4月8日(水曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
建屋周囲の地下水位の続報。いよいよ高濃度滞留水が地下水に逆流する危険が増してきたか。1号機タービン建屋所内ボイラー室は「連通性がない」「建屋外からの地下水の流入がない」とするがその根拠は?
「連通性がない」という新たな用語が登場した。つまり建屋内には独立して他との水の出入りがないエリアがあるので、そこについては仮設ポンプで対応と説明した上で、
地下水位より高くなる(つまり滞留水の逆流のおそれがある)1号機タービン建屋所内ボイラー室は連通性がない、建屋外からの流入がないから流出も考えられないとした。根拠は明らかにされていない。
※地下水流入抑制対策による地下水位の低下に伴い、建屋滞留水水位を低下させる必要があり、建屋内に滞留水移送ポンプ並びに水位計の設置を進めている。(新たに削孔した穴より水位を測定した結果は2015年3月26日に公表済み)
このうち、1号機タービン建屋所内ボイラー室水位は以下の通り。
・1号機タービン建屋所内ボイラー室水位:O.P.4900mm(3月17日測定)
(既出)
各建屋の連通性がない独立したエリアについては、設置する滞留水移送ポンプでの移送が困難なことから、仮設ポンプを使用しての移送を4月8日以降、順次開始する予定。1号所内ボイラー室および1号ディーゼル発電機(B)室内の滞留水の移送先は、1号機タービン建屋の予定。
建屋周囲の地下水位は継続監視をしており、4月7日午後5時時点における1号機タービン建屋所内ボイラー室近傍のサブドレン(N1)水位でO.P.4906mm(4月4日測定:4917mm)だった。
サブドレン水位の変動によりサブドレン水位が1号機タービン建屋所内ボイラー室水位より低くなる可能性があるが、1号機タービン建屋所内ボイラー室は、他のエリア(建屋内)から流入がないこと(連通性がない)、および建屋外からの地下水の流入がないことから、1号機タービン建屋所内ボイラー室水の外部への流出はないと考える。
結露水ではありえない測定結果。高性能容器(HIC)蓋付近に高濃度のたまり水が発見された件で続報。前日、報道配布資料で発表された内容
1号機 〜タービン建屋地下高濃度滞留水の移送を実施
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
加えて、滞留水の1号機廃棄物処理建屋への移送を2時間58分間実施
・1号機タービン建屋地下→1号機廃棄物処理建屋へ高濃度滞留水を移送実施(2015年4月8日午前6時32分~午前9時30分)
※滞留水移送は2時間58分の実施後、停止中
2号機
新規事項なし
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年3月26日午前10時14分~)
※滞留水移送は実施中
3号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送を再開(移送先はプロセス主建屋)
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(2015年4月8日午前10時8分~)
※滞留水移送は実施中
4号機~6号機
新規事項なし
◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 〜セシウム吸着装置「運転中」
・セシウム吸着装置運転中
その他の項目について新規事項なし
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置運転中
・RO濃縮水処理設備運転中
地下水バイパス
新規事項なし
地下水バイパス揚水井分析結果(4月6日採取)揚水井No.10のトリチウム濃度はほぼ横ばい
<地下水バイパス揚水井No.10>
今回 トリチウム(H-3):960 Bq/L(平成27年4月6日採取)
前回 トリチウム(H-3):970 Bq/L(平成27年3月30日採取)<過去最高値>
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール ~高所作業とバッティングした測定箇所で70μm線量当量率の測定を一部キャンセル。パトロール員の安全確保のため
4月7日のパトロールにおいて、タンクからの漏えいの兆候を早期に発見する目的で70μm線量当量率の測定を行っているが、測定箇所の上部で高所作業を行っていたことから、パトロール員の安全確保のために70μm線量当量率の測定を一部実施しなかった箇所を除き、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<E-1の全ベータ値>
3月20日採取 16,000Bq/L ※漸減傾向から再上昇
3月21日採取 11,000Bq/L ※再び減少に転ず
3月22日採取 9,900Bq/L
3月23日採取 7,700Bq/L
3月24日採取 7,500Bq/L
3月25日採取 7,300Bq/L
3月26日採取 7,200Bq/L
3月27日採取 6,800Bq/L
3月28日採取 6,400Bq/L
3月29日採取 7,400Bq/L ※漸減傾向から再び上昇
3月30日採取 7,000Bq/L
3月31日採取 7,800Bq/L
4月1日採取 8,100Bq/L
4月2日採取 7,300Bq/L
4月3日採取 <欠測>
4月4日採取 5,600Bq/L
4月5日採取 6,300Bq/L
4月6日採取 5,600Bq/L
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
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