55,000 Bq/L → 52,000 Bq/L → 36,000 Bq/L → 37,000 Bq/L
トリチウム: 600Bq/L → 350Bq/L → 200Bq/L → 210Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:1,300 Bq/L → 1,300 Bq/L → 1,500 Bq/L → 1,400 Bq/L
セシウム137:4,600 Bq/L → 4,900 Bq/L → 5,000 Bq/L → 4,900 Bq/L
全ベータ: 8,300 Bq/L → 8,400 Bq/L → 7,700 Bq/L → 7,500 Bq/L
トリチウム: 1,300 Bq/L → 1,200 Bq/L → 1,300 Bq/L → 1,100 Bq/L
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年4月17日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: