4月14日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
ドクターヘリ搬送された協力企業作業員が経過観察のため入院
※4月13日午前9時45分頃、協力企業作業員の男性が草刈り作業中に土中にあった針金が右腕に刺さり負傷したことから、入退域管理棟救急医療室にて医師の診察を受けた。
当該作業員の身体に放射性物質の付着はないが、診察の結果、右前腕刺創と診断されたことから、念のため、内部被ばくの可能性があることから、午前11時6分に救急車にて入退域管理棟救急医療室を出発し、双葉町の郡山海岸にてドクターヘリに乗せ替え、午前11時31分にドクターヘリが郡山海岸を出発し、午前11時54分に福島県立医科大学付属病院に到着。
内部被ばくの有無を確認するため、ホールボディカウンタを受検した結果、内部被ばくはないと判断されるとともに、負傷箇所の治療を実施。(既出)
その後、医師の診察の結果、負傷箇所の経過観察のため入院することとなった。
手足の痺れを訴えた協力企業作業員をいわき市の病院に救急搬送
※4月13日午後3時20分頃、入退域管理棟内で、資材管理(着替え等の配備)を行っていた協力企業作業員の男性が手足の痺れを訴えたことから、入退域管理棟救急医療室の医師の診察を受けた。診察の結果、緊急搬送の必要があると診断されたため、午後3時39分に救急車を要請。午後4時19分、かしま病院(いわき市)へ向け搬送。なお、当該作業員の身体に放射性物質の付着はない。
1号機 ~建屋内の水位が高かったボイラー室近傍・ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水の分析結果を記載
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
加えて、
※1号機タービン建屋所内ボイラー室近傍のサブドレン水(N1)、および1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水(No.1)の放射能濃度の測定結果は以下のとおり。
・1号機所内ボイラー室近傍のサブドレン水(N1) (採取日4月13日)
セシウム134:検出限界値未満(検出限界値:1.1×10-2Bq/cm3)
セシウム137:検出限界値未満(検出限界値:1.9×10-2Bq/cm3)
・1号機ディーゼル発電機(B)室近傍のサブドレン水(No.1)(採取日4月13日)
セシウム134:1.4×10-2Bq/cm3
セシウム137:7.2×10-2Bq/cm3
測定結果については、特定原子力施設に係る実施計画 III特定原子力施設の保安第1編第26条表26-3の運転上の制限値(セシウム134とセシウム137の放射能濃度の合計値が1.0×102Bq/cm3)以下であることを確認。
2号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水、移送を再開(移送先は高温焼却炉建屋)
1号機の冒頭4項目と同じ記載に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月14日午前10時49分~)
※滞留水移送は稼働中
3号機 ~タービン建屋の高濃度滞留水、移送を再開(移送先は高温焼却炉建屋)
1号機の冒頭4項目と同じ記載に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月14日午前11時34分~)
※滞留水移送は稼働中
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~第二セシウム吸着装置「停止中」
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
*1 フィルタの洗浄、ベッセル交換を適宜実施。
その他の項目に新規事項なし
・セシウム吸着装置停止中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月13日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月9日採取 18,000Bq/L
3月10日採取 38,000Bq/L ※前日から2倍以上に上昇
3月11日採取 34,000Bq/L
(中略)
3月29日採取 7,400Bq/L
3月30日採取 7,000Bq/L
3月31日採取 7,800Bq/L
4月1日採取 8,100Bq/L
4月2日採取 7,300Bq/L
4月3日採取 <欠測>
4月4日採取 5,600Bq/L
4月5日採取 6,300Bq/L
4月6日採取 5,600Bq/L
4月7日採取 4,100Bq/L
4月8日採取 4,900Bq/L
4月9日採取 5,100Bq/L
4月10日採取 4,200Bq/L
4月11日採取 30,000Bq/L ※1カ月前のレベルに急増
4月12日採取 18,000Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月25日採取 2,400Bq/L
3月26日採取 600Bq/L ※大幅に減少
(中略)
4月2日採取 330Bq/L
4月3日採取 <欠測>
4月4日採取 210Bq/L
4月5日採取 160Bq/L
4月6日採取 200Bq/L
4月7日採取 120Bq/L
4月8日採取 180Bq/L
4月9日採取 ND(検出限界値:110Bq/L)※ 検出限界値:110Bq/Lとは!!
4月10日採取 140Bq/L
4月11日採取 190Bq/L
4月12日採取 150Bq/L
※ 3月10日以前の最高値:480 Bq/L(平成26年6月18日)
<G-2のトリチウム値>
4月1日採取 300Bq/L
4月2日採取 290Bq/L
4月3日採取 <欠測>
4月4日採取 290Bq/L
4月5日採取 260Bq/L
4月6日採取 320Bq/L
4月7日採取 310Bq/L
4月8日採取 240Bq/L
4月9日採取 380Bq/L
4月10日採取 280Bq/L
4月11日採取 2,200Bq/L
4月12日採取 1,900Bq/L
※G-2のトリチウム値は、タンクからの汚染水漏れが発生から約1か月後の平成26年3月24日・25日に記録した7,000ベクレルがこれまでの最高値だが、27日には660ベクレルまで減少していた。
<G-3のトリチウム値>漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
3月30日採取 310Bq/L
3月31日採取 390Bq/L
4月1日採取 360Bq/L
4月2日採取 480Bq/L
4月3日採取 <欠測>
4月4日採取 290Bq/L
4月5日採取 420Bq/L
4月6日採取 470Bq/L
4月7日採取 460Bq/L
4月8日採取 520Bq/L
4月9日採取 390Bq/L
4月10日採取 460Bq/L
4月11日採取 520Bq/L
4月12日採取 460Bq/L
1~4号機タービン建屋東側 ~港湾中央の海水でトリチウムが過去最高値
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<港湾中央>過去最高値
トリチウム(H-3):150 Bq/L(平成27年4月6日採取)
これまでの最高値は 110 Bq/L(平成26年11月10日採取)
1~4号機サブドレン観測井
新たに1~4号機建屋周辺に設置された観測井について新規事項なし。従来のサブドレンからの再取水のデータは公開されているが、ヨウ素-131、セシウム-134、セシウム-137のデータのみで、全ベータ、トリチウム(H-3)、ストロンチウム-90のデータは公表されていない。
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1号機放水路
新規事項なし
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年4月14日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: