4月16日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
1号機原子炉格納容器内でのロボット調査2回目
報道配布資料として1号機格納容器内のロボット調査の速報が発表された。
前回ロボットがスタックした際には、同じ配管から投入後反時計回りに探査を行おうとしたが、今回は時計回り。前回と同様に線量は極めて高い。格納容器内に1時間滞在するとほぼ全員が死亡するレベルだ。
高性能容器(HIC)の蓋付近で高濃度のたまり水が発見された件の続報。14日に調査した15基で溜まり水などはなかったと公表
(新規事項の部分のみ)
4月15日、6基のHICの現場調査を実施した結果、水溜まり等は確認されなかった。なお、以下の要因を主とするHICについて、4月15日までに42基の点検を完了。
<要 因>
・高線量の内容物を収納したHIC
・保管期間の長いHIC
・構造に違いのあるHIC
引き続き、原因究明を行うとともに、今後は上記要因以外のHICについても点検を実施する。
1号機建屋内の水位が高かったボイラー室近傍・ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水の分析結果とディーゼル発電機(B)室の水位
※1号機タービン建屋所内ボイラー室近傍のサブドレン水(N1)、および1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水(No.1)の放射能濃度の測定結果は以下のとおり。
・1号機所内ボイラー室近傍のサブドレン水(N1) (採取日4月15日)
セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:1.2×10-2Bq/cm3)
セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:1.9×10-2)Bq/cm3)
・1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水(No.1)(採取日4月15日)
セシウム134:3.3×10-2Bq/cm3
セシウム137:1.1×10-1Bq/cm3
測定結果については、特定原子力施設に係る実施計画 III特定原子力施設の保安第1編第26条表26-3の運転上の制限値(セシウム134とセシウム137の放射能濃度の合計値が1.0×102Bq/cm3)以下であることを確認。
※1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水については、4月16日午後1時11分より1号機タービン建屋へ移送を開始。
1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水移送前の水位は以下のとおり。
〈移送前〉
実測値:OP 4,610mm(4月16日午後1時5分)
補正値:OP 4,733mm
同日、午後1時25分頃の1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン(No.1)の水位は、OP5,102mm。
1号機 ~ ~タービン建屋からの高濃度滞留水移送を再開し6時間後停止(移送先は1号機廃棄物処理建屋)
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送実施(2015年4月16日午前5時53分~午前11時53分)
2号機~6号機
新規事項なし
◆2号機
1号機の冒頭4項目と同じ記載に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月14日午前10時49分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機の冒頭4項目と同じ記載に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月14日午前11時34分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス 〜通算59回目となる海洋排出の準備が進む
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ3の当社および第三者機関による分析結果[採取日4月6日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月15日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、測定箇所の上部で高所作業を行っていたことから、パトロール員の安全確保のために70μm線量当量率の測定を一部実施しなかった箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月9日採取 18,000Bq/L
3月10日採取 38,000Bq/L ※前日から2倍以上に上昇
3月11日採取 34,000Bq/L
(中略)
4月6日採取 5,600Bq/L
4月7日採取 4,100Bq/L
4月8日採取 4,900Bq/L
4月9日採取 5,100Bq/L
4月10日採取 4,200Bq/L
4月11日採取 30,000Bq/L ※1カ月前のレベルに急増
4月12日採取 18,000Bq/L
4月13日採取 7,000Bq/L
4月14日採取 24,000Bq/L ※下がって上がってジェットコースター状態。雨の影響?
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月17日採取分で過去最高値 3,400Bq/Lを記録して以来、それまでの週1発表から毎日発表になっている。
3月17日採取 3,400Bq/L
(中略)
3月25日採取 2,400Bq/L
3月26日採取 600Bq/L ※大幅に減少
(中略)
4月6日採取 200Bq/L
4月7日採取 120Bq/L
4月8日採取 180Bq/L
4月9日採取 ND(検出限界値:110Bq/L)※ 検出限界値:110Bq/Lとは!!
4月10日採取 140Bq/L
4月11日採取 190Bq/L
4月12日採取 150Bq/L
4月13日採取 120Bq/L
4月14日採取 220Bq/L
※ 3月10日(最高値の前回測定)の値は 480Bq/L
3月3日はND(検出限界値:10Bq/L)
<G-2のトリチウム値>
4月6日採取 320Bq/L
4月7日採取 310Bq/L
4月8日採取 240Bq/L
4月9日採取 380Bq/L
4月10日採取 280Bq/L
4月11日採取 2,200Bq/L
4月12日採取 1,900Bq/L
4月13日採取 1,300Bq/L
4月14日採取 690Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<G-3のトリチウム値>漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
4月6日採取 470Bq/L
4月7日採取 460Bq/L
4月8日採取 520Bq/L
4月9日採取 390Bq/L
4月10日採取 460Bq/L
4月11日採取 520Bq/L
4月12日採取 460Bq/L
4月13日採取 300Bq/L
4月14日採取 420Bq/L
1~4号機タービン建屋東側 〜3〜4号機間ウェルポイント汲み上げ水の測定結果を発表(初採取)
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<3-4号機間ウェルポイント汲み上げ水の測定結果(初採取):4月15日採取分>
・セシウム134 : 7.4 Bq/L
・セシウム137 : 29 Bq/L
・全ベータ : 58 Bq/L
1~4号機サブドレン観測井
新たに1~4号機建屋周辺に設置された観測井について新規事項なし。従来のサブドレンからの再取水のデータは公開されているが、ヨウ素-131、セシウム-134、セシウム-137のデータのみで、全ベータ、トリチウム(H-3)、ストロンチウム-90のデータは公表されていない。
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年4月16日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: