監視体制を後退させることで、どのようなメリットがあるのか。がれき撤去作業中に操作卓を落下させた3号機使用済み燃料プール
9月26日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
操作卓が落下した3号機プールの監視体制を「後退」
これまでのプール水分析結果、および関連パラメータにおいても有意な変動は確認されておらず燃料破損の兆候は認められていないこと、また、過去の実験結果では、燃料から水中へのセシウムの溶出は1ヶ月経過しても継続するが、溶出速度は10日後に大きく低下することが確認されている。
既に発生から10日以上経過していることから、仮に燃料が破損していたとしても、今後、セシウムの溶出が急激に増加しないものと考えられるため、
9月25日以降、監視頻度を1回/日から1ヶ月間は1回/週とし、その後は1回/月に見直すこととする。
なお、監視は瓦礫撤去後も継続し、3ヶ月の間に増加傾向が確認されない場合は、通常の1回/3ヶ月に見直す。
監視頻度の通常が「1回/3ヶ月」だということに驚きを禁じ得ない。
日々監視を行うことでどれだけのコストや人手が必要なのだろうか。監視体制を後退させるメリットがどこにあるのか、説明はない。
1号機
新規事項なし
復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
2号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送停止
1号機と同じ4項目に加え、タービン建屋地下に溜まっている高濃度滞留水の移送を停止したと発表
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年9月3日午前10時47分~9月26日午前9時20分)
※滞留水移送を停止
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年9月24日午後1時33分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス
新規事項なし
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
9月25日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年9月26日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
最終更新: