11月29日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている現状を考えます。
敷地境界付近の西門でモニタリングカーによる線量率データが欠測
※11月29日午前9時40分から午前10時40分にかけて、発電所西門に設置してあるモニタリングカーによる線量率データについて欠測していることを確認。
その後の現場調査において、電源コンセントの接触不良であることを確認。なお、当該モニタリングカーの近傍(約2m)に可搬型モニタリング装置が設置されており、欠測期間において線量率データに有意な変化はない。
西門は、1号機の北を東西に走る大熊通りの西端にあたり、多核種除去設備(ALPS)から400メートル弱の場所。敷地境界のすぐ近くには民家や夫沢簡易郵便局(休止中)などがある。
写真はいずれも東京電力が平成24年6月15日「モニタリング・除染への取り組み」に掲載したもの。モニタリングカー内部写真を見ると、数多くの計測器が搭載されているのが分かる。これではコンセントの接触以外に、電源そのものの手当ても大変だろう。
極めて高濃度の汚染を示している1号機放水路立坑の測定結果(11月27日採取分)
※1号機放水路上流側立坑において、セシウム137の濃度が上昇した件について、1号機放水路立坑水の分析を実施。
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
<1号機放水路立坑水(上流側)11月27採取分>
セシウム134:5.4×10^3 Bq/L
セシウム137:1.7×10^4 Bq/L
全ベータ :2.1×10^4 Bq/L
トリチウム :3.4×10^2 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)11月27採取分>
セシウム134:1.0×10^3 Bq/L
セシウム137:3.1×10^3 Bq/L
全ベータ :4.8×10^3 Bq/L
トリチウム :7.5×10^2 Bq/L
通常の表記に書きかえると、
◆最新の数値(11月27日採取分)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:5,400 Bq/L
セシウム137:17,000 Bq/L
全ベータ :21,000 Bq/L
トリチウム :340 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:1,000 Bq/L
セシウム137:3,100 Bq/L
全ベータ :4,800 Bq/L
トリチウム :750 Bq/L
◆前回の数値(11月25日採取分)
<1号機放水路立坑水(上流側)>
セシウム134:6,900 Bq/L
セシウム137:22,000 Bq/L
全ベータ:30,000 Bq/L
トリチウム:470 Bq/L
<1号機放水路立坑水(下流側)>
セシウム134:640 Bq/L
セシウム137:2,100 Bq/L
全ベータ:3,600 Bq/L
トリチウム:710 Bq/L
1号機~4号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止状態
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(プロセス主建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月26日午前10時23分~)
※滞留水移送は実施中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年11月5日午後4時14分~)
※滞留水移送は実施中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
5号機 ~使用済み燃料プール冷却を「運転中」
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
6号機
新規事項なし
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算36回目となる海洋への排出を終了。排出量は1,442トン
11月28日午前10時4分、海洋への排水を開始。同日午前10時6分に漏えい等の異常がないことを確認。(既出)
午後3時46分に排水を停止。排水停止状態において異常のないことを確認。排水量は1,442m3。
11月27日採取分の揚水井の分析結果も発表された。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
11月28日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されなかった。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
H6エリアタンク周辺観測孔 ~漏えいタンク東側、G2で前日の5倍近いトリチウム濃度
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリアタンク周辺観測孔「G2」のトリチウム(H-3)濃度
<11月27日採取>
2,900Bq/L
<11月26日採取>
640Bq/L
<11月25日採取>
510Bq/L
※ 過去最高値は7,000Bq/Lで、2014年3月24日・3月25日に記録している。また、2014年7月19日採取のサンプルで、3,600Bq/Lを記録した際には、「降雨の影響で測定値が上昇したもの」との見解を示していた。
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