4月4日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
高性能容器(HIC)上の高濃度たまり水の続報
水溜まりが確認された2基のHIC以外について、4月3日、以下の観点で7基のHICの現場調査を実施したが、漏えいは確認されなかった。
・高線量の内容物を収納したHIC
・保管期間の長いHIC
・構造に違いのあるHIC
引き続き、原因究明をするとともに、他のHICについても調査を実施していく。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年3月26日午前10時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月1日午前10時3分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~セシウム吸着装置「運転中」
・セシウム吸着装置運転中
その他の項目に新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス ~通算57回目となる海洋排出の準備が進む
※地下水バイパス一時貯留タンクグループ2の当社および第三者機関による分析結果[採取日3月25日]については同等の値であり、ともに運用目標値を満足していることを確認。
地下水バイパス揚水井分析結果(4月2日採取)
過去最高値を更新している揚水井No.10の分析結果は発表されず。
福島第一原子力発電所 地下水バイパス 一時貯留タンク詳細分析結果(3月1日採取分)
福島第一原子力発電所 地下水バイパス 加重平均サンプル分析結果(2015年2月分)
加重平均サンプルは、排水前に採取した試料を、各回の排水量に比例した割合で混合した試料のこと。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
4月3日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、堰床部に溜まっている雨水の影響により測定を一部実施出来ない箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月20日採取 16,000Bq/L ※漸減傾向から再上昇
3月21日採取 11,000Bq/L ※再び減少に転ず
3月22日採取 9,900Bq/L
3月23日採取 7,700Bq/L
3月24日採取 7,500Bq/L
3月25日採取 7,300Bq/L
3月26日採取 7,200Bq/L
3月27日採取 6,800Bq/L
3月28日採取 6,400Bq/L
3月29日採取 7,400Bq/L ※漸減傾向から再び上昇
3月30日採取 7,000Bq/L
3月31日採取 7,800Bq/L
4月1日採取 8,100Bq/L
4月2日採取 7,300Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<G-1のトリチウム値>
3月25日採取 2,400Bq/L
3月26日採取 600Bq/L ※大幅に減少
3月27日採取 710Bq/L
3月28日採取 450Bq/L
3月29日採取 460Bq/L
3月30日採取 390Bq/L
3月31日採取 320Bq/L
4月1日採取 320Bq/L
4月2日採取 330Bq/L
※ 3月10日以前の最高値:480 Bq/L(平成26年6月18日)
<G-2のトリチウム値>
3月29日採取 290Bq/L ※漸減傾向から再び上昇
3月30日採取 220Bq/L
3月31日採取 270Bq/L
4月1日採取 300Bq/L
4月2日採取 290Bq/L
<G-3のトリチウム値>漏洩タンクから最も遠いG-3もトリチウム値が上昇
3月30日採取 310Bq/L
3月31日採取 390Bq/L
4月1日採取 360Bq/L
4月2日採取 480Bq/L
1~4号機タービン建屋東側 悪天候により採取中止(4月3日)
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
数値を発表する資料では「悪天候により採取中止」として欠測となっているが、日報では「前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない」とは!
※原発近傍の気象庁の観測ポイント「浪江」の4月3日の天気は以下のとおり。
4月3日の降水量合計は0.0mm。
気温は最高 25.0℃、最低 7.5℃ 日照時間 6.9
最大風速 7.5 南南西 最大瞬間風速 14.2 南南西
風が強かったということだろうか。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
※ 地下貯水槽では4月3日のサンプル採取は行われている。
1号機放水路
新規事項なし
関連データ(東京電力以外のサイト)
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成27年4月4日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: