3号機使用済み燃料プールで落下した操作卓の重量は約400kg。約170kgの部品も落下。使用済燃料集合体10体ほどと接触の可能性
9月1日(月曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
3号機燃料プールの瓦礫(燃料交換機操作卓)落下の続報。プール水放射能分析結果とプラントパラメータに加え、事故状況の詳細を示す資料を発表
◆昨日までの発表内容
※8月29日午後0時45分頃、3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業において、燃料交換機の操作卓をクレーンにてつり上げるため専用治具で操作卓をつかもうとしたところ、操作卓が当該プール東側中央付近に落下。
落下した燃料交換機の操作卓は、燃料ラック上部に設置してある養生材(鉄板高さ30cm程度)と、当該プール内の瓦礫の間に落下していることを確認。瓦礫の下部に燃料が2体あることから、今後水中カメラにて詳細に状況を確認する。
なお、3号機使用済燃料プール内瓦礫撤去作業は遠隔作業により無人で行われており、作業員の負傷はなし。
3号機使用済燃料プール付近の線量は3.2mSv/hで通常値と変化はなく、発電所構内の線量とともに継続監視中。
3号機使用済燃料プール代替冷却系については、8月25日より停止していたが、プール水の放射能分析のため、本日午後2時37分に起動。
水中カメラによる確認結果(8月30日実施)
・使用済燃料プール内に散乱している瓦礫の堆積により、燃料ラックおよび燃料の目視確認はできなかった。
・使用済燃料プール内に落下した操作卓と共に、操作卓が据えつけられていた架台の一部(約170kg)が落下していたことがわかった。
・落下物の位置、使用済燃料プール内の機器材の配置により、落下物は燃料ラック上部に設置している養生材に落下した後、燃料ラック上部の瓦礫の上に着床したと推定。
・落下物の下部に燃料が2体あることをお知らせしたが、水中カメラの確認による落下物の位置から、落下物の下部に燃料が10体程度あることを確認。
(以上、既出分)
◆プール水放射能分析結果とプラントパラメータ
使用済み燃料プール水の放射能分析結果は、1リットル換算で、
セシウム134:230,000Bq/L
セシウム137:690,000Bq/L
使用済燃料プール水の放射能分析の結果(採取日:8月31日)
・セシウム134:2.3×10^2Bq/cm3
・セシウム137:6.9×10^2Bq/cm3
・コバルト 60:検出限界値未満(検出限界値:1.1×10^0Bq/cm3)
プラントパラメータ(8月31日午後4時現在)
・モニタリングポスト:有意な変化なし
・原子炉建屋オペフロ雰囲気線量:有意な変化なし
・使用済燃料プール水位:有意な変化なし
・スキマーサージタンク水位:有意な変化なし
分析結果については、前回と比較して有意な変動がないこと、また、プラントパラメータに有意な変動がないことから、燃料破損等の兆候は確認されていない。
なお、使用済燃料プール水の放射能分析を関連パラメータと併せて1週間程度継続監視していく。
◆操作卓の落下状況、落下後のプール内の様子を説明した資料を発表
発生状況および調査結果
: 平成26年8月29日12時45分頃,使用済燃料プール内のガレキ撤去作業において,燃料交換機の操作卓をクレーンにて吊り上げるため,専用治具(フォーク)にて操作卓を掴もうとしたところ,操作卓(約400kg)および張出架台(約170kg)が当該プール東側中央付近に落下した。
なお,水中調査は8月30日に実施した。
落下した操作卓・張出架台の一部は養生材の上に乗っているが,ほとんどが燃料ラックの上部に乗っている状態が確認できた。
使用済燃料集合体そのものは,ガレキが累積しており直接は確認できなかった。
現在の使用済燃料プール内の燃料貯蔵配置,機器材の配置および落下位置の映像情報から,操作卓と張出架台が接触した可能性が考えられる使用済燃料集合体数は,10体程度と推測される。
福島第一原子力発電所3号機使用済燃料プール内ガレキ撤去作業中における燃料交換機操作卓の落下について|東京電力 平成26年9月1日
●操作卓の重量は約400kgである。操作卓とともに張出架台(約170kg)も落下
●落下場所はプール東側中央付近
●落下した操作卓・張出架台のほとんどが燃料ラックの上部に乗っている(一部は養生材の上に乗っている)
●使用済燃料集合体そのものは,ガレキが累積しており直接は確認できず
●10体程度の使用済燃料集合体と接触した可能性が考えられる
東京電力の資料によると、「ラック養生材は,約750kgに耐えられる設計になっている」とのこと。
遠隔操作による事故対応の難しさが改めて明らかになった。
1号機
新規事項なし
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
2号機 ~タービン建屋地下の高濃度滞留水、移送停止
1号機と同じ4項目に加え、タービン建屋地下の高濃度滞留水の移送停止を記載
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送実施(平成26年8月27日午前10時37分~平成26年8月31日午後6時8分)
※滞留水移送は停止中
3号機~6号機
新規事項なし
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年8月19日午後4時18分~)
※滞留水移送は運転中
・使用済燃料プール内の燃料交換機本体撤去作業については、5月16日に当該作業で使用していたクローラクレーンに不具合が確認されたため、中断していた。その後、予定していたクローラクレーンの年次点検にあわせて、不具合箇所の修理が完了したことから、8月25日より当該作業を再開することとした。
作業の再開に伴い、燃料交換機撤去対象機器に残存している油が使用済燃料プール代替冷却系に混入することを防止するため、8月25日~10月中旬(予定)の間、原則毎週月曜日午前7時~土曜日午後4時の間、当該冷却系を停止する(停止時間は最長で129時間、毎週土曜日午後4時~月曜日午前7時の間は運転予定)。なお、冷却停止時の使用済燃料プール水温度は28.4℃、冷却停止時のプール水温度上昇率評価値は0.114℃/hで、停止中のプール水温上昇は約15℃と評価されることから、運転上の制限値65℃に対して余裕があり、使用済燃料プール水温度の管理上問題ない。また、水温は運転上の制限値65℃に十分な余裕を持った45℃を超えることがないよう、同冷却系停止前のプール水温度を29℃以下として管理する。
<作業実績>
8月25日午前5時50分停止(停止時温度:28.4℃)
8月29日午後2時37分起動
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動(4号機原子炉建屋および共用プール建屋の天井クレーンと燃料交換機の年次点検により、一時中断)
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール
新規事項なし
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
水処理設備および貯蔵設備 ~サイトバンカ建屋からプロセス主建屋へ溜まり水の移送を開始
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
加えて、
・9月1日午前10時17分、集中廃棄物処理施設において、サイトバンカ建屋からプロセス主建屋への溜まり水の移送を開始。
地下水バイパス ~通算18回目の海洋放出時の海水サンプリング結果
※地下水バイパス揚水井No.1~12のサンプリングを継続実施中。
8月29日に実施した通算18回目となる地下水バイパス海洋排出に関して、海水のサンプリング結果を記載。
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